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半世紀前から普通の人生に挑戦した車椅子おばあちゃんの物語

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語1~58
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2024年1月の記事一覧

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑰

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑰

夢のマイホーム!

「フリーター家を買う!」
ではなくて
「車椅子ユーザー家を建てる!」

その頃の私たちの住まいは
予定通りに建て替えられた、きれいで、便利で、
とっても使いやすい県営団地の車いす用住宅でした。
お家賃もそれほど高くなく、
建て替えの時には何度も現場へ行かせていただき
浴室やキッチンなど全て
チビな私に合わせて作ってくださいました。
駐車場も玄関のすぐ前に2台分
車椅子での乗り

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑱

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑱

夢のマイホームで同居生活って

さて、いよいよ夢のバリアフリー住宅計画が始動です。
駐車場もキッチンも浴室も県営団地よりも暮らしにくくなっては
意味がありません
当時木造住宅には認可されていなかったらしいのですが、
ホームエレベーターは必須です
さらに、いろいろ夢を見ていた私達は、あれもこれもと
設備に注文をつけたのでした
さあ、大変です
どうなることやら、小さな町の建設会社が対応してくださるので

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑲

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑲

行くぞ!産婦人科!

家に2人の主婦はいらないですよね
と思い始めたころ
リハビリでお世話になった先生から連絡がありました。
「病院で受付のアルバイトを募集しているの、どうかな」
「フルタイムじゃなくて、週に2~3日なんだけどね」
仕事を辞めてしばらく休み、だいぶ気力も復活した頃でした、
「行きます」
「お願いします」
またまた専業主婦は一休みして、嬉々としてアルバイトを始めました。
やっぱり仕事

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑳

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑳

「おめでとう、奇跡だね」

産婦人科って
どんな感じなんだろう
若い女の人が大勢いるんだろうな
みんなおなかが大きくて、幸せそうに
キラキラしてるのかな

そこへ車いすの私が一人で行ったら
絶対に注目の的だよね
なんて思われるんだろう

妄想や卑屈な考えがあとからあとから湧いてきて止まりません
あ~
やっぱりやめようかな

就職は
してみて、ダメなら辞めればいい
結婚も
してみて、ダメなら離

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉑

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉑

「産まれたよ、見においで!」

諦めたとたんに
私のおなかに宿った小さな命

その頃、我が家には1歳になったばかりの長男がいました
血はつながっていませんが
名前はたつのりといいます。
たつのりの可愛い姿を思い浮かべて
辛い不妊治療や検査も頑張れました

1989年(平成元年)3月26日
「産まれたよ、見においで!」
実家の母から電話がありました。
「わかった、すぐ行く!」
長男たつのりが生まれ

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉒

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉒

「切迫流産」

妊娠の経過は順調で、つわりもそれほどひどくはありませんでした
車の運転も普通にして定期検診や母親学級に通っていたくらいです
その日もいつもの通り夫は出勤、
義母は趣味のパチンコに出かけていたある日、
なんとなくお腹が痛い気がして
「何か悪いものでも食べたかな」
とトイレへ
すると、だんだん痛みが強くなり
その痛みは、一定の間隔で繰り返し襲ってきます
「これはちょっとおかしいかも」

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉓

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉓

「ライバル登場」

「わん、わん」
「わん、わん」
白いもふもふの塊がクルクル回ったり、飛び跳ねたり
車いすのひざに前足をかけて、抱っこをせがみます
かわいいかわいい長男タッチの熱烈大歓迎が待っていてくれました!
「ただいま~、タッチ~」
さあ、
タッチが待ちわびていたママは、最強ライバルの
赤ちゃんを連れて帰ってきたのでした
娘が泣いて、おむつを替えたり、母乳をあげたりすると
たっちくんのいたず

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉔

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉔

「こんなお身体でたいへんですね」

長女と二人でお出かけができるようになりました。
愛犬たっちくんのお散歩も車で近くの公園まで行きます。
まず、車椅子の膝に娘を乗せて車まで連れていきます
チャイルドシートは座席が高すぎて一人では乗せられないので
使えませんでした。

代わりに、大きなポケットのついたエプロンのような形のシートを見つけました。
助手席にエプロンを付けて、穴が開いてるポケットに両足を

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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉕

半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語㉕

「心躍る感動の瞬間ですが」

「○○ちゃぁん、こっち向いてぇ」
「はい、ポーズッ」
「ちゅきにかわって、おっしょっきよっ」
インスタントカメラや、SONYハンディカムで
何かにつけて撮影会がはじまります。
我が家の姫は元気にすくすく育ってくれています

初めての寝返り
初めてのハイハイ
初めてのお座り
初めてのたっち
初めてのあんよ

心躍る感動の瞬間ですが、
悲しいことにあまり記憶にありませ

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