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文学作品

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高校生の頃に作ったものを手直ししています。あとは最近の作品です。
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#文学フリマ

若い女が好きなのね

若い女が好きなのね

僕の視線が 見つかった
向こうの女子と 目が合った
記念日ディナーは 大惨事
若い女が 好きなのね? 

僕は君だけ 愛してるんだ
ともに過ごした 時は宝石
記憶の中じゃ 君も若いよ
時が過ぎれば 人も過ぎるさ

今の君こそ 一番素敵さ
本気で今そう 思ってる
年を重ねた 良い女
ステキな笑顔を 見せてよ、僕に

スープが冷めても 愛は覚めない
浮つく僕が 並べた言葉
横顔で聞く 彼女の微笑み 

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春の風に酔う

春の風に酔う

春の陽気に 誘われて
彼女と出かけた 帰り道
波打ち際は 眩しくて
光の粒が 僕ら包んだ

潮風が髪、なびかせた
波が目元を、明るく照らす
照れた僕見て、笑ってた
そんなひととき、安らぎの時

遠くの雲に 嵐の気配
僕ら手をとり 歩くんだ
砂浜、裸足で 温もり感じた
笑顔に、肩に 愛しさ募る

僕らが誓った 永遠の愛
君は秘かに 不安を抱いた
僕は無邪気に 夢を見ていた
波の間で 恋が揺れてた

完璧な僕の哀歌

完璧な僕の哀歌

僕は完璧な人間だ。世間に気を使うなら、僕は完璧を目指す人間だ。

そんな完璧な僕にも、唯一といっていい弱点がある。意外とお腹が弱い。少々のストレスには平然と対応する。平然といられない時でも、表情は変えない。そんな時に僕のお腹は悲鳴を上げる。社会人2年目の今でも、時々発作のようにそれは僕を襲った。

今日は待ち望んだ部署内のプレゼン発表会だ。準備は大変だったが完璧だ。何度かお腹が辛そうにしていたが乗

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岬にて

岬にて

ここは神奈川県の御崎にある、有名な断崖絶壁の景勝地だ。
ただし有名なのはその景色よりも自殺の名所として、だ。

駐車場近くの公園を過ぎて崖に向かうと、その途中には近隣住民が建てたと思われるプラカードが乱立していた。自殺騒ぎのたびに自宅の価値が下がるのが許せないらしい。
「死ぬなら他所で、やれってか」
苛立ちを覚えた僕は目を背けて足早に崖へと急いだ。

僕は別に死にたくて来た訳じゃない。自殺する奴ら

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海辺にて

海辺にて

「失恋の傷なんて波にでも流してこいよ。」
友人のさり気ない一言を真に受けた僕は、ひとり秋口の海岸に立っていた。
目の前に広がる海は青く澄んで、泳ぐにはもう肌寒く人影もまばらだった。

昨日のやけ酒が残って、胃が苦しい。こういう時、康介は何かと僕に飲ませようとする。酒でココロの傷が癒えるとでも思っているのだろうか。僕はぼろぼろな感情を焚きつけられ、深夜の居酒屋で前日に振られた彼女の名前を連呼した挙げ

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線香花火

線香花火

戯れにただ それだけで
手ぶらで行くのも 気まずくて

その瞳から 悲しみ漏れた
共に暮らした 楽しき日々は

ただ穏やかに 過ぎていた
熱情襲う ボクが壊した

非難、断罪 言って欲しくて
その悲しみを 癒やすなら

何も言わずに 黙って泣いた
弱い背中に 情が残った

失くしてしまった 反省と
取り戻さない 熱情が

弱き心を 締め付けるから
黙って肩を 抱きしめたんだ

ごめんなさいって 言

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真宵の森

真宵の森

久々会った 驚いた
装い髪まで 違ってた
慣れた仕草に 心が和む
夕の宴も そこそこに

迷いの森に 立ち入れば
芥子の匂いが 立ち込めた
湿った風が 首筋を這う
更なる奥を ひた目指す

二人きりだよ 大丈夫
怯えた君の 髪撫でた
宵が更けたね 闇が静まる
耳に残るは 吐息だけ

月が揺れたら 抱きしめようか
貴方が何処へも 行かないように
見失わぬように 失くさぬようにと
寝顔見つめて 夜明け

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夢日記

夢日記

最近、よく夢を見る。
その日の午後には何も覚えていなくて、夢を見ていた、それだけ。何かしら楽しかったような…それ以上の記憶がない。モヤモヤするって、こういうヤツだ。

