川北 裕之

リタイア間近の高校生物教師。高校の中庭をビオトープしたことから、身近な自然の復元や生物…

川北 裕之

リタイア間近の高校生物教師。高校の中庭をビオトープしたことから、身近な自然の復元や生物多様性の向上に努めてきた。書籍や雑誌などに報告してきたが、今その機会も少なくなったので、この場を借りて、実践やビオトープ・生物教育や趣味の昆虫写真、クラシック音楽について気楽に書いていく。

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固定された記事

noteをはじめるきっかけ ~ 学校ビオトープの復活を

学校にビオトープをつくる  高校で生物を教えています。気がつけば40年くらいになっていました。教師として一通りの仕事は行ってきたつもりですが、その中で一番力を入れ…

川北 裕之
6か月前
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ポケット図鑑 日本の昆虫1400から1900へ 情報量が多くより実用的

 7月2日に文一総合出版より、『ポケット図鑑 新日本の昆虫1900』が刊行された。待ちに待った図鑑の新版であり、さっそくネットで購入した。旧版である『ポケット図…

川北 裕之
7日前
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ビオトープにコイは入れない

生物の授業では外来種問題は扱わない!?  高校の生物分野には、「生物基礎」と「生物」の2つの授業があります。「生物」は「生物基礎」を選択しておく必要があります。…

川北 裕之
11日前
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ナメクジはナメクジ!?

ナメクジはナメクジ!?  6月も後半、もう梅雨入りでしょうか。蒸し暑い日が続けば、次の日は雨。嫌な季節ですね。  昆虫写真を撮る目的で行くいつもの公園で、たまた…

川北 裕之
2週間前
6

昆虫のすごさって 何?       続きです  不完全変態でもすごい!

地球は昆虫の惑星  最近出版された子ども向けの昆虫図鑑『学研の図鑑LIVE昆虫新版』2022発行には、 とあります。同じページに全生物種を示す円グラフがあり、確かに…

川北 裕之
3週間前
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昆虫のすごさって 何?

昆虫の観察会はこどもに人気  昆虫観察会の講師をずっとやっています。毎回、観察会の始めに簡単な資料を作って、観察するポイントを説明するようにしています。  対象…

川北 裕之
1か月前
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東京の真ん中ですてきな雑木林を見つけた!

ここはどこだと思いますか? ここはどこだと思いますか? 5月某日、この日は天気も良く、湿度が低いので、外出するには最適。都心でも人ごみの少ない江戸城、皇居周辺を…

川北 裕之
1か月前
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春咲く雑草10種の観察 生物基礎の授業の一コマ

 春は、1年間で一番、雑草や野草の花がみられる季節です。冬から少しずつ暖かくなり、草が伸び始める春は、草丈の低い雑草や野草の花が目立ってきます。  毎年、この時…

川北 裕之
2か月前
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里山の竹林はレッサーパンダのため

竹の葉は、レッサーパンダの餌に  ゴールデンウイークはどこも混んでいる。遠くに行くのは大変なので、近くにある動物園に行ってきました。今日はいつもすいている駐車場…

川北 裕之
2か月前
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脱皮直後は目立つ ヨコヅナサシガメ 成虫になる

 4月26日、いつも昆虫写真を撮っている公園に出かけた。何かと忙しく,久しぶり。気温が高く、昆虫たちも元気。  ヨコヅナサシガメが集団越冬している樹木のくぼみを見て…

川北 裕之
2か月前
7

私の人生に影響を与えた本~ビオトープとの出会い『自然環境復元入門』

 小説を読んで物語を楽しんだり、参考書を読んで勉強をしたりと、今までいろいろな本と出会ってきました。  私の人生にとって一番は、『自然環境復元入門』(杉山恵一著…

川北 裕之
2か月前
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そもそも学校ビオトープとは その3

次の2冊の本を参考にして、学校ビオトープについて考える3回目。 ・杉山恵一・赤尾整志監修(1999)『自然復元6 学校ビオトープの展開ーその理念と方法論的考察ー』信山社…

川北 裕之
2か月前
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ガガンボが泥をツンツン~ガガンボの産卵、ジュラシック・パークにも登場?

 久しぶりに天気が良くなったので、春休みの1日、いつもの公園に行きました。前回のキアゲハを見つけた4月2日、そのほんの30分ほど前の出来事です。  同じ公園に小…

川北 裕之
3か月前
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キアゲハ               春の雨降りの後に新しい出会い

 3月、4月は、別れと出会いの季節。卒業式を終え、学年末考査、テスト返却、終業式と続きます。加えて高校教員は、2月からの入試業務、日々の授業、生徒対応、学年末テ…

川北 裕之
3か月前
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そもそも学校ビオトープとは その2

