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KILLING ME SOFTLY【小説】125_予防線や裏に隠す劣等感

こちらの相談に乗るだけでなく、佐伯は自らの過去も打ち明ける。

「私ずっと不登校だったんですけど、偶々お姉ちゃんが読んでた雑誌に天使みたいな莉里さんが載ってて、ずば抜けた美人であまりのかわいさに衝撃を受けました。それから通信制の高校に進んで少しずつ外に出て、なれる訳ないのに憧れて何もかも大好きな莉里さんの真似して、初めて会いに行ったイベントで名前覚えてくれてた〈神対応〉。忘れらんないです。散々付き纏って、終いにはバイト先まで同じとか、めちゃくちゃウザかったろうに…誰より喜んで迎え入れた…そういうとこ知ってて一度、判断ミスるぐらいじゃ嫌いませんよ。今はちゃんと大学に通えてる私の世界は莉里さんのおかげで変わった。


彼女はいつまでも私を慕い、今も尚、残る凛々香ファンが力を合わせ必ず守り抜くと言い切った。かねてより私は〈他人からの評価〉特に褒め言葉でどうにか〈自分の価値を見出す〉性格だったが、ここのところ、その傾向が顕著になる。


自己肯定感が低い?
そもそも産んだことを親に後悔され、四半世紀程、生き延びてしまった。
全てこちらの責任、欠如。


弱さを盾にポジティブなメッセージを強要して、少し挫ければ、相手の親切心すら疑うくせに。



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