Yasuhito Yano

Theatre Company shelf(一般社団法人shelf)代表、演出家。東京…

Yasuhito Yano

Theatre Company shelf(一般社団法人shelf)代表、演出家。東京アートポイント計画『東京で(国)境をこえる』ディレクター(2020-2021)、東京-ジャカルタ国際演劇共同制作プロジェクト(2020-2024)など。

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    • 13本

    ジャカルタを拠点とするLab Teater Ciputatのバンバン・プリハジと、東京を拠点とするshelfの矢野靖人による国際共同制作プロジェクト「交差/横断するテキスト:ミステリーとミスティカルのあいだで」の活動記録です。

記事一覧

志学/而立/不惑/知命/耳順/従心

孔子が自身の生涯を語ったことばです。 ―吾十有五にして学を志し、三十にして立ち、四十にして惑わず。五十にして天命を知り、六十にして耳順(したが)う... 私は15歳…

Yasuhito Yano
1か月前
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『トリプティクー舞台上の三つの絵画』演出ノート 20240725

『トリプティクー舞台上の三つの絵画』演出ノート 20240725 死のうと思った。何度も、何度も思った。 うつ病との付き合いはもう15年以上になる。ひどい倦怠感、睡眠障害…

Yasuhito Yano
1か月前
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アートプロジェクト「東京で(国)境をこえる」、いよいよ2021年度のプログラムが始まります。

一般社団法人shelf、東京都、アーツカウンシル東京の三者の共催で行っているアートプロジェクト「東京アートポイント計画」ですが、2021年度の「東京で(国)境をこえる」が…

Yasuhito Yano
3年前
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コロナ禍で、国際共同制作を

コロナ禍中での国際共同制作というのは、本当に難しい。じっさい、shelfというか矢野の抱えていたプロジェクトで、昨年初頭に中国で予定されていた北京を拠点にする児童…

Yasuhito Yano
3年前
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京都市京セラ美術館「平成美術:うたかたと瓦礫 1989-2019」とカオス*ラウンジ”のハラスメント問題について

こちら、拝読しました。個人的に、カオス*ラウンジとは、短い期間ながらもゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校のTAを務めていた時期があるので、(それが今回のハラスメント…

Yasuhito Yano
3年前
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個を尊重することと属性を観てしまうことのジレンマについて

個性を切り取ってしまうことと、個を尊重したいこととのジレンマについてちょっと前に書いた。 それは例えばジェンダーイクオリティ で、アファーマティブアクション とし…

Yasuhito Yano
3年前
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5th session of online meeting and creation of Theatre Company shelf in Tokyo and Lab Teater Ciputat in Jakarta.

Finished 5th session of online meeting and creation of Theatre Company shelf in Tokyo and Lab Teater Ciputat in Jakarta on 27th March. What a wonderful work to…

Yasuhito Yano
3年前
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俳優の心身に負荷をかけなければ演出できない演出家は能力不足か?(2)

ひとつ前の投稿をこちら(note)だけでなく<a href="https://www.facebook.com/YasuhitoYANO/posts/3750347548366362">facebookにも投稿した</a>ところ、多くの方々からい…

Yasuhito Yano
3年前
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俳優の心身に負荷をかけなければ演出できない演出家は能力不足か?(1)

誰の得にもならないかも知れない(ばかりか僕が批判されるだけ)かも知れないけど、「俳優の心身を追い詰めなければ結果が出せない演出家は演出家として能力不足(大意)」…

Yasuhito Yano
3年前
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2020 『Ritrikー或いは射抜かれた心臓』ダイジェスト映像

『Rintrik ― あるいは射抜かれた心臓』 交差/横断するテキスト:ミステリーとミスティカルのあいだで phase 1 2020年10月6日(火)~10月10日(土) @The 8th Gallery …

Yasuhito Yano
3年前
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shelf新作『Rintrik-あるいは射抜かれた心臓』無事会場入りしました。

Yasuhito Yano
4年前
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Messages from Artist Friends Living in These Difficult Times

「アートにエールを!」という言葉から私は、アーティストにエールを送るビデオメッセージの制作を考えました。それはアーティストにだけでなく、この世界を生きる全ての人…