 次の2冊の本を参考にして,学校ビオトープについて書いています。その2回目です。自分自身の記憶の整理という意味合いもあり、久しぶりに読み直しています。前回は、ビ…

川北 裕之
3か月前
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そもそも学校ビオトープとは

 3月22日(金)3学期の終業式を終え、やれやれというところです。今年度末は異動もなかったので、少し余裕があります。春休みはゆっくりしようと思っています。  この機…

川北 裕之
3か月前
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noteをはじめるきっかけ ~ 学校ビオトープの復活を

noteをはじめるきっかけ ~ 学校ビオトープの復活を

学校にビオトープをつくる

 高校で生物を教えています。気がつけば40年くらいになっていました。教師として一通りの仕事は行ってきたつもりですが、その中で一番力を入れてきたのが、ビオトープに関することです。
 自然は守るもの、保護するものと考えてきた私にとって、自然を復元する、創造するビオトープは、逆転の発想、全く新しい思いもつかなかったものでした。
 異動した高校で中庭を改修する話が持ち上がり、先

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ポケット図鑑 日本の昆虫1400から1900へ 情報量が多くより実用的

ポケット図鑑 日本の昆虫1400から1900へ 情報量が多くより実用的

 7月2日に文一総合出版より、『ポケット図鑑 新日本の昆虫1900』が刊行された。待ちに待った図鑑の新版であり、さっそくネットで購入した。旧版である『ポケット図鑑 日本の昆虫1400』は以前noteで推薦の記事を書いているので、新旧の比較を交えながら第一印象を報告したい。

種類数が増えているのに全く厚くなっていない!

 実物を見ないで購入したので、7月4日に自宅に届いての第一印象は、
    

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ビオトープにコイは入れない

ビオトープにコイは入れない

生物の授業では外来種問題は扱わない!?

 高校の生物分野には、「生物基礎」と「生物」の2つの授業があります。「生物」は「生物基礎」を選択しておく必要があります。
 「生物基礎」の教科書、実教出版「高校生物基礎」を例にとると、最後に置かれた第4章が「生物の多様性と生態系」になっています。第4章の最後の節が「生態系のバランスと保全」になっており、その中で「外来生物による影響」を学びます。つまり、この

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ナメクジはナメクジ!?

ナメクジはナメクジ!?

ナメクジはナメクジ!?

 6月も後半、もう梅雨入りでしょうか。蒸し暑い日が続けば、次の日は雨。嫌な季節ですね。
 昆虫写真を撮る目的で行くいつもの公園で、たまたまナメクジを見つけました。この日めぼしい昆虫に出会えなかったという理由もありますが、ナメクジについて少し調べてみました。

 カタツムリは多くの種類がありますが、ナメクジは種類が少なく、ふだん見かけるナメクジはナメクジということです。手

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昆虫のすごさって 何?       続きです  不完全変態でもすごい!

昆虫のすごさって 何?       続きです  不完全変態でもすごい!

地球は昆虫の惑星

 最近出版された子ども向けの昆虫図鑑『学研の図鑑LIVE昆虫新版』2022発行には、

とあります。同じページに全生物種を示す円グラフがあり、確かに昆虫が半分以上を占めています。
 前回、「昆虫はすごさって 何?」と題して、昆虫の観察会での資料をもとに昆虫の「変態」について書きました。今回は不完全変態について書きます。

不完全変態 ~ 幼虫にも6本のあしがある
 次の写真はみ

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昆虫のすごさって 何?

昆虫のすごさって 何?

昆虫の観察会はこどもに人気

 昆虫観察会の講師をずっとやっています。毎回、観察会の始めに簡単な資料を作って、観察するポイントを説明するようにしています。
 対象は子ども、小学生の低学年が大半です。参加は親子ですので、お父さんやお母さんに受ける話も入れたりしています。
 昆虫の観察会は、人気があって募集するとすぐに埋まってしまいます。

昆虫のすごさって 何? 

 昨年の観察会では、昆虫のすごさ

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東京の真ん中ですてきな雑木林を見つけた!

東京の真ん中ですてきな雑木林を見つけた!

ここはどこだと思いますか?

ここはどこだと思いますか?
5月某日、この日は天気も良く、湿度が低いので、外出するには最適。都心でも人ごみの少ない江戸城、皇居周辺を散歩することにしました。江戸城の一角、正確には皇居東御苑で見つけたのが、写真の雑木林です。クヌギやコナラなどの落葉樹が生い茂り、新緑が美しい!
「二の丸雑木林」の看板がありました。

 二の丸雑木林は昭和天皇のご発意により、武蔵野の雑

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春咲く雑草10種の観察 生物基礎の授業の一コマ

春咲く雑草10種の観察 生物基礎の授業の一コマ

 春は、1年間で一番、雑草や野草の花がみられる季節です。冬から少しずつ暖かくなり、草が伸び始める春は、草丈の低い雑草や野草の花が目立ってきます。
 毎年、この時期に、生徒たちを教室から校庭に連れ出しています。今回は「生物基礎」という授業の一コマの話になります。

実物を、生育している状態で見せたい!

