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音楽、哲学から湧き出る内なる物語を綴る、心の旅です。

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035_パソコン音楽クラブ「Night flow」

僕は誰もいない朝の公園でひとり佇んでいる。 こんな朝早くに公園にいる人間などちらほらしかいない。ベビーカーで子供連れの若い母親、ベンチで頭をうなだれているホーム…

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3年前
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1090_

何年も生きていれば、まったくすねに傷のない人間なんていないのかもしれない。人間誰しも、心当たりがあるのではないだろうか。 過ぎ去った過去を顧みた時、犯した過ちや…

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12時間前

1089_TPO

「明日はスーツ着てきてね」 「はぁ?スーツ?なんで」 「あなたの作品をちゃんと見て欲しいから、ちゃんとした格好で来て欲しいの」 「うーんと、あのなあ…」 「何か言い…

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1日前

1089_プロセス

こっちの道を進んでみて、こっちではないことに気付く。あっちの道がいいなと思い、そっちではないと誰かに諭される。 隣の人の歩いている道ばかりが気になって、自分の道…

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2日前

1088_ 「アゲ」「サゲ」

見猿、聞か猿、言わ猿。両手でそれぞれ、両目・両耳・口をふさいだ3匹の猿。余計なことは見ない、聞かない、言わない、ということを表す。 これらは人間の生来持つ悪癖と…

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3日前

1087_手に入るもの

「しっかし、こっちのショッピングモールもでかいなあ」 「でも、日本とそんなに売ってるもの変わらないよね。てか、三井とかららぽーととか、日本からマレーシアに出して…

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4日前
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1086_日本の現状②

「なんか、ジャニーズのあれ、告発されたかしめ、日本でえらい騒がれてたなあ」 「性加害とかパワハラ、セクハラのハラスメントやろ。あんなん、今の日本のそこら中から、…

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5日前
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1085_日本の現状①

「日本、なんか最近ヤバない?」 「ヤバいなあ。もう、国としてまわってないねんな、たぶん」 「せやんな。なんか、今までとは違うよな」 「今まで当たり前にできてたこと…

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6日前
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1084_マレーシア⑤

以前、タイに訪れたことがある。はじめて来た東南アジアだったのもあるが、タイの情報量の圧にやられてしまったのか、最終日はぐったりと疲れ切ってしまったのを覚えている…

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7日前

1083_マレーシア④

マレーシアは東南アジアの中でも、様々な人種が一つの国に暮らしている。人口の大半はイスラム教徒であるマレー系が6割、次に中華系の華僑が3割、ヒンドゥー教徒のインド系…

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8日前
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1082_マレーシア③

ちゃんと伝えるべき言葉を相手に伝えると、足りないものもなく、また悔いもなく、満たされたような気持ちになる。言葉にしたことで、力を持つようになり、それに驚く自分が…

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9日前

1081_マレーシア②

旅に出ると、目に入るもの全てが新鮮に映る。だから、自然と言語化せずにいられない。 でかい建物や、日本では見たことのない色彩のセンスの壁画を見て、「とりあえずヤベ…

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10日前
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1080_マレーシア①

「あなた、NEX乗るの初めてなの?」 「そうだな、そもそも成田に用事はないし」 「じゃあ、初成田、初NEXってことね」 いや、実は成田ははじめてではないんだ。札幌に発つ…

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11日前
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1079_西加奈子「サラバ!」②

「サラバ!」とは。 タイトルから、本の内容が容易に推察できない。それは都合のいい時もあるし、悪い時もある。読んでみたら、あ、このタイトルしかありえないなっていう…

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12日前
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1078_西加奈子「サラバ!」①

妻から、これ面白いよ。と手渡されたのが、西加奈子「サラバ!」だった。 妻は、よく本を買ってくる。子供の頃から読書家だったらしく、妻のお母さんからも「この子はいっ…

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13日前
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1077_朝ドラ

「はーい、そろそろ出るわよ」 「あー、ちょっと待って、今7時58分でしょ」 「なに、会社行かないの?」 「いや、ほんのちょっとだけ5分くらい待ってくれないか」 「やるこ…

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2週間前
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035_パソコン音楽クラブ「Night flow」