Yasuhito Yano
4年前
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アクトオブキリング

インドネシアで行われた大量虐殺を題材にしたドキュメンタリー映画。1960年代にインドネシアで繰り広げられた大量虐殺の加害者たちに、その再現をさせながら彼らの胸中や虐…

Yasuhito Yano
4年前
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shelf10月次回作新作、『Rintrik-あるいは射抜かれた心臓』集まっての稽古1日目、無事終了。

1)1時間に1回広い窓を開放して5分間換気、2)スタッフ・キャストは稽古場で入り時には手指消毒。2)俳優は稽古中も原則マスク着用。3)接触はOKだが、その手でその…

Yasuhito Yano
4年前
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今週末の『kyodo 20_30』に向けてオンライン説明会のリハーサルを行ってきました!

Yasuhito Yano
4年前
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45歳になって足元を見つめる。喫茶カプカプの鈴木励滋さんのインタビューを読んで。

ちょっと後で読もうと思ってて読むタイミングを逃していたインタビュー記事。今、このタイミングで読めて本当に良かった。 僕は文中で言われるような、他者との存在に触れ…

Yasuhito Yano
4年前
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志学/而立/不惑/知命/耳順/従心

志学/而立/不惑/知命/耳順/従心

孔子が自身の生涯を語ったことばです。

―吾十有五にして学を志し、三十にして立ち、四十にして惑わず。五十にして天命を知り、六十にして耳順(したが)う...

私は15歳で学問に志し、30歳になって独立した立場を持ち、40歳になって迷わず、50歳になって天命をわきまえ、60になってひとのことばがすなおに聞かれるようになった...というような内容です。

2024年8月28日、矢野は、49歳を迎えまし

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『トリプティクー舞台上の三つの絵画』演出ノート 20240725

『トリプティクー舞台上の三つの絵画』演出ノート 20240725

『トリプティクー舞台上の三つの絵画』演出ノート 20240725

死のうと思った。何度も、何度も思った。

うつ病との付き合いはもう15年以上になる。ひどい倦怠感、睡眠障害、根拠のない不安、そして度々訪れる希死念慮。それはこの2年間がいちばんひどかった。

自死は、追い詰められ疲弊しきった人間にとってとても甘美な選択肢だ。僕がその甘い誘いに乗らなかったのは、けっきょくのところ僕が死に浪漫主義的な

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アートプロジェクト「東京で(国)境をこえる」、いよいよ2021年度のプログラムが始まります。

アートプロジェクト「東京で(国)境をこえる」、いよいよ2021年度のプログラムが始まります。

一般社団法人shelf、東京都、アーツカウンシル東京の三者の共催で行っているアートプロジェクト「東京アートポイント計画」ですが、2021年度の「東京で(国)境をこえる」がそろそろと、始まります。ようやく今年度のプログラムの全体像が見えてきました。

今年は、昨年に引き続き「kyodo 20_30」をメインプログラム、活動の軸の一本に据えつつ、そこに、

1)綾田將一君が発案者でメインリサーチャーと

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コロナ禍で、国際共同制作を

コロナ禍で、国際共同制作を



コロナ禍中での国際共同制作というのは、本当に難しい。じっさい、shelfというか矢野の抱えていたプロジェクトで、昨年初頭に中国で予定されていた北京を拠点にする児童劇団Qfun Theaterとのプロダクション、数年前から準備して来ていたシンガポールのW!LD RICEとの協働プロジェクトなど、ほとんどのプロジェクトが今、中座している。

そんな中、インドネシアとの長期国際共同制作プロジェクトだ

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京都市京セラ美術館「平成美術:うたかたと瓦礫 1989-2019」とカオス*ラウンジ”のハラスメント問題について

こちら、拝読しました。個人的に、カオス*ラウンジとは、短い期間ながらもゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校のTAを務めていた時期があるので、(それが今回のハラスメント問題と期を一していたかどうかは確認していません。)他人事ではなく、一連の出来事、特に告発した被害者の方の心情を慮るに、想像を絶する苦痛があったかと思います。個人的に非常に心を痛めています。

今回こちらのUKAWA NAOHIRO氏の

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個を尊重することと属性を観てしまうことのジレンマについて

