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半世紀前から普通の人生に挑戦して、普通のおばあちゃんになった車椅子ユーザーの物語⑲

行くぞ!産婦人科!


家に2人の主婦はいらないですよね
と思い始めたころ
リハビリでお世話になった先生から連絡がありました。
「病院で受付のアルバイトを募集しているの、どうかな」
「フルタイムじゃなくて、週に2~3日なんだけどね」
仕事を辞めてしばらく休み、だいぶ気力も復活した頃でした、
「行きます」
「お願いします」
またまた専業主婦は一休みして、嬉々としてアルバイトを始めました。
やっぱり仕事は楽しい
 
そして、
もう一つの挑戦、妊活を密かに始めたのです
まず、リハビリの担当ドクターに相談してみました
その先生はとても穏やかで、優しい先生です。
私が支援学校を卒業して初めてリハビリにお世話になった時からの主治医の先生でした。
 
「先生、ポリオで私ぐらいの障害の人で赤ちゃん産んだ人いますか」
「う~ん、あんまり聞かないかな」
「側彎があるから、妊娠できたとしても10か月おなかに入れておくのは難しいし」
「流産する確率が大きいね」
「ある程度大きくなってお腹に入れておくのが大変になったら、帝王切開で取り出すことになると思うけど」
「そうなるとかなり未熟児だから未熟児網膜症とかの危険性もあるし」

「・・・やっぱり、そうですよね・・・」
診察室を出ると、涙が溢れてきました
「だめなのか・・・」
なんだか全身の力が抜けてしまい
「どうにもならないこともあるんだな」
としばらくは
落ち込んだ日々を送っていたのです。
 
が、
しかし、
ここであきらめるわけがありません
 
「?」
「ちょっと待って」
「リハビリの先生は産婦人科医じゃないし」
今まで産んだ人がいなかったとしても、やってみなきゃわからないじゃん
専門の産婦人科に相談してみよう
え~
でも~
やだな~
どうしよう~
 
普通に結婚して
10年が過ぎ
家も建て
子供が自然にできなければ
病院へ行く
ごくごく当たり前のことですが
車椅子ユーザーの私には
ちょっとハードルが高い挑戦です
 
しかし、期限は限られています
さあ、頑張りどころ
後で後悔しないために
行くぞ
産婦人科
 
とは決めたものの
産婦人科に行った経験は人生で1回だけ
健康診断で子宮がん検診を受けるように言われ
近所の開業医へ行った経験はありましたが
それだけです。
その頃の地域の個人病院や、開業医は
どう考えても車椅子で通える設備ではありませんでした。
入り口には段差や階段があり
靴を脱いでスリッパに履き替える方式です。
産婦人科だけでなく
歯医者さんも、内科医院も、小児科も
車椅子で受診するのは大変でした
 
それに、やっぱりいろいろリスクがあるだろうから
大きな病院がいいだろと考えました。
もしも入院するなら実家から近いほうがいいし
とも考えて
ターゲットは、実家のある街の大学病院に決めました。
 
ほんとうにありがたいことに
私は大人になってからは大きな病気をしたことがありませんでした
大学病院たるところにもなんの縁もなかったのです。
 
初めての大学病院
初めての産婦人科
不安な気持ちを抱えて、勇気を振り絞って
突撃です。


 


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