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#推薦図書
なぜ「原爆初動調査」の真実が隠されたのか?|高橋昌一郎【第12回】
「放射性残留物」の隠蔽1942年9月、46歳のレズリー・グローヴス准将が原子爆弾プロジェクトの責任者に任命された。彼は、ニューヨーク州ウェストポイントの陸軍士官学校を卒業後、アメリカ陸軍司令部・参謀本部大学校および陸軍大学校を経て、陸軍マンハッタン工兵管区司令官となった。原爆開発が「マンハッタン計画」と呼ばれるようになったのは、総司令部がマンハッタンに設置されたためである。
グローヴスをよく知る
想像を絶する闘いは未だ続いている|『ホロコースト最年少生存者たち』書評|みるとす
美しい装丁の本書を手に取ると、ずっしりと厚い。そこにはホロコーストを生き延び、1945年の開放時に10歳以下だった子供たちのその後の生活が描かれている。
目を背けたくなるようなホロコーストの事実については様々な形で取り上げてられているが、体験したことの意味を理解できない年齢の生存者を対象にした記録は少ない。150万人いたユダヤ人の子供たちは、戦後15万人になってしまったという。
著者は、支援
記憶の空白に備えるために|『ホロコースト最年少生存者たち』書評|宮田文久
【本稿は編集者・宮田文久さんによる寄稿です】
思わぬ声が、ページのあちらこちらから聞こえてくる。
「どこにもない。そう、居場所がどこにもないの」と1987年の時点で語ったのは、生後6カ月でフランス南部・ギュール収容所へ送られ、後に救出されたツィラ・Cだ。戦後を生き抜くために立ち返る、戦前の記憶をもたぬまま、成長していくということ。
あるいは、こんな声も聞こえる。
「私のなかで闘いが始まった
自分だったらウンソになんて言ってあげられるだろう?|『秘密を語る時間』著者インタビュー
2021年9月28日に、柏書房からク・ジョンイン著『秘密を語る時間』が発売されました。
本作は、中学生の主人公ウンソが子どもの頃に経験した出来事(トラウマ)を乗り越えていく過程を描いた作品。著者は、デビュー作『気分のない気分』が2019年韓国漫画映像振興院の優秀漫画に選定され、注目を集めています。初めての邦訳となる今作にも、各方面から賛辞が寄せられています。
「苦しみや悲しみは分かち合っ
困難な旅路、無視されてきた重要なテーマ|ホロコースト最年少生存者たち|芝健介【日本語版解説公開】
「生き残れて幸運だったね」
「どうせ何も覚えてないだろう?」
「家族と再会できてよかったじゃないか」
それって、ほんとう?
2021年8月27日に、柏書房からレベッカ・クリフォード著『ホロコースト最年少生存者たち――100人の物語からたどるその後の生活』が刊行されました。
記憶も、本当の名前も、家族に対する愛着も持ち得なかった者が、「自分の人生」を取り戻すことなど可能なのか? そんな問い