035_パソコン音楽クラブ「Night flow」

僕は誰もいない朝の公園でひとり佇んでいる。

こんな朝早くに公園にいる人間などちらほらしかいない。ベビーカーで子供連れの若い母親、ベンチで頭をうなだれているホームレスっぽい身なりの年配の男性。車通りのないところにある公園だから、幾分静かなもんだ。
僕の住んでいるマンションは5階で、目の前には、巨大な高速道路が横たわっている。どうしても、朝は通勤やら流通やらで車が高速で行き交いひどい騒音で否応なく起

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1090_

1090_

何年も生きていれば、まったくすねに傷のない人間なんていないのかもしれない。人間誰しも、心当たりがあるのではないだろうか。

過ぎ去った過去を顧みた時、犯した過ちやそれに伴う尽きることのない後悔。

なぜあのとき、自分はこんなことをしてしまったのか。そしてそれを未だに解決せず、臭いものに蓋をするかごとく、放置してしまっている自分に対する消えることのない罪の意識。

時効なんて、生易しい言葉なんてもの

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1089_TPO

1089_TPO

「明日はスーツ着てきてね」
「はぁ?スーツ?なんで」
「あなたの作品をちゃんと見て欲しいから、ちゃんとした格好で来て欲しいの」
「うーんと、あのなあ…」
「何か言いたいことある?」

「あんな、俺はさ、自由に生きたいねん。好きに生きるのに、見栄とかいらんねん。自分じゃない誰かのことを考えたり、気を遣ったりするのに時間を使うほど、人生は長くないんよ」

「あなたが自由にしたいのは、それはわかるわよ、

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1089_プロセス

1089_プロセス

こっちの道を進んでみて、こっちではないことに気付く。あっちの道がいいなと思い、そっちではないと誰かに諭される。

隣の人の歩いている道ばかりが気になって、自分の道を歩くことが疎かになる。そして、結局はちゃんと自分の歩むべき道にきちんと返ってくる。

そんなこんなでジグザグにでも、曲がりくねっても歩んできた。もしかしたら道でさえないかもしれない道だけど、後ろを振り返ってみれば、自分にとっては結局はこ

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1088_ 「アゲ」「サゲ」

1088_ 「アゲ」「サゲ」

見猿、聞か猿、言わ猿。両手でそれぞれ、両目・両耳・口をふさいだ3匹の猿。余計なことは見ない、聞かない、言わない、ということを表す。

これらは人間の生来持つ悪癖と呼ばれるものであって、自分が自分自身を惨めだと思わさしめるものからは、なるべく遠ざけて距離を置くべきなのだという戒めなんだろうと思う。

陽気で綺麗なギャルモデルの子がテレビで「自己肯定感を下げるものはなるべく見ないようにして、テンション

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1087_手に入るもの

1087_手に入るもの

「しっかし、こっちのショッピングモールもでかいなあ」
「でも、日本とそんなに売ってるもの変わらないよね。てか、三井とかららぽーととか、日本からマレーシアに出しているのもあるし」
「結局、マレーシア来ても、普通に日本で買えるものと一緒だね」
「そおよね。お土産も何買おうかなって感じ。結局、チョコとかお菓子くらいしかないかしら」
「ここで日本にいるときと同じくらいなんでも揃えそうだけど、たぶん、マレー

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1086_日本の現状②

1086_日本の現状②

「なんか、ジャニーズのあれ、告発されたかしめ、日本でえらい騒がれてたなあ」
「性加害とかパワハラ、セクハラのハラスメントやろ。あんなん、今の日本のそこら中から、吹いて湧いて出てるね。芸能界とか宝塚、自衛隊とかでもあるわな」

「せやんな、ジャニーさんとか俺でも知ってんやから、絶対有名やん。ずっとあったことなんやろうけど、ずっと見ないふりしてたんやろな。でも、なんでそんな急に出てくんのやろ」
「いや

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1085_日本の現状①

1085_日本の現状①

「日本、なんか最近ヤバない?」
「ヤバいなあ。もう、国としてまわってないねんな、たぶん」
「せやんな。なんか、今までとは違うよな」
「今まで当たり前にできてたことが、明らかにできなくなってるんだよね。もうみんながわかるくらいフェイズが変わってきてんねん。たぶん、インフラとか特にそう」
「なんでなん?」
「施設も鉄道も道路も老朽化しとるんやし、少子高齢化で人手不足やろ。んで、そもそもそこで働いている

