代島ヤス

【小説・定期更新中】17歳でうつ病、ひきこもりを経験。高校を中退したのち、高卒認定試験…

代島ヤス

【小説・定期更新中】17歳でうつ病、ひきこもりを経験。高校を中退したのち、高卒認定試験で大学に進学。卒業後、ある業界に飛び込むも挫折し、書籍編集員として就職。その後フリーライターに。バツイチ。ADHD / HSP。

記事一覧

【連続小説22】愛せども

リサとシュンとの三人での生活が始まってから、僕は精神的にかなり追い詰められた状態になり、飲酒の量が増えてきた。 昼間はテレアポのアルバイトに行き、上司に怒鳴られ…

代島ヤス
1日前
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【ショートショート】失わなければ得られたもの

学生時代から付き合っていた彼女と別れてから、一週間が経った。浮気が判明したきっかけは、彼女がスマホをテーブルにおいて席を外しているとき、たまたまLINEのポップアッ…

代島ヤス
6日前
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【連続小説21】愛せども

「これでいつでも見ていれるね」 そっちは見ていれるわけだが、こっちは見られている側だ。こんなプライバシーがない環境にいたら、頭がおかしくなってしまう。 「もう一…

代島ヤス
9日前
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【連続小説20】愛せども

リサとシュンが部屋に入ってから、小一時間ほど経つだろうか。 奥からたまに物音がするが、それ以外に特に変わった様子はなく、約一日ぶりに、何事もなく平和に時間が過ぎ…

代島ヤス
2週間前
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【連続小説19】愛せども

翌朝、満喫で目が覚めてしばらくすると、黒服の男二人が部屋に入って来て、昨日あったことはなにもなかったかのごとく、あたりまえのように外へ出た。 「では、帰るぞ」 …

代島ヤス
2週間前
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【連続小説18】愛せども

「明日引越しだから」 リサは体育座りでスマートホンを眺めながら、ぼそりとつぶやいた。相変わらず、発言の内容の重要度合いと、その時の態度がちぐはぐだ。 僕は一瞬あ…

代島ヤス
3週間前
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【連続小説17】愛せども

その日も、話し合いは行われた。リサとシュンと3人で暮らすことに、僕はどうしても納得がいかず、かれこれ1週間、毎晩同じ話をしている。正確にはこれは話し合いではないと…

代島ヤス
1か月前
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【連続小説16】愛せども

Yは顎に手を添え、少し前かがみになりなら、鋭い眼光でリサを見つめ、言う。「対象者との関係性はどうだ」 「洗脳は順調に進んでいます」リサは続ける。 「まずミッション1…

代島ヤス
1か月前
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【連続小説15】愛せども

その中華料理店の看板は、血が幾度か上塗りされたように色濃く、不穏な印象を与える。ペンキが雑に塗られて垂れたままま固まり、その跡が残ってしまっている。 足を踏み入…

代島ヤス
1か月前
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【連続小説14】愛せども

僕がどれだけ気が狂ったように部屋でわめいたり、ベッドに拳を叩きつけたりしても、リサは平然としている。自分はなにも悪くない。原因にすらなってない。黒のゆるいスウェ…

代島ヤス
1か月前
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【連続小説13】愛せども

見知らぬ少年の顔写真が、スマホの背景に設定されている。 「これ、だれ?」 なに食わぬ顔でスマホのゲームをしているリサに訊く。 「シュンと私の子ども」 アプリでシュ…

代島ヤス
1か月前
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【連続小説12】愛せども

世田谷区の外れにある木造アパートに、リサと僕は住んでいる。地下の改札から地上に出て、駅前の繁華街を抜け、スーパーの脇を通り、住宅街に入っていく。電車に乗れば都心…

代島ヤス
1か月前
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【連続小説11】愛せども

激しい罵り合いにになる言い合いや、時には取っ組み合いになってしまう喧嘩をしたこともあった。しかし、その後リサが落ち着くと、お互いに冷静に話し、仲直りをした。繰り…

代島ヤス
1か月前
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【連続小説10】愛せども

「でもね、お父さんは、暴力を振るう人だったの」リサはうつむきながら続ける。「ここの傷、気づいてないかな」 ブラウスのボタンを外し、鎖骨の下あたりを見せる。そこに…

代島ヤス
1か月前
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【連続小説9】愛せども

リサは一通り怒鳴りちらすと、先ほどまでの様子が嘘だったみたいに、泣き出した。 「ずっと一緒にいるんだから、スマホくらい買ってよ。壊したのそっちじゃん」 確かにカッ…

代島ヤス
1か月前
19

【連続小説8】愛せども

「クレジットカード貸してくれない?」 唐突な提案に、僕は驚きを隠せない。先ほどまで恋愛の話をしていたのに、急に現実的な話になった。リサはどういう感覚なのだろうか…

代島ヤス
1か月前
6
【連続小説8】愛せども

【連続小説8】愛せども

「クレジットカード貸してくれない?」
唐突な提案に、僕は驚きを隠せない。先ほどまで恋愛の話をしていたのに、急に現実的な話になった。リサはどういう感覚なのだろうか。

「実はね、もうすでにネットでアクセサリーとソファーを買っておいたの」
「僕のアカウントで?」
「そうだよ。ソファー、前の私の家のやつを使ってるから、もう結構古いもんね」
「それなら相談してほしかった。アクセサリーはなんで僕のクレカで買

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