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この本いいよ!

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これまで私がnoteに投稿した読書感想記事をまとめたマガジンです。本選びの参考になればいいなと思います。
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#読書

ナミダ列車(青春小説感想文)

ナミダ列車(青春小説感想文)

一ノ瀬亜子さんの「ナミダ列車」という青春小説を読みました。

ロードノベルテイストの青春小説というあらすじに魅了され、手にしてみました。栃木県を舞台に描かれるロマン満載の電車旅に胸キュンする作品です。

どんなお話?

感想

電車での小旅行中にいろはが出会う「ハルナ」や、意味深な乗客たちは何者なのか?旅行気分を味わいながら、ミステリアスな物語に浸れました。時間に関する描写が多かったのでSFっぽい

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深夜0時の司書見習い2(読書感想文)

深夜0時の司書見習い2(読書感想文)

近江泉美さん「深夜0時の司書見習い」の2巻を読みました!児童文学のような世界観と、思わず共感してしまう本の話題に魅了され、続編をずっと待ち望んでいました。前作の良さを残しつつ、読書に対する新たな気付きの要素もプラスされていて、1巻に劣らない面白さでした。

どんなシリーズ?

物語の舞台は、図書館の本を読んだ人の想像力が反映される「図書迷宮」。図書迷宮には古今東西の本の登場人物やその著者が存在して

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君がいたから、壊れた世界が輝いた(青春小説感想文)

君がいたから、壊れた世界が輝いた(青春小説感想文)

小桜菜々さんの「君がいたから、壊れた世界が輝いた」という青春小説を読みました。この本は図書館で借りて読んだのですが、想像以上に心に響く物語で、私にとって素直に「読んでよかったな」と思えた1冊でした。

主人公の高校生たちだけでなく、彼女たちの周りにいる大人たちもすごく魅力的に描かれているので、主人公と同世代に限らず、幅広い読者に愛されてほしいと願っている1冊です。

どんなお話?

感想

まず上

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喫茶「猫の木」シリーズが面白い

喫茶「猫の木」シリーズが面白い

ご無沙汰しております。1ヶ月ほどnoteの投稿をお休みしていましたが、またぼちぼち書いていこうと思いますので、よろしくお願いします。

***

さて、今回私がおすすめするのは、植原翠さんの『喫茶「猫の木」』シリーズです。(出版レーベルは、マイナビ出版ファン文庫。ピンク色の背表紙が目印のライト文芸レーベルです)

このシリーズは全3巻構成で、タイトルは「喫茶「猫の木」物語。」→「~「猫の木」の日常

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よめぼく5(読書感想文)

よめぼく5(読書感想文)

森田碧さん『余命一年と宣告された君と、消えたいと願う僕が出会った話』(以下よめぼく5)を読みました。

今回のお話は「記憶」がテーマとのことで、私は忘れられるということが死以上に残酷だと思っているので、このエピソードはいつも以上に感動的な内容だと予感して読み始めました。

まず今作はものや人の記憶を少しずつ失い、やがては死に至る「虫喰い病」が物語の軸となっていて、大好きな人との思い出の尊さがところ

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『君の青が、海にとけるまで』が素敵な話だったので紹介する

『君の青が、海にとけるまで』が素敵な話だったので紹介する

いぬじゅんさんの『君の青が、海にとけるまで』(角川文庫)という作品を読みました。

主に高校生たちの恋を描いたお話が多かったいぬじゅんさんの作品ですが、今作は社会人が主人公の居場所をテーマにした物語となっていて、これまでの作品とはひと味違う優しさを感じる内容でした。

念願の看護師になったものの、職場でのトラブルで心が病み、休職することになった胡麦。物語は休職中に胡麦がSESTAというカフェに訪れ

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ことのは文庫5月の新刊2点の話!(ちょっとお知らせ的な)

ことのは文庫5月の新刊2点の話!(ちょっとお知らせ的な)

