1077_朝ドラ

「はーい、そろそろ出るわよ」
「あー、ちょっと待って、今7時58分でしょ」
「なに、会社行かないの？」
「いや、ほんのちょっとだけ5分くらい待ってくれないか」
「やることでもあんの。洗濯物はもう干したわよ。お昼のおにぎりも握ったし」
「いや。実は8時からNHKの朝ドラのオープニングが見たくて」
「朝ドラ〜？？あの猫に小判的な名前の？」
「虎に翼ね」
「伊藤沙莉目当てで？演技派だから」
「残念ながら、外れだ。伊藤沙莉目当てではないのだよ。そもそも、そこまであの子は格別可愛くはないし。米津玄師がオープニングの主題歌歌ってるんだよ」
「ああ、それだけ見たいってこと？」
「すげーいい曲なんだよ」
「あーはいはい、じゃあ、私朝イチで会議あるから、もう行くから」
「一応、内容も面白いらしいだよ」
「この前、ちむどんどん見てて、すごい憤っていたじゃない」
「あのさ、ちむどんどんのことは、もう忘れよう。あれは沖縄復帰の記念とか、政治的な背景があって、仕方のないことだったんだ」
「あなた、我慢して見てたのに」
「おかえりモネとかは最高だったんだよ、本当に。俺はああいうのが、見たかったのに。脚本がすべてなんだ」
「あ、ほらそう言ってる間に、放送始まったわよ、じゃあね、私行くからね」
「いってらっしゃーい。さよーならまたいつか！」