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恋の話

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2021年1月の記事一覧

僕と君

僕と君

「ほなまた来年〜」

今年も始まったばかりだというのに、年の瀬のような別れを見た。彼らはいったいどのような関係なんだろうか。

あの2人はなんだったのだろう。

まぁ答え合わせはできないし、そこまで興味もないのだけれど。

とにかく人と人というのは奇妙なものだ。

私にはなんと呼んでいいかわからない人がたくさんいる。友達と呼ぶには遠すぎて、知り合いと呼ぶには近すぎる。大学生になって「よっ友」なる言

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恋と恋のあいだ(創作)

恋と恋のあいだ(創作)

私のお気に入りの店へ買い物に行くたび

私の好きな食べ物を見るたび

私と乗った電車に乗るたび

私の嫌いな食べ物を見るたび

私の好きな芸能人を見るたび

私の嫌いなCMを見るたび

私と聞いた曲を聞くたび

メガネの人を見るたび

背の低い人を見るたび

ショートボブの人を見るたび

同じ香りがするたび

私を思い出せばいいのに

そうやってちょっとだけ

懐かしい気持ちになって

最後に心が

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人生で一度くらいは鉛より重たい恋をしてみたい。

人生で一度くらいは鉛より重たい恋をしてみたい。

人生で一度くらい、好きで好きでたまらなくて憎くなってしまうくらい人を愛してみたい。

愛するあまりに噛みちぎってしまうくらいに。

いっそのことあなたがこの世からいなくなればいいのにって思うくらい。

好きすぎて苦しいから、愛し合ったままふたりで消えようよって耳元で囁いてしまうくらい。

狂ってしまうような愛し方をして、深く深く傷つけあって、どこまでもお互いを求め合って、お互いを狂わせて、お互いの

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大好きな君に、僕は何度も別れを告げる。

大好きな君に、僕は何度も別れを告げる。

もう離さないよって、君は僕に約束したね。

僕も離れたくないと返したね。

僕も君のことが大好きだったし、離れる理由なんてなかったけれど、僕は君から離れないといけないんだ。

幸せな夜も、悲しい夜も君は僕を優しく包んでくれた。僕のダメなところも全部君だけは見ていたんだ。それでも見捨てずに、僕のことを守ってくれた。

だけど僕は君にさよならを告げなければいけない。

僕の後ろ髪を引っ張る君に構ってい

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男の穴は男で埋めればいいのよ、なんて簡単に言わないでよね。

男の穴は男で埋めればいいのよ、なんて簡単に言わないでよね。

大失恋をした。

初恋で、初めての彼氏だった。だから失恋するのももちろん初めてだった。あなたがそっけなくなった日から私は失恋の準備を始めたけれど、結局あまり意味がなかった。ずっと分かり合えていたはずの私たちは、少しずつ分かり合えなくなっていた。最後に分かり合えたのは、あなたが私のことを好きじゃなくなったことだった。それ以外は、もう何もわからなくなっていた。
失恋は女を強くするなんて言葉があるけれど

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恋とざわめき

恋とざわめき

なんとなく胸がざわめく。

ひとつ前の恋が終わって、やっと気持ちも落ち着いて、いい人がいたらいいなとは思うけれど、別に相手を探しているわけでもなくて。

ここのところ心は凪いでいた。

それなのに、胸がひとつ前の恋を思い出すようなざわめき方をしている。

恋なんてしていないくせにまるで恋をしているときのようなざわめきに、少し戸惑っている。

恋をしていないのにこのざわめきはいったいなんなのだろうか

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失恋から1年。あなたのいない季節があってよかった。

彼氏と別れて3ヶ月が経った。この3ヶ月、私は腐ったように生きて、泣いていた。もう涙は枯れてしまったのか、心に寂しさだけ残してどこかへ行ってしまった。あの人みたいに、去っていった。心に寂しさは残っているけれど、もうあの人に会いたいとも思わないし、顔も声もぼんやりしてきていて、きっと街であっても知らない人のフリをしてすれ違うのだと思う。そうやってどんどんあの人を思い出せなくなっていけばいいと思った。

