ふじまる / Fujimaru

小説・日記を書きます。主にAI|CG|ソフトウェア開発分野の人です。

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記事一覧

【日記】海外出張 in メイドカフェ

 この度、海外出張に行ってきました。出張先は、秋葉原駅から徒歩1分に位置する「めいどりーみん LIVE RESTAURANT Heaven's Gate」。通称、夢の国。ハハッ(甲高い声)。 …

【ショートショート】怪獣の即死魔法

 今日、夫が死んだ――。  我が家には、誕生からもうすぐ2年になる小さな怪獣がいる。そんな怪獣と共存する日々は悪戦苦闘の連続だ。  中でも厄介なのが怪獣の必殺技…

【日記】下を向いて歩こう

 会社という組織には数多くの人間がいます。  ナマケモノのように愛嬌溢れる人や、クジャクのように厳かな人、ホワイトライガーのように珍しい人生経験を持つ人、よく分…

【ショートショート】彼と彼女の理想像

 東京の片隅に位置する小さな会社。そこに勤める一人の男、あだ名は「蒲田のガンジー」。  彼の性格は良く言えば真面目で、悪く言えば堅物。プライベートより何よりも仕…

【日記】note君が優しい

身も心も、ついでに懐も寂しくなる冬。忙しさにかまけて記事を書かなくなり久しいです。 忙しい……!でも……書きたい! そんな想いが沸々と湧いてくる。 記事を書きた…

【ショートショート】一寸先はマルゲリータ

――好きな食べ物は何ですか?   誰もが遭遇する定番の質問。僕は迷わず答える。 「マルゲリータです」 ――地球最後の日に何をしますか?   手垢まみれの使い古さ…

【ショートショート】右手がホタテになった日

 言いようのない不安と手に感じる強烈な違和感。それらに叩き起こされながら祐希は目を覚ました。不安を体現したかのような額の汗を右手で拭おうとした瞬間、違和感の正体…

【日記】ピンクの知りたい

 夏季特有のキンキンに冷えた電車内で見かけたある親子。推定6歳のお子さんがこんなことを言っていました。 「お母さん、電車降りたらピンクの食べたい」 ピンクの食べ…

【ショートショート】エモーショナル・カプチーノ

 放課後の学生やデート中のカップルでごった返す夕方の某カフェ。あちらこちらから中身のない話し声が飛び交う中、七百三十円のカプチーノをゴクリと一口飲む。すると、そ…

【ショートショート】たった一枚のキャンバス

 私は色塗りが大好きだった。部活でレギュラーを勝ち取ってやる、そんなときは燃え滾る赤色。他愛のない昼休みを友達と笑いあって過ごす、そんなとき穏やかな緑色。好きな…

【ショートショート】赤ちゃんの杞憂

 ミルクが飲みたい、どうしようもなくミルクが飲みたい。生まれて早数ヶ月が経過するが、周囲の人間と比べると私の食欲はどうも異常らしい。一日六~八食なんてのがざらに…

【ショートショート】ねぇ、気づいてよ

「面倒くさいなぁ」  そう呟く彼女と目が合う。先生の手伝いだろうか、腕いっぱいのノートを運んでいる。ここはひとつ声をかけてみよう。ここ数カ月の間、困っている彼女…

【ショートショート】書かない豚はただの豚

「おらおら!お前ら、そんなんじゃ夏の学会までに論文間に合わないぞ!」 「ひぃ、すみません教授!」 「謝ってばかりじゃ論文は書けないだろ!口より手を動かせ、この豚…

【日記】銭泥棒、その名は団子

和菓子屋さんに行くと、7種類くらいの串団子が販売されています。エースで4番のみたらし、おしとやかなヒロインのこし餡、古風が持ち味のずんだ、よくわからない黒ゴマ、な…

【日記】海外出張 in メイドカフェ

【日記】海外出張 in メイドカフェ

 この度、海外出張に行ってきました。出張先は、秋葉原駅から徒歩1分に位置する「めいどりーみん LIVE RESTAURANT Heaven's Gate」。通称、夢の国。ハハッ(甲高い声)。

