ZERo@名も無きトラックドライバー

日記らしきものから小説、音楽、トラックドライバーの仕事のことまで色々書こうと思います

ZERo@名も無きトラックドライバー

日記らしきものから小説、音楽、トラックドライバーの仕事のことまで色々書こうと思います

マガジン

記事一覧

影女

この話には、貞子のような怖い幽霊やインパクトのある怪異などは出てこない。 ものすごく怖い話かと聞かれたら、そうでもないかもしれないし、なんならオチすらもない。 た…

フェリーの怪〜トラックドライバー夜噺〜

海原が闇黒に染まる、月すら見えない深夜。 その音は、突然、静まり返ったフェリーのトイレ奥から聞こえてきた。 どんっ…どんっ…どんっ…どんっ… フェリーの揺れに合…

見聞実話怪談7『黒い僧侶』

その日、裕美(ひろみ 仮名)は、眠ったばかりの娘を和室のベビー布団に寝かせ、友人の洋子(ようこ 仮名)と夕飯を摂ることにした。 生後5ヶ月になり、寝返りも打てる…

Love Letter

『魂の結び目』 世の中には、不思議な縁がある。 彼女に出会ったのも、その不思議な縁が発端だった。 彼女の名前は、仮に、サヤカ。 僕がサヤカと出会ったのは、某有名ブ…

見聞実話怪談6『あの日』

「戦争は嫌だ…戦争は良くない… 戦争はほんとに嫌だよ… もう二度と戦争なんて…」 太平洋戦争開戦時、アサ(仮)は女学生だった。 アサの家は小さいながらも鉄工所を営ん…

少年トムの怪奇事件簿3『山の中の墓六つ』

何十年もずっと忘れてた… 何故、突然思い出したのかは謎だ… ガキの頃の遊び場は、母方の実家周辺にある山だった。 沢が流れ、虫の声と鳥の声と、風に木々が揺れる音しか…

見聞実話怪談5『中古車』

某大手の中古車センターに務める萩谷(仮名)は、当時、まだ入社したての新人だった。 それは、やっと仕事にも慣れた頃の話だった。 萩谷が、休日明けに出勤すると、先輩で…

見聞実話怪談4『鴉の声』

会社経営者の妻である恵子は、その日、愛犬のシーズー『みかん』を連れて散歩に出た。 季節は、ちょうど6月末。 梅雨の終わりかけで、散歩に出る前は晴れてまだ明るかっ…

見聞実話怪談3『山のモノノケ』

僕がお世話になっている、吉田さん(仮名)という男性がいる。 年齢は70歳を越えて、気の優しいおじいちゃんといった風貌だ。 若い頃の吉田さんは山男で、日本中の名だたる…

見聞実話怪談2『弁財天の華』

これは、祖母の13回忌の折、遠縁のおばさんが酒酔いついでに話してくれた話。 その昔、親戚筋にとある姉妹がいた。 姉が桃江(ももえ 仮名)、妹が桜(仮名)といった。 彼女…

『恐怖』という価値観

今更だけど、人間には個性がありその価値観は十人十色。 もちろん、感性も十人十色。 人の数だけ価値観があり感性がある。 したがって、『恐怖』の価値観も人それぞれだ。 …

ラグビーと国家試験

上の倅が、一人暮らしで埼玉県に住み始めて早半年 下の倅も就職が決まり、連中が成長するまでに色々あったな…とか思いつつ 近所のコンビニに買い物に行ったら、下の倅のバ…

移り変わる

トラックの中でよくYouTube の動画を見てる。 見てるって言うと語弊があるけど、画面を直視してるっていう意味じゃなくて、ラジオのようにつけたまま聞いてるって感じが正…

トラックドライバー再開しました

鬱病気味で退職してから約一ヶ月。 再就職しました。 また長距離トラックドライバーやります。 なんだかんだと、この仕事は引く手あまただから、再就職にはあまり困らない…

怪談ジャンキー

怪談ジャンキーは、一年中怪談聞いてるから、夏だから怪談とかって思わない。 初耳怪談でナナフシギのノブさんが『怪談ばっかり聞いてると、何が怖くて何が怖くないのか感…

トラックドライバーは傭兵だと思ってる。 企業がどれぐらい自分の労力を買ってくれるのか、似たような業務なら、より高い給料の会社に入りたい…これ、意外とみんな同じ事…

影女

影女

この話には、貞子のような怖い幽霊やインパクトのある怪異などは出てこない。
ものすごく怖い話かと聞かれたら、そうでもないかもしれないし、なんならオチすらもない。
ただただ、ひたすら不可解なだけの話。

