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記事一覧

鈴木惣一朗(ワールドスタンダード)が語る"音楽のことはじめ" 「モノ作りの一番面白いところは、センスに対しての光の当て方と落とし方」ーー音楽に目覚めた青春時代から、パイドパイパーハウスとの出会い、デビュー秘話まで

鈴木惣一朗(ワールドスタンダード)が語る"音楽のことはじめ" 「モノ作りの一番面白いところは、センスに対しての光の当て方と落とし方」ーー音楽に目覚めた青春時代から、パイドパイパーハウスとの出会い、デビュー秘話まで

インタビュー・テキスト/山本勇樹(Quiet Corner)

ワールドスタンダードが1982年から84年にかけてカセットテープのみで発表した、デビュー前の幻のデモテープ音源3作品が、この度、鈴木惣一朗さんの監修の元、初CD化を果たした。過去、ワールドスタンダードのリリースなど、折に触れて、惣一朗さんにインタビューを行ってきたが、実際、そのデビュー前後について、あまり訊いたことがなかった。一体、ど

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「林の美味しいの基準は?」に答えました、と7月15日の日記

「林の美味しいの基準は?」に答えました、と7月15日の日記

【質問】
40代女性ライターです。林さんの、美味しいとは何かの連載、楽しく拝読しております。

私も料理の記事を書くことがありますが、美味しいは流行もあるし、個人の経験値もあるし、難しく感じています。

林さんが先日、大手ビール会社のビールを飲み比べる話を書かれていましたが、そういう時の美味しいの基準は何かありますか?

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[2024.4]坂本龍一に寄せて〜 『TIME』『Ryuichi Sakamoto|Opus』

[2024.4]坂本龍一に寄せて〜 『TIME』『Ryuichi Sakamoto|Opus』

文●圷 滋夫(映画・音楽ライター)

 2023年3月28日に坂本龍一が71歳で亡くなってから、もう一年が経った。その間にも、例えば映画音楽を手掛けた最後の作品『怪物』の公開、人生について生前に語った自伝本「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」の刊行、音楽監督を務めた東北ユースオーケストラに書き下ろした交響曲「いま時間が傾いて」を含むアルバム『The Best of Tohoku Youth Orc

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『街の上で』フィルムの外側に生きる人たちへ

『街の上で』フィルムの外側に生きる人たちへ

『街の上で』(2021年)

監督:今泉力哉
脚本:今泉力哉、大橋裕之

荒川青:若葉竜也

川瀬雪:穂志もえか
田辺冬子:古川琴音
高橋町子:萩原みのり
城定イハ:中田青渚

あらすじ

誰も見ることはないけど 確かにここに存在している

古着屋で働く荒川青は、恋人に浮気された上にフラれたが、いまだに彼女のことが忘れられない。そんな青のもとに、美大に通う女性監督から自主映画への出演依頼が舞い込む

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エドワード・ヤンの大回顧展を見て

エドワード・ヤンの大回顧展を見て

text/photo by 月永理絵

『エドワード・ヤンの恋愛時代』の4Kレストア版を見て、どうしようもなく打ちのめされてしまった。20年ほど前に見たときには、この陰鬱さ、残酷さにまったく気づいていなかった。いったいエドワード・ヤンという人は世界をどう見つめていたのか。それをもっと知りたくなり、夏休みを兼ねて、ちょうど台湾で開催中のエドワード・ヤンの大回顧展を見に行くことにした。

エドワードヤ

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『Respond to Respond』” レスポンドレーベル・ディスクガイド” 

『Respond to Respond』” レスポンドレーベル・ディスクガイド” 

1981年に英国のロックバンド、ザ・ジャムのポール・ウエラーによって、第二のモータウンを立ち上げるべき設立されたインディペンデント・レーベル”RESPOND”レスポンド。「Keeps or Burning」を合言葉に約5年間にわたり若き才能を音楽シーンへと導いたが、結果、大きな成功を手にすることなくレーベルとしての活動は終わる。
地元グループがいきなり表舞台にあがったかのようなビジュアルその垢抜け

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”僕にとってサバ―ビア・スイートとは第二の植草甚一だった”

”僕にとってサバ―ビア・スイートとは第二の植草甚一だった”

音楽評論家またはプロデューサーとも知られる立川直樹氏に『TOKYO 1969』という本がある。

ムッシュかまやつ、森永博志、J・Aシーザー、岡田大貮らら四氏との対談の中から、キャンティ、ジョージ、新宿文化・・・、重要な場所、そこで起こった実際の出来事をあらんかりぎの記憶力で呼び覚ます。やがて、ドキュメンタリー、いや一本の映画を観ているような感覚をもたらしてゆく。そして、浮かびあがるのが1969年