 面倒な入国手続きは特にありません。可愛らしい現地のメイドさんが優しく案内してくれるので、初入国の方でも安心です。

 まず最初にすることはドリンクのオーダー。私は「堕天使」を頼みました。日本におけるコーク

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【ショートショート】怪獣の即死魔法

【ショートショート】怪獣の即死魔法

 今日、夫が死んだ――。

 我が家には、誕生からもうすぐ2年になる小さな怪獣がいる。そんな怪獣と共存する日々は悪戦苦闘の連続だ。

 中でも厄介なのが怪獣の必殺技、全てを拒絶する孤高の咆哮「イヤイヤ」である。

 「ベビーカー乗る?」と聞くと、「私はもう自立してるのよ」と言わんばかりにイヤイヤ。

 「積み木片付けようね」と促すと、「この芸術作品を壊せというの? ナンセンス」と言わんばかりにイヤ

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【日記】下を向いて歩こう

【日記】下を向いて歩こう

 会社という組織には数多くの人間がいます。

 ナマケモノのように愛嬌溢れる人や、クジャクのように厳かな人、ホワイトライガーのように珍しい人生経験を持つ人、よく分からないけど偉いおじさんなど……

 もはや、ジャングル。

 そんなジャングル、もとい会社では「挨拶」が重要になります。社会人という生き物は、社内で目と目が合えばポケモンバトル挨拶をしなければならない。一に挨拶、二に挨拶、三も四も五もぜ

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【ショートショート】彼と彼女の理想像

【ショートショート】彼と彼女の理想像

 東京の片隅に位置する小さな会社。そこに勤める一人の男、あだ名は「蒲田のガンジー」。

 彼の性格は良く言えば真面目で、悪く言えば堅物。プライベートより何よりも仕事、もとい自分の夢を優先するストイックな生き方があだ名の由来だった。

「たまには仕事のことなんか忘れてリフレッシュしないと。身も心も持たないよ?」

 そういった周囲の声に対して、彼は答える。

「夢を叶えるためですから」

 狂ったよ

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【日記】note君が優しい

【日記】note君が優しい

身も心も、ついでに懐も寂しくなる冬。忙しさにかまけて記事を書かなくなり久しいです。

忙しい……!でも……書きたい!
そんな想いが沸々と湧いてくる。

記事を書きたい。

記事を書かねば。

わたしは記事を書くぞ!ジョジョ―ッ!!

ということで記事を書くことにしました。
すると、noteの画面にこんな文字が一言が。

少しずつ歳を重ねた影響でしょうか、蛇口が壊れてるのかな?っていうくらい涙腺が緩

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【ショートショート】一寸先はマルゲリータ

【ショートショート】一寸先はマルゲリータ

――好きな食べ物は何ですか? 

 誰もが遭遇する定番の質問。僕は迷わず答える。

「マルゲリータです」

――地球最後の日に何をしますか? 

 手垢まみれの使い古された質問。そんな問いにも、僕は迷わず答える。

「マルゲリータを食べます」

――私とマルゲリータ、どちらが大事なの?

 映画やドラマなんかでよく見る質問。やはり、僕は迷わず答える。

「もちろんマルゲリータだよ」

――あなたに

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【ショートショート】右手がホタテになった日

【ショートショート】右手がホタテになった日

 言いようのない不安と手に感じる強烈な違和感。それらに叩き起こされながら祐希は目を覚ました。不安を体現したかのような額の汗を右手で拭おうとした瞬間、違和感の正体が視界に入る。

「ホタテ……?」

 右手がホタテになっていた。正確に言えば、手がすっぽり収まるほどの大層なホタテに。この不可解な状況を把握するため、祐希は起きたばかりの鈍い脳をどうにか回転させる。ひとつ分かったのは、手を握るたびに「カチ