これは今から、20年ほど前。
当時、俺は二十歳かそこら、プロのミュージシャンになりたくて、アルバイトと音楽活動で日々を過ごす生活をしていた。
そんな中、とあるプロアレンジャーの方が目にとめてくれ、その

もっとみる
フェリーの怪〜トラックドライバー夜噺〜

フェリーの怪〜トラックドライバー夜噺〜

海原が闇黒に染まる、月すら見えない深夜。
その音は、突然、静まり返ったフェリーのトイレ奥から聞こえてきた。

どんっ…どんっ…どんっ…どんっ…

フェリーの揺れに合わせるように、一定の間隔で刻まれるその音。
ある程度の重量があるものが、壁に当たっているかのような音。
その音が聞こえてきた瞬間、洗面台で手を洗っていた俺の背筋には、氷柱(つらら)でも突っ込まれたような、氷点下程も冷たい悪寒が走り抜けた

もっとみる
見聞実話怪談7『黒い僧侶』

見聞実話怪談7『黒い僧侶』

その日、裕美(ひろみ 仮名)は、眠ったばかりの娘を和室のベビー布団に寝かせ、友人の洋子(ようこ 仮名)と夕飯を摂ることにした。

生後5ヶ月になり、寝返りも打てるようになった我が子は可愛いが、乳飲み子は本当に手間がかかる。

実の母親とは疎遠であり、夫の両親は共働きで、なかなか育児の手伝いを頼めない裕美にとって、遊びがてらとはいえ、折を見て家事を手伝ってくれる洋子の存在は、とても心強かった。

もっとみる
Love Letter

Love Letter

『魂の結び目』

世の中には、不思議な縁がある。
彼女に出会ったのも、その不思議な縁が発端だった。
彼女の名前は、仮に、サヤカ。

僕がサヤカと出会ったのは、某有名ブログサイト。
出会った時、彼女の癌は既にステージ4。
僕が初めて彼女のブログを見た時、そこには、彼女自身の怒りの言葉で埋めつくされていた。

『私の病気を知ると、すぐに可哀想って言う人がいるけど、私は全然可哀想じゃない!むしろ幸せ!

もっとみる
見聞実話怪談6『あの日』

見聞実話怪談6『あの日』

「戦争は嫌だ…戦争は良くない…
戦争はほんとに嫌だよ…
もう二度と戦争なんて…」

太平洋戦争開戦時、アサ(仮)は女学生だった。

アサの家は小さいながらも鉄工所を営んでいたため、少しだけ周りより裕福な家庭であった。

しかし、戦争は、アサからも、そして、アサの家族からも沢山の物を奪った。

戦争が激化するにつれ、アサの家から…いや、日本中から物がなくなった。

やがて、国から召集令状が届き、健康

もっとみる
少年トムの怪奇事件簿3『山の中の墓六つ』

少年トムの怪奇事件簿3『山の中の墓六つ』

何十年もずっと忘れてた…
何故、突然思い出したのかは謎だ…
ガキの頃の遊び場は、母方の実家周辺にある山だった。
沢が流れ、虫の声と鳥の声と、風に木々が揺れる音しかしない、山深い集落。
それは俺が小学校3〜4年ぐらいの頃、確か季節は春先だったような気がする。
今は亡き祖母は、休日で祖母宅を訪問していた俺に向かって 

「西の山にはあんまり入らないようにしな、あそこにはお墓があるからね」

急にそう言

もっとみる
見聞実話怪談5『中古車』

見聞実話怪談5『中古車』

某大手の中古車センターに務める萩谷(仮名)は、当時、まだ入社したての新人だった。
それは、やっと仕事にも慣れた頃の話だった。

萩谷が、休日明けに出勤すると、先輩である片瀬に、新入荷した車の洗車を頼まれた。

『萩谷、悪いんだけど、展示場の端にある黒いヴォ○シー、洗車しといてくれないかな?
昨日、中は総出で掃除して消臭もしたんだけど、外身に手が回らなかったんだ、今から、お客様とのアポがあって、俺、