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恋に落ちた音がした

恋に落ちた音がした

コロン、と音がした。

これが恋に落ちる音かもしれない。

これが恋に落ちた音かもしれない。

あなたとはまだ会ったこともない。

だけどあなたからのテキストメッセージを開いた瞬間に、コロンと音がした。

予想外だけど期待外れじゃない、独特だけど変じゃない、そんな文字に恋をした。

心地のいい句点と、なかなか打たれない読点に恋をした。

なんとなく居心地の悪そうな(笑)と半角スペースに恋をした。

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上手にお酒を飲みたい。

お酒に呑まれて好きでもない人とキスをした。私の中に残るあなたの濃度を低くしようとしているのだと思う。だけど別にあなたの記憶は薄まらない。上手にお酒に酔えるわけでもないから、消化しきれなかったアルコールと頭痛と好きでもない人とのキスの記憶と一人分不純になった自分が明日に残る。

何やってんだ。

中途半端にアルコールに支配された脳味噌ではもう考えられなかった。

次に恋をするなら手を繋ぐだけで満たされるような恋がいい。

次に恋をするなら手を繋ぐだけで満たされるような恋がいい。

次に恋をするなら手を繋ぐだけで心が満たされるような恋がいい。

決して派手じゃない、ただ日常に溶け込んだような恋をしたい。

一緒にカフェに行って本を読んで、たまに本を閉じて、ほんの一瞬だけ見つめ合う。その刹那に恋をしたい。

ケーキを分け合って、おいしいね、すら言わないで。

時間に追われて店を出て、何を読んでたの、と聞き合う。そしてそれぞれの興味をちょっとだけ分け合って、それだけで心が満たされ

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彼女募集中なら応募フォームを用意しておいてもらっていいですか。

彼女募集中なら応募フォームを用意しておいてもらっていいですか。

久しぶりに好きな人ができた。

久しぶりの恋にわかりやすく心が躍る。

「好きな人できた」と君に報告する。私たちはその辺の会社員よりも、ホウレンソウを徹底している。「誰?誰?」食い気味に聞いてくる君に答える。「あんたの友達」私は友達の友達に恋をした。「えーーーーあいつ???」君は大きな目をさらに大きく見開いて驚いた。
「あいつ彼女募集中やから協力するわ!」すごい勢いで君が言うから面白くなってしまっ

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タバコ

タバコ

最後のタバコに火をつけて、スーッと息を吸い、ふぅっと優しく息を吐く。口から出る白い煙がぷかぷかと揺れるのをぼーっと眺める。煙みたいに、ふわっと消えられたらいいな、と思いながらもう一度息を吸う。

なんでこんなことになったんだっけな、と考えるけれどもう思い出せなくて、またぷかぷかと煙をふかす。

短くなったタバコを人差し指と親指に持ち替えて火を眺めながら最後の煙を吸う。吸った空気を肺に入れながら灰皿

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愛にスパイスって必要よねって言ってみたいけど。

愛にスパイスって必要よねって言ってみたいけど。

小説の主人公にでもなって、「あなたにならどれほど深く傷つけられたって構わない。世界中が敵になっても私は味方だよ。」なんて言ってみたい。

少女漫画の主人公になって2人の間で揺れるより、胸がときめく言葉を囁かれるより、たった1人の人を愛し、たった1人の人から愛されたい。

たとえ世界中が敵になっても、私が味方だよって言って、泣いているあなたを抱きしめたい。「私なら、どんなに鋭く重たい槍があなたに向け

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それでもまた恋をする

それでもまた恋をする

恋をして

愛し合って

失恋をした

落ちて

深めて

穴が空いた

のぼって

濃くして

転げ落ちた

浸透して

色を塗って

破られた