気になって、ある時恋人に相談した。夢日記を付けるといいって教えてくれた。目覚めたらすぐに夢の記録をつけるのだ…うー、面倒だが仕方ない。
正体の見えない誰かさんと一戦交えるような気分だ。思い出せない数々の夢に悶々とした僕は、夜が楽しみ

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情熱の花

情熱の花

心に眠る 情熱の花
静かに待つは 春の喜び

ざわつく胸が 呼び起こす
われ先目指す 恍惚の先 

枯れない花を 咲かそうか
覚めない夢は 現を抜かす

老若男女 遠慮も無用
真夜中募る 燃え盛る

一度っきりの 人生さ
行き先知らぬ 心は躍る

行き着く先は 夢の果て
枯れて咲き誇る 情熱の花

先生の記憶 【エゴイスト公開記念】

先生の記憶 【エゴイスト公開記念】

その建物は丘の上にあった。
窓からの景色は開けていて、遠くには海が見えた。海の青は色を変え、徐々に空と溶けていくようだった。僕はこの部屋で何度もこの海が空に溶けていく風景を眺めていた。日によって空はその深さを増し、時によってその色合いを変えた。

片田舎の辺鄙な場所、言ってしまえばその通りだ。でもこの小さな建物は凛として強く、その丘に建っていた。随分前に立てられたようだが、並んだ丸太逹がしっかりと

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幼き日の遠い記憶

幼き日の遠い記憶

幼い子どもの頃、隣のさやちゃんとよく遊んだ。
さやちゃんは同い年だけど大きなお姉ちゃんがいたせいか、ませて僕のことをいつも子ども扱いしていた。だから遊びはいつもおままごとで、僕は子どもの役ばかりだった。本当は嫌だった。けど当時の僕は幼い子どもで、さやちゃんに嫌だって言えなかった。だからさやちゃんがお母さんになって、ご飯を食べたり、一緒に横になって寝たりして遊んでいた。

その日も相変わらずのままご

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はじめての彼女は天然で天真爛漫な人だった

はじめての彼女は天然で天真爛漫な人だった

これは僕の初めての彼女の思い出。
彼女は時々突拍子もないことを言い出して、僕を困らせた。天然で天真爛漫。そんな言葉がピッタリだ。例えを言えばキリがない、毎日がそんな感じだ。でも僕には初めての彼女だった。だから女子ってこんなもんかな、くらいにしか思わなかった。

彼女に出会った日のことは忘れられない。
その日は朝からの雨で、学校帰りの道はしっとりと濡れていた。曇り空から細やかな雨粒が落ちてくるのを、

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恋をかなえる魔法のクスリ

恋をかなえる魔法のクスリ

効能効果は お楽しみ
用法用量 おまかせで
味は全部で 3種類
甘いの苦いの 切ないの

ココロがほんわか 温まる
スパイス入りの このクスリ
愛情いっぱい 詰めこんで
じっくり煮込んで できあがり

お代なんかは 良いからさ
ものは相談 なんだけど
通りの向こうの あの娘にひとつ
お気に入りだろ 知ってるよ

浮かない顔して ため息ついて
元気になって 欲しいだろ?
行って話して 聞かせてあげな

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もしも彼女にするのなら、どんな女性がお好みですか?

もしも彼女にするのなら、どんな女性がお好みですか?

もしも彼女に するのなら
どんな女性が お好みですか?
悪戯っぽく 微笑んだ 
その仕草にもう 一撃だった

恋愛経験 ないからね
自称草食 焦った僕は
何でも良いです 0点回答
ひどいと口を 尖らせた

午後のスタバで テーブル挟む
抹茶のラテは 味がしない
映画の感想 聞かれても
横顔見つめて ろくに見てない

もしも彼氏に するのなら
どんな男性が お好みですか?
聞いてもみたいし 期待もし

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