もっとみる
見聞実話怪談4『鴉の声』

見聞実話怪談4『鴉の声』

会社経営者の妻である恵子は、その日、愛犬のシーズー『みかん』を連れて散歩に出た。

季節は、ちょうど6月末。
梅雨の終わりかけで、散歩に出る前は晴れてまだ明るかった空が、散歩に出て10分程経った頃、急に鉛色(なまりいろ)に変り始めた。

冷たい風が吹きすさび、夏の夕方とは思えない程、周辺は急速に冷え込んでいった。
辺りはみるみる暗くなる。

いつもの散歩コースは、田園地帯から河川敷へ降り、そこから

もっとみる
見聞実話怪談3『山のモノノケ』

見聞実話怪談3『山のモノノケ』

僕がお世話になっている、吉田さん(仮名)という男性がいる。
年齢は70歳を越えて、気の優しいおじいちゃんといった風貌だ。

若い頃の吉田さんは山男で、日本中の名だたる山に登っていた。
そんな吉田さんは、当時、山仲間と一緒にアルプスのアイガー北壁に挑む計画を立て資金を貯めていたという。

憧れのアイガー北壁登頂を、1年後に控えたある晩秋。

吉田さんはふと思い立って、関東と北陸にまたがる、とある有名

もっとみる
見聞実話怪談2『弁財天の華』

見聞実話怪談2『弁財天の華』

これは、祖母の13回忌の折、遠縁のおばさんが酒酔いついでに話してくれた話。

その昔、親戚筋にとある姉妹がいた。
姉が桃江(ももえ 仮名)、妹が桜(仮名)といった。
彼女らが若い時分は、まだ戦時中。
つまりこの話は、戦後まもなくの話になる。

姉の桃江は、美男子と言われた父親に似て、とても綺麗な女性だったという。
妹の桜は、姉ほど美人ではないが、活発で気が強く、とても明るい女性で、とても仲の良い姉

もっとみる
『恐怖』という価値観

『恐怖』という価値観

今更だけど、人間には個性がありその価値観は十人十色。
もちろん、感性も十人十色。
人の数だけ価値観があり感性がある。
したがって、『恐怖』の価値観も人それぞれだ。
ゾンビやスプラッター等、、どちらかと言ったら、色覚を派手に刺激するハリウッド系の恐怖が好きな人もいれば、伽椰子や貞子に代表されるような、呪いを元に構成され、背後からじわじわくるような恐怖が好きな人間もいる。

恐怖という感覚も個人で違う

もっとみる
ラグビーと国家試験

ラグビーと国家試験

上の倅が、一人暮らしで埼玉県に住み始めて早半年
下の倅も就職が決まり、連中が成長するまでに色々あったな…とか思いつつ
近所のコンビニに買い物に行ったら、下の倅のバイト仲間に『あ!◯◯のパパですよね!?』と聞かれ『パパでーすw』と答える羽目になり
なんかこう…色々思うことが交錯する今日此の頃

そりゃ俺もアラフォー越えるよな
そろそろ、おっさんであること自覚しないとな…とかなんとか思いつつ
関西某所

もっとみる
移り変わる

移り変わる

トラックの中でよくYouTube の動画を見てる。
見てるって言うと語弊があるけど、画面を直視してるっていう意味じゃなくて、ラジオのようにつけたまま聞いてるって感じが正しい。

そんな中で、tiktokとかで流行ってる曲を聞いたりなんかもする
それで気がついたんだけど
最近の流行って多分、メロディアスな曲とかじゃないんだろうなぁって思ってて。
どっちかって言ったら、プリセットのリズムに合わせ、音楽

もっとみる
トラックドライバー再開しました

トラックドライバー再開しました

鬱病気味で退職してから約一ヶ月。
再就職しました。
また長距離トラックドライバーやります。
なんだかんだと、この仕事は引く手あまただから、再就職にはあまり困らない業種。
物流は、人間が生活するために欠かせない業種なはずなのに、なり手が少ない。
俺の親世代が謳歌したバブル時代には、トレーラードライバーは手取り80万、大型トラックドライバーは手取り60万だったらしい。
まじかよ…(´・ω・`)
同じ仕

もっとみる
怪談ジャンキー

怪談ジャンキー

怪談ジャンキーは、一年中怪談聞いてるから、夏だから怪談とかって思わない。

初耳怪談でナナフシギのノブさんが『怪談ばっかり聞いてると、何が怖くて何が怖くないのか感覚が麻痺してくるww』みたいなこと言ってたけど、あれはほんとなのかもしれないw

怪談話にはいろんなパターンがあって、昔ここで事故があったとか、殺人があったとかいうオーソドックスなものから、え !?マジ!?そんなオチが来る??みたいな、創

もっとみる
縁

トラックドライバーは傭兵だと思ってる。
企業がどれぐらい自分の労力を買ってくれるのか、似たような業務なら、より高い給料の会社に入りたい…これ、意外とみんな同じ事を言う。
長距離チャーターをやるようになって早4年。
年食って体力は落ちたけど、経験は積んだから大概の業務は問題無くこなせる。

会社とも縁。
人とも縁。

付き合ってた恋人とか、色んな場所で知りあった友人や知人とか、一度縁が切れた人とは、

もっとみる