 「生物基礎」では、最初に生物の共通性と多様性を扱います。この単元では、具体的な個々の生物につい

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里山の竹林はレッサーパンダのため

里山の竹林はレッサーパンダのため

竹の葉は、レッサーパンダの餌に

 ゴールデンウイークはどこも混んでいる。遠くに行くのは大変なので、近くにある動物園に行ってきました。今日はいつもすいている駐車場もいっぱい。入場券も並んで買いました。
 この年末から、ビオトープや里山、昆虫に関することをnoteで書いています。「動物園で里山の恵みが役立っている」という発見、私自身の単なる知識不足の表明のような気がしますが、純粋に感心したので報告さ

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脱皮直後は目立つ ヨコヅナサシガメ 成虫になる

脱皮直後は目立つ ヨコヅナサシガメ 成虫になる

 4月26日、いつも昆虫写真を撮っている公園に出かけた。何かと忙しく,久しぶり。気温が高く、昆虫たちも元気。
 ヨコヅナサシガメが集団越冬している樹木のくぼみを見てみる。真っ赤な個体を発見。とにかくよく目立つ。脱皮した直後の成虫だ。幼虫にはない白黒の翅がある。これが横綱のまわしを思わせる。時間とともに胸部も黒くなるはずだ。全体が黒光りしてきて、色は地味だが迫力のある姿になる。
 周りにはまだ終令幼

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私の人生に影響を与えた本~ビオトープとの出会い『自然環境復元入門』

私の人生に影響を与えた本~ビオトープとの出会い『自然環境復元入門』

 小説を読んで物語を楽しんだり、参考書を読んで勉強をしたりと、今までいろいろな本と出会ってきました。
 私の人生にとって一番は、『自然環境復元入門』(杉山恵一著、信山社サイテック、1992年)との出会いです。この本でビオトープについて知りました。
 1993年(前年の可能性もあります)、池袋東口西武百貨店の地下にある書店で、たまたま手に取ったのがこの本でした。「自然環境復元」という言葉が新鮮に響い

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そもそも学校ビオトープとは その3

そもそも学校ビオトープとは その3

次の2冊の本を参考にして、学校ビオトープについて考える3回目。
・杉山恵一・赤尾整志監修(1999)『自然復元6 学校ビオトープの展開ーその理念と方法論的考察ー』信山社サイテック
・山田辰美編著(1999)『子どもが変わる 学校がかわる 地域が変わる ビオトープ教育入門』農文協
 (書名が長いので、これから、前者と『学校ビオトープの展開』後者 を『ビオトープ教育入門』と表記します)

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ガガンボが泥をツンツン~ガガンボの産卵、ジュラシック・パークにも登場?

ガガンボが泥をツンツン~ガガンボの産卵、ジュラシック・パークにも登場?

 久しぶりに天気が良くなったので、春休みの1日、いつもの公園に行きました。前回のキアゲハを見つけた4月2日、そのほんの30分ほど前の出来事です。
 同じ公園に小さいな池があります。池のまわりは、土でおおわれいて、雨が降った後は泥地になります。何かいないかと近づいみると、ガガンボがピストンのように上下に動いています。
 近づいてよく見ると、ちょうど座頭市が杖を地面を探るように、ガガンボが自身の産卵

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キアゲハ               春の雨降りの後に新しい出会い

キアゲハ               春の雨降りの後に新しい出会い

 3月、4月は、別れと出会いの季節。卒業式を終え、学年末考査、テスト返却、終業式と続きます。加えて高校教員は、2月からの入試業務、日々の授業、生徒対応、学年末テスト問題作成、採点、成績処理などなど・・・毎日毎日、なかなか慌ただしい。
 3月に卒業生に別れを告げて、4月には新入生が入ってきます。先生方の異動もあり、3月、4月は出会いと別れの季節です。

 今年はこの時期、雨が多く、気温も急に下がった

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そもそも学校ビオトープとは その2

そもそも学校ビオトープとは その2

 次の2冊の本を参考にして,学校ビオトープについて書いています。その2回目です。自分自身の記憶の整理という意味合いもあり、久しぶりに読み直しています。前回は、ビオトープと学校ビオトープについて書きました。今回は、学校ビオトープについてもう少し深く考えます。

・杉山恵一・赤尾整志監修(1999)『自然復元6 学校ビオトープの展開ーその理念と方法論的考察ー』信山社サイテック
・山田辰美編著(1999

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そもそも学校ビオトープとは

そもそも学校ビオトープとは

 3月22日(金)3学期の終業式を終え、やれやれというところです。今年度末は異動もなかったので、少し余裕があります。春休みはゆっくりしようと思っています。
 この機会に、ビオトープ、特に学校ビオトープについて考えていこうと思います。次の2冊の本を参考にしていきます。自分自身の記憶の整理という意味合いもあり、久しぶりに読み直してみます。

・杉山恵一・赤尾整志監修(1999)『自然復元6 学校ビオト

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