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フェリーの怪〜トラックドライバー夜噺〜
海原が闇黒に染まる、月すら見えない深夜。
その音は、突然、静まり返ったフェリーのトイレ奥から聞こえてきた。
どんっ…どんっ…どんっ…どんっ…
フェリーの揺れに合わせるように、一定の間隔で刻まれるその音。
ある程度の重量があるものが、壁に当たっているかのような音。
その音が聞こえてきた瞬間、洗面台で手を洗っていた俺の背筋には、氷柱(つらら)でも突っ込まれたような、氷点下程も冷たい悪寒が走り抜けた
トラックドライバー怪談12『憑き纏う者(6)』
[6、窓ごしの視線]
※このエピソードは、しづくさんのチャンネルでは話せなかったエピソードです。
ルーン文字の入ったシルバープレートを眺めながら、俺はしばし悩んでいた。
四つのルーン文字が刻まれたシルバープレートは、10年の年月を経て傷だらけになり、酸化してやけに黒ずんでいる。
ここに刻まれたルーンの意味を教えてほしいと、当時、これをくれた人に聞いたら「それは内緒」と笑っていた。
彼女は、面倒
トラックドライバー怪談10『憑き纏う者(4)』
[4、指跡]
顔のない女は、毎日俺の前に現れる訳ではなかった。
忘れた頃に、存在をアピールするかのように突然現れる。
積地のフォークマンが奇妙な事を言ってきた夏の日から半年ほどが過ぎていた。
時期は冬の真っ只中。
荷物が立て込み、慌ただしい日が続いていたある日。
俺は、大阪行きの荷物を背負って中京のある巨大PAで夜営することにした。
早めに駐車枠を確保しないと、仮眠すら取れなくなるぐらい、年末は、
トラックドライバー怪談8『憑き纏う者(2)』
[2,白い顔]
トラック運転手の朝は早い。
早朝どころか、深夜に出発することなんてざらだ。
その日は早朝3時に出庫して、とある高速道路を走っていた。
だが、その日、俺は急激な眠気に襲われていた。
気を抜くと、一瞬で意識が飛びそうになる。
これはヤバい…
どこかのパーキングでコーヒーでも買おう。
そう思って、一番近かったPAに立ち寄ることにした。
ウィンカーをあげて、減速しながらPAに入る。
トラックドライバー怪談7『憑き纏う者(1)』
※星野しづくさんのYouTubeチャンネルにて話をさせてもらった実体験です。
文章にするにあたり、話の流れやわかりやすさを重視して、話した時と多少違う表現をするかもしれませんが、ご了承ください。
[1,起こり始めた怪異]
それは、二年半ほど前のこと。
夏の暑さの中、俺は、とある工場に積み込みに入った。
空の縁が鉛色の雲に覆われはじめ、夕立が来ることを告げている。
「雨が降る前に、積み込み終わ
トラックドライバー怪談4「黒いネクタイ」
※星野しづくさんのYou TubeCH『不思議の館』にて紹介した、トラックにまつわる怪談をまとめました。実体験やドライバー仲間から聞いた話がメインです。
又聞きしたりもするので真意不明な話もありますがご了承ください。
『黒いネクタイ(セキュリティ)』
※
これは、僕の会社の先輩である、黒岩さん(仮名)から聞いた話。
この会社に来る前、黒岩さんは、別の運送会社で働いていた。
その会社
トラックドライバー怪談3『トラウマ』
※星野しづくさんのYou TubeCH『不思議の館』にて紹介した、トラックにまつわる怪談をまとめました。実体験やドライバー仲間から聞いた話がメインです。
又聞きしたりもするので真意不明な話もありますがご了承ください。
※
その日、50代のベテランドライバー角田さんは、深夜2時頃、関東のとある埠頭に到着した。
朝一番で荷物を下ろしたいのだが、その倉庫はいかんせんよくハマるので、順番を
トラックドライバー怪談2『バックモニター』
※星野しづくさんのYou TubeCH『不思議の館』にて紹介した、トラックにまつわる怪談をまとめました。実体験やドライバー仲間から聞いた話がメインです。
又聞きしたりもするので真意不明な話もありますがご了承ください。
『バックモニター』
俺には<霊感>というものは無い・・・はず。
なので、変なものを見聞きしたりすることはほぼ無い。
だけど時々、穴に落ちたように変な体験をすることがある。
この話は
トラックドライバー怪談1『ミリ波レーダー』
※星野しづくさんのYou TubeCH『不思議の館』にて紹介した、トラックにまつわる怪談をまとめました。実体験やドライバー仲間から聞いた話がメインです。
又聞きしたりもするので真意不明な話もありますがご了承ください。
【ミリ波レーダー】
これは、先輩ドライバーから聞いた話だ。
先輩はこの話を、以前に勤めていた会社の同僚から聞いたそうだ。
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山根さん(仮)は、勤続10年を越えるベテ