個を尊重することと属性を観てしまうことのジレンマについて

個性を切り取ってしまうことと、個を尊重したいこととのジレンマについてちょっと前に書いた。

それは例えばジェンダーイクオリティ で、アファーマティブアクション として例えば何かの委員の、あるいは あいちトリエンナーレ2019 での画期的な取り組みだった(これは本当に津田さんのその後に影響を与えた最高の功績の一つだと思ってる、あまりみんな言及しないけど、)参加作家の男女比を50:50にすることについ

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俳優の心身に負荷をかけなければ演出できない演出家は能力不足か?(2)

ひとつ前の投稿をこちら(note)だけでなく<a href="https://www.facebook.com/YasuhitoYANO/posts/3750347548366362">facebookにも投稿した</a>ところ、多くの方々からいろいろなコメントをたくさんいただきました。有難い限りです。一方で一部、僕の投稿の論旨の上面だけを拾い上げて持論を展開している方がいらっしゃたので、これは僕

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俳優の心身に負荷をかけなければ演出できない演出家は能力不足か?(1)

誰の得にもならないかも知れない(ばかりか僕が批判されるだけ)かも知れないけど、「俳優の心身を追い詰めなければ結果が出せない演出家は演出家として能力不足(大意)」というツイートを散見して、少しばかり思うところとがある。
じっさいにそれを今、自分が採用するかどうか、過去にしたことがあったかどうかはさておき、歴史的な事実としてそのような手法で俳優を育てるのが“あり”で、しかも相当程度結果を出していた事実

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2020 『Ritrikー或いは射抜かれた心臓』ダイジェスト映像

『Rintrik ― あるいは射抜かれた心臓』
交差/横断するテキスト:ミステリーとミスティカルのあいだで phase 1

2020年10月6日(火)~10月10日(土)
@The 8th Gallery (CLASKA, 学芸大学)

原作 / ダナルト
翻訳 / 山下陽子
美術、構成・演出 / 矢野靖人

出演
川渕優子/沖渡崇史/綾田將一/横田雄平

スタッフ
照明デザイン/久松夕香
記録
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Messages from Artist Friends Living in These Difficult Times

「アートにエールを!」という言葉から私は、アーティストにエールを送るビデオメッセージの制作を考えました。それはアーティストにだけでなく、この世界を生きる全ての人にエールを送るものになるはずです。アートが人間の営みである以上、アートにエールを送るということはそういうことだからです。

この呼びかけにインドネシア、シンガポール、中国、ハンガリー、タイ、ポルトガルから9人の友人が応えてくれました。私的な
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アクトオブキリング

アクトオブキリング

インドネシアで行われた大量虐殺を題材にしたドキュメンタリー映画。1960年代にインドネシアで繰り広げられた大量虐殺の加害者たちに、その再現をさせながら彼らの胸中や虐殺の実態に迫る。 ジョシュア・オッペンハイマー監督作品。劇場公開時に観に行って、受けた衝撃は今も強くこの身体に刻み込まれている。

今回のダナルト『Rintrik-あるいは射抜かれた心臓』には直接的には描かれていないが通奏低音のようにこ

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shelf10月次回作新作、『Rintrik-あるいは射抜かれた心臓』集まっての稽古1日目、無事終了。



1)1時間に1回広い窓を開放して5分間換気、2)スタッフ・キャストは稽古場で入り時には手指消毒。2)俳優は稽古中も原則マスク着用。3)接触はOKだが、その手でそのまま自分の目鼻口要するに顔を触らない。を、基本的な稽古場のルールとする。もちろん、良く触るドアノブ、テーブルなどはアルコールで清掃。

今回お借りしている稽古場の山吹ファクトリーが開放的で、清潔で、非常に心地良い。

しかしじっさい、

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45歳になって足元を見つめる。喫茶カプカプの鈴木励滋さんのインタビューを読んで。

45歳になって足元を見つめる。喫茶カプカプの鈴木励滋さんのインタビューを読んで。

ちょっと後で読もうと思ってて読むタイミングを逃していたインタビュー記事。今、このタイミングで読めて本当に良かった。

僕は文中で言われるような、他者との存在に触れたときに足元が揺らぐ、揺らぎ続ける存在でいたいと思う。し、たぶんそういうところがあると思う。うん。本当に、そう在りたいと思う。

どこかで書いたことがあるかも知れないけれど、前に世田谷区の中学校の支援学級の介添員の仕事を一年間やっていたこ

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