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【日記】ピンクの知りたい

【日記】ピンクの知りたい

 夏季特有のキンキンに冷えた電車内で見かけたある親子。推定6歳のお子さんがこんなことを言っていました。

「お母さん、電車降りたらピンクの食べたい」

ピンクの食べたいのかぁ。
ピンクの食べたいよなぁ。
うんうん、わかるわかr……

“ピンクの”ってなんだ……?
 世界広しと言えど、ピンクなんて奇奇怪怪な色の食べ物はそう多くないはず。

 例えば、桃とか、桜餅とか、苺シロップのかき氷とか、紅ショウ

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【ショートショート】エモーショナル・カプチーノ

【ショートショート】エモーショナル・カプチーノ

 放課後の学生やデート中のカップルでごった返す夕方の某カフェ。あちらこちらから中身のない話し声が飛び交う中、七百三十円のカプチーノをゴクリと一口飲む。すると、それまでよりもいくらか大きな声で、中身の伴いそうな話を彼氏の義太が切り出した。

「あのさ、由香。俺、会社を辞めようと思う」
「は? どうして? 理由は?」
「ロックバンドを組むから。ギターとか弾けたらカッコいいかなと思って」

 ベタだな、

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【ショートショート】たった一枚のキャンバス

【ショートショート】たった一枚のキャンバス

 私は色塗りが大好きだった。部活でレギュラーを勝ち取ってやる、そんなときは燃え滾る赤色。他愛のない昼休みを友達と笑いあって過ごす、そんなとき穏やかな緑色。好きな人に告白する、そんなときは少し緊張気味な青色。

 要らない色なんて一つもないと私は思う。私を表現するためにはどの色も必要なはずだから。もちろん、黒色だって例外じゃない。他の色と混ざると濁ってしまうかもしれない、彩度が低くなってしまうかもし

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【ショートショート】赤ちゃんの杞憂

【ショートショート】赤ちゃんの杞憂

 ミルクが飲みたい、どうしようもなくミルクが飲みたい。生まれて早数ヶ月が経過するが、周囲の人間と比べると私の食欲はどうも異常らしい。一日六~八食なんてのがざらになっている。けれど、背に腹は代えられない。人は欲望には抗えない。度々申し訳ないと思いながら、ミルクをくださいと母に懇願する。

「あらあら、どうしたの? ウンチ出ちゃったの?」

 違う、ウンチではない、ミルクが欲しいのだと叫び続ける。

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【ショートショート】ねぇ、気づいてよ

【ショートショート】ねぇ、気づいてよ

「面倒くさいなぁ」

 そう呟く彼女と目が合う。先生の手伝いだろうか、腕いっぱいのノートを運んでいる。ここはひとつ声をかけてみよう。ここ数カ月の間、困っている彼女を見つけてはそうやって助け舟を出してきた。何故かって? 野暮なことは聞かないでくれ。そろそろ彼女にも僕の気持ちに気づいて欲しいところだ。

「佐倉さん、手伝おうか?」

「か、片山君 !?」

「一人だとその量は大変でしょ。ほら、持つよ」

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【ショートショート】書かない豚はただの豚

【ショートショート】書かない豚はただの豚

「おらおら!お前ら、そんなんじゃ夏の学会までに論文間に合わないぞ!」

「ひぃ、すみません教授!」

「謝ってばかりじゃ論文は書けないだろ!口より手を動かせ、この豚野郎ども!」

「わ、わかりましたぁ!」

「あ、そうだ。研究計画書は博士の森田に見てもらえ。そろそろあいつにも人を育てさせないと」

「わ、わかりましたぁ!」

「あとな、プログラム関連でわからないことがあれば、隣の研究室の北岡に聞け

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【日記】銭泥棒、その名は団子

【日記】銭泥棒、その名は団子

和菓子屋さんに行くと、7種類くらいの串団子が販売されています。エースで4番のみたらし、おしとやかなヒロインのこし餡、古風が持ち味のずんだ、よくわからない黒ゴマ、など。

どれも美味しそうで、だいたい一串170円。

お店に入る前の掛け声はいつも同じ。「節約大事、食べすぎダメ」

そしていざ、店員さんに声をかけます。「みたらし一本に、こし餡一本と……」

気がついたときには、銭と引き換えに団子をコン

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