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1084_マレーシア⑤

1084_マレーシア⑤

以前、タイに訪れたことがある。はじめて来た東南アジアだったのもあるが、タイの情報量の圧にやられてしまったのか、最終日はぐったりと疲れ切ってしまったのを覚えている。

だが、総じてマレーシア滞在中はホスピタリティやサービスも良いし、あまりストレスが少なく、リラックスできていたように思える。

何が違うのか、というと、マレーシア人がタイ人よりも真面目で信用のできる人柄であるからのではないかと思えてしま

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1083_マレーシア④

1083_マレーシア④

マレーシアは東南アジアの中でも、様々な人種が一つの国に暮らしている。人口の大半はイスラム教徒であるマレー系が6割、次に中華系の華僑が3割、ヒンドゥー教徒のインド系が約1割といった程度。

政治については、イスラムのスルタンと呼ばれる王族が中枢にいるので、マレーシアの社会のシステムは概ねイスラム教徒のために制度設計されている。

戒律を重んじるイスラム教徒の国でありつつ、しかし同時に他民族の存在も尊

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1082_マレーシア③

ちゃんと伝えるべき言葉を相手に伝えると、足りないものもなく、また悔いもなく、満たされたような気持ちになる。言葉にしたことで、力を持つようになり、それに驚く自分がいる。

その言葉の強さに、しっとりとした充実感に包まれて、軽い悟りを開いたような、何もしなくても、心はホカホカで、ひとりでに心地よい時間が流れていくようだ。

こういう気分を味わうために、随分と長い時間をかけて、これまでの人生、まわり道を

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1081_マレーシア②

1081_マレーシア②

旅に出ると、目に入るもの全てが新鮮に映る。だから、自然と言語化せずにいられない。

でかい建物や、日本では見たことのない色彩のセンスの壁画を見て、「とりあえずヤベェな」と思うわけだが、それをきちんと文字に起こそうと試みることにより、脳内の新しい回路に電気が通じる。

ある意味、旅行記とか旅のエッセイは書きやすい部類だと思う。その日あった旅の出来事をそれなりに意義深くまとめれば、書くネタには困らない

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1080_マレーシア①

1080_マレーシア①

「あなた、NEX乗るの初めてなの?」
「そうだな、そもそも成田に用事はないし」
「じゃあ、初成田、初NEXってことね」

いや、実は成田ははじめてではないんだ。札幌に発つ昔の恋人を成田空港から、見送ったことがある。でも、それも18年も前の話だし。

その時、どうやって成田空港まで辿り着いたのかってことは、正直、あまり覚えがないのであった。

「今日は晴れててよかったね。今日は東京も暑くなるんだって

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1079_西加奈子「サラバ!」②

1079_西加奈子「サラバ!」②

「サラバ!」とは。

タイトルから、本の内容が容易に推察できない。それは都合のいい時もあるし、悪い時もある。読んでみたら、あ、このタイトルしかありえないなっていうものもあるし、なんでこれなん?っていうのもある。

でも、読み出したらすぐだった。タイトルの先入観とか関係なしに、すぐに物語の中に深く没入させてくれる。そう、これはあれだ。読んでてドライブがかかる本だ。クイっと生で飲むように、読み出したら

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1078_西加奈子「サラバ!」①

1078_西加奈子「サラバ!」①

妻から、これ面白いよ。と手渡されたのが、西加奈子「サラバ!」だった。

妻は、よく本を買ってくる。子供の頃から読書家だったらしく、妻のお母さんからも「この子はいっつも本ばっかり読んでた」と言われていたらしい。

小学校のときに、いかにも本ばかり読んでいた本の虫的な女の子は確かにいたが、その娘と妻のイメージはまるで合致しない。

それに、大人になった妻本人は、そもそもそこまで読書に頓着している様子は

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1077_朝ドラ

1077_朝ドラ

「はーい、そろそろ出るわよ」
「あー、ちょっと待って、今7時58分でしょ」
「なに、会社行かないの?」
「いや、ほんのちょっとだけ5分くらい待ってくれないか」
「やることでもあんの。洗濯物はもう干したわよ。お昼のおにぎりも握ったし」
「いや。実は8時からNHKの朝ドラのオープニングが見たくて」
「朝ドラ〜??あの猫に小判的な名前の?」
「虎に翼ね」
「伊藤沙莉目当てで?演技派だから」
「残念ながら

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