ライト文芸レーベル・ことのは文庫の5月新刊2点の帯に私がネットギャリーで先読みした際のレビューが採用されています。

まず1冊目は、鞠目さんの『下の階にはツキノワグマが住んでいる』という作品です。

人間と動物が共存する少しファンタジーの入った新感覚な日常のお話でした。小説ではなかなかに珍しいタイプのお話だと思います。

人間の女性・ゆり子さんと人の言葉を話すツキノワグマさんとのほのぼのした会話が

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最近のおすすめ本:猫のお告げは樹の下で

最近のおすすめ本:猫のお告げは樹の下で

青山美智子さんの『猫のお告げは樹の下で』を読みました。

今作は神社の不思議な猫・ミクジのお告げに導かれ、老若男女が日々をちょっぴり変えていく様子が描かれました。

「ニシムキ」「チケット」などミクジのお告げは一見すると意味深ですが、葉っぱに刻まれていた言葉をヒントに行動し、意外なところから、あるいは知らず知らずのうちに悩みを乗り越えていく数々のエピソードに心打たれました。

中でも私は、「スペー

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好きな作家さんの最高に心動かされる本を読みました

好きな作家さんの最高に心動かされる本を読みました

阿部暁子さんの『カラフル』という小説を読みました。

私は阿部暁子さんの本が高校生の頃から大好きです。魅力的で嫌いになれないキャラクターたちや丁寧な感情描写、作中でちらりと見せるユーモアも好きなところですが、中でも「いいな」と思うのが、自分と同年代の主人公が世の中の理不尽さに立ち向かう物語が多いところです。とても現実的で、読み終えると私も登場人物たちのように頑張ろう!と思わせてくれます。

今作は

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熟成読書感想文:電話交感

熟成読書感想文:電話交感

こがらし輪音さん『電話交感』(角川文庫)
2024年1月某日読了

こがらし輪音さんの作品はデビュー作から大体読んでいますが、作品を重ねるにつれて物語のクオリティに磨きがかかっているような感じがします。個人的に今作は現時点での最高傑作じゃないかと思っています。

まず、今作は現代の日常に怒りを抱える主人公・紗菜が、亡き祖母(タヱ)との不思議な電話でのやりとりを通して、今を生きるために大切なことを学

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水瀬さらさんの青春小説が好きです

水瀬さらさんの青春小説が好きです

最近、水瀬さらさんという作家さんの青春小説が好きでよく読んでいます。

王道でわかりやすいストーリーが多く安心して楽しめるだけでなく、高校生を中心とした登場人物の温かな性格に惹かれるところも作品の大きな魅力だと思います。

今回は私が読んだ水瀬さらさんの本でも特に好きだった3冊を紹介します。

君が、僕に教えてくれたこと

無気力な少年と幽霊少女の交流を描いたハートフルストーリー。私が水瀬さらさん

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『ひとり旅日和』の4巻だよ

『ひとり旅日和』の4巻だよ

秋川滝美さんの『ひとり旅日和』シリーズの4作目「福招き!」を読みました。前巻を読んでから結構間隔が空いてしまいました(^^;;でも相変わらずの面白さ!

自他共に「人見知り女王」を認める主人公・日和が全国各地をひとり旅し、旅先での出会いや発見を通して成長する様子が描かれるこのシリーズ。日和が旅先で見た景色や食べた料理をそそるように説明する作風は、もはや小説の形をしたガイドブックです。

前作は制限

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カナシミ水族館(NetGalley より)

カナシミ水族館(NetGalley より)

夕瀬ひすいさんの『カナシミ水族館』という作品をNetGalleyにて読みました。ことのは文庫より来月刊行予定の作品です。

物語は身近な人間関係に悩みを抱えている主人公・律が、「カナシミ水族館」という不思議な空間に誘われるところから始まります。カナシミ水族館には年齢もバラバラで個性的な4人のスタッフがいて、律は彼らから「悲しみ」と向き合うために大切なことを学びます。

律も苦しんでいる人付き合いの

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「読んだ人しか出会えない感動」がある小説を読みました。

「読んだ人しか出会えない感動」がある小説を読みました。

fudarakuさんの『竜胆の乙女 わたしの中で永久に光る』という小説を読みました!

今作は毎年2月頃からのお楽しみ、電撃小説大賞の受賞作のひとつです。表紙からして私があまり読まなそうなタイプの本ですが、「最大の問題作」「物語は、三度、進化する。」といったキャッチコピーが個性的な作品が多い電撃大賞らしくて興味をそそり、発売後早速読んでみました。

ストーリー感想ここからは感想としておすすめしたい

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