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カルテットのロケ地を巡った話。

カルテットのロケ地を巡った話。

「怪物」は、見たでしょうか。
公開が決まった当初から楽しみにしていて、
公開日の翌日に観に行きました。

とんでもない映画だった、、
なかなか余韻から抜け出せず、
レイトショーからのa.m.3:30くらいまで
眠れなかったほどです。

そのわけわからんテンションの果てがこちら💁🏻‍♀️
まとまり無さすぎて引きます。

前置きが、長い。
まあ何が言いたいかっていうと、
坂元裕二さん脚本の作品がす

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[2023.4]追悼 : 坂本龍一が去った世界

[2023.4]追悼 : 坂本龍一が去った世界

文●宮沢 和史 texto por Kazufumi Miyazawa

 何から書き始めていいか分からない。坂本さんの音楽への思いや、坂本さんとのいくつかの思い出を語れば、与えられた文字数でこの原稿を埋めることはできるだろう。だが、そんなものはどうでもいい気がしてきた。世界中の音楽家、音楽ファンの心に流れていた大きなひとつの水系を我々は失くしてしまったのだ。今はまだその水脈の素晴らしさや、そこか

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[2023.4]【追悼】芸術は長く、人生は短い ⎯⎯ 坂本龍一さんに捧ぐ

[2023.4]【追悼】芸術は長く、人生は短い ⎯⎯ 坂本龍一さんに捧ぐ

文●中原 仁

 3月末、昨年亡くなった音楽プロデューサー、宮田茂樹さんを偲ぶ会の会場に、新緑の季節を先取りしたと思えるほど鮮やかな緑色の花が飾られていた。それが坂本龍一さんから贈られた花であることを聞いて何人かの出席者と、約2週間前に坂本さんが病床から明治神宮外苑の再開発に反対する手紙を都知事に送ったことなどに触れて、早く元気になって戻ってほしい、と話していたのだが ……。

 その数日後に訃

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高橋幸宏 50周年記念 ライブ LOVE TOGETHER 愛こそすべて:セットリスト

① メドレー1(Inst.) Bijin-Kyoshi at the Swimming School〜中国女〜Rydeen
② 世界中が I LOVE YOU
③ Blue Moon Blue(Hana Hope)
④ メドレー3(EMI) 空気吸うだけ〜青空〜素敵な人(Hana Hope/坂本美雨 )
⑤ 流れ星ひとつ
⑥ See You Again(LEO今井/小山田圭吾)
⑦ At

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WKW4K 劇場ごと作品ごとに堪能!上映環境紹介(9.1現在)

WKW4K 劇場ごと作品ごとに堪能!上映環境紹介(9.1現在)

8/19(金)よりシネマート新宿ほか全国順次大ヒット公開中のWKW4K ウォン・カーウァイ4K 5作品。

ウォン・カーウァイ監督自身によって4Kレストアされた『恋する惑星 4K』『天使の涙 4K』『ブエノスアイレス 4K』『花様年華 4K』『2046 4K』として、美しく鮮やかに、よりエモーショナルによみがえっている。

ウォン・カーウァイ監督は、新たな上映素材について「『恋する惑星』と『花様年

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[2022.2] 青木菜穂子 ⎯ ソロピアノ・アルバム『Tardes lejanas(遥かなる午後)』

[2022.2] 青木菜穂子 ⎯ ソロピアノ・アルバム『Tardes lejanas(遥かなる午後)』

文●花田勝暁

 「セレステ・セプテット(Celeste Septet)」「クアルテート・コンフェイト(Cuarteto Confeito)」「オルケスタ・アウロラ(Orquestra Aurora)」などで活躍するピアニストの青木菜穂子が、ピアノ独奏を中心とするソロアルバム『Tardes lejanas(遥かなる午後)』を2月15日、リリースした。

  収録曲は以下の通りで、タンゴの名作①③⑦

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僕が体験した東京の90年代   第2回 ピチカートファイブとの出会い。

僕が体験した東京の90年代 第2回 ピチカートファイブとの出会い。

田島貴男君との出会いの前に、
やはりピチカートファイブとの出会いの話になるかな。

初めてピチカートのライブを見たのは渋谷パルコ・パート3だったと思う。細野晴臣さんのノンスタンダード・レーベルのイベント。
ブルートニックとピチカートファイブの対バン、に僕がDJとして参加。

まだデビュー・シングル「オードリー・ヘップバーン・コンプレックス」がリリースされたあたり。

その後、CBS SONYから出

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