【ショートショート】たった一枚のキャンバス
私は色塗りが大好きだった。部活でレギュラーを勝ち取ってやる、そんなときは燃え滾る赤色。他愛のない昼休みを友達と笑いあって過ごす、そんなとき穏やかな緑色。好きな人に告白する、そんなときは少し緊張気味な青色。
要らない色なんて一つもないと私は思う。私を表現するためにはどの色も必要なはずだから。もちろん、黒色だって例外じゃない。他の色と混ざると濁ってしまうかもしれない、彩度が低くなってしまうかもしれない。けれど、その濁りも、低彩度も、全てが私を表現してくれる。だから、要らない