Yasuhito Yano

Theatre Company shelf(一般社団法人shelf)代表、演出家。東京…

Yasuhito Yano

Theatre Company shelf(一般社団法人shelf)代表、演出家。東京アートポイント計画『東京で(国)境をこえる』ディレクター(2020-2021)、東京-ジャカルタ国際演劇共同制作プロジェクト(2020-2024)など。

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    ジャカルタを拠点とするLab Teater Ciputatのバンバン・プリハジと、東京を拠点とするshelfの矢野靖人による国際共同制作プロジェクト「交差/横断するテキスト:ミステリーとミスティカルのあいだで」の活動記録です。

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アートプロジェクト「東京で(国)境をこえる」、いよいよ2021年度のプログラムが始まります。

一般社団法人shelf、東京都、アーツカウンシル東京の三者の共催で行っているアートプロジェクト「東京アートポイント計画」ですが、2021年度の「東京で(国)境をこえる」がそろそろと、始まります。ようやく今年度のプログラムの全体像が見えてきました。 今年は、昨年に引き続き「kyodo 20_30」をメインプログラム、活動の軸の一本に据えつつ、そこに、 1)綾田將一君が発案者でメインリサーチャーとなるリサーチプログラム「お祭りと身体でつなぐ東京の(国)境」( “東京” を構成

    • コロナ禍で、国際共同制作を

      コロナ禍中での国際共同制作というのは、本当に難しい。じっさい、shelfというか矢野の抱えていたプロジェクトで、昨年初頭に中国で予定されていた北京を拠点にする児童劇団Qfun Theaterとのプロダクション、数年前から準備して来ていたシンガポールのW!LD RICEとの協働プロジェクトなど、ほとんどのプロジェクトが今、中座している。 そんな中、インドネシアとの長期国際共同制作プロジェクトだけは、様々な事情が絡まって、昨年2020年から見切りで走り始めて、今年もずっと継

      • 京都市京セラ美術館「平成美術:うたかたと瓦礫 1989-2019」とカオス*ラウンジ”のハラスメント問題について

        こちら、拝読しました。個人的に、カオス*ラウンジとは、短い期間ながらもゲンロン カオス*ラウンジ 新芸術校のTAを務めていた時期があるので、(それが今回のハラスメント問題と期を一していたかどうかは確認していません。)他人事ではなく、一連の出来事、特に告発した被害者の方の心情を慮るに、想像を絶する苦痛があったかと思います。個人的に非常に心を痛めています。 今回こちらのUKAWA NAOHIRO氏のnoteを拝読して、疑問に思った点を幾つか記載しておきます。まだ整理がついていま

        • 個を尊重することと属性を観てしまうことのジレンマについて

          個性を切り取ってしまうことと、個を尊重したいこととのジレンマについてちょっと前に書いた。 それは例えばジェンダーイクオリティ で、アファーマティブアクション として例えば何かの委員の、あるいは あいちトリエンナーレ2019 での画期的な取り組みだった(これは本当に津田さんのその後に影響を与えた最高の功績の一つだと思ってる、あまりみんな言及しないけど、)参加作家の男女比を50:50にすることについて。 一部で、例えば単純に数さえを揃えれば良いのか? という意見もあったと思う

        アートプロジェクト「東京で(国)境をこえる」、いよいよ2021年度のプログラムが始まります。

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        • 京都市京セラ美術館「平成美術:うたかたと瓦礫 1989-2019」とカオス*ラウンジ”のハラスメント問題について

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          5th session of online meeting and creation of Theatre Company shelf in Tokyo and Lab Teater Ciputat in Jakarta.

          Finished 5th session of online meeting and creation of Theatre Company shelf in Tokyo and Lab Teater Ciputat in Jakarta on 27th March. What a wonderful work to do work with really respectful and creative, greedy to enjoying colleague. What

          5th session of online meeting and creation of Theatre Company shelf in Tokyo and Lab Teater Ciputat in Jakarta.

          俳優の心身に負荷をかけなければ演出できない演出家は能力不足か?(2)

          ひとつ前の投稿をこちら(note)だけでなく<a href="https://www.facebook.com/YasuhitoYANO/posts/3750347548366362">facebookにも投稿した</a>ところ、多くの方々からいろいろなコメントをたくさんいただきました。有難い限りです。一方で一部、僕の投稿の論旨の上面だけを拾い上げて持論を展開している方がいらっしゃたので、これは僕の言葉が足りなかったのかな? と反省しました。なので、まえの投稿に少し補足をした

          俳優の心身に負荷をかけなければ演出できない演出家は能力不足か?(2)

          俳優の心身に負荷をかけなければ演出できない演出家は能力不足か?(1)

          誰の得にもならないかも知れない(ばかりか僕が批判されるだけ)かも知れないけど、「俳優の心身を追い詰めなければ結果が出せない演出家は演出家として能力不足(大意)」というツイートを散見して、少しばかり思うところとがある。 じっさいにそれを今、自分が採用するかどうか、過去にしたことがあったかどうかはさておき、歴史的な事実としてそのような手法で俳優を育てるのが“あり”で、しかも相当程度結果を出していた事実を、少なくとも演劇史を眺めたときにどう評価し記述するかは考えるべき重要なことなん

          俳優の心身に負荷をかけなければ演出できない演出家は能力不足か?(1)

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          2020 『Ritrikー或いは射抜かれた心臓』ダイジェスト映像

          『Rintrik ― あるいは射抜かれた心臓』 交差/横断するテキスト:ミステリーとミスティカルのあいだで phase 1 2020年10月6日(火)~10月10日(土) @The 8th Gallery (CLASKA, 学芸大学) 原作 / ダナルト 翻訳 / 山下陽子 美術、構成・演出 / 矢野靖人 出演 川渕優子/沖渡崇史/綾田將一/横田雄平 スタッフ 照明デザイン/久松夕香 記録映像撮影・編集/江藤孝治 宣伝美術写真/原田真理 宣伝美術ヘアーメイク/TERACHI 宣伝美術/オクマタモツ(956D) シンポジウム配信協力/山吹ファクトリー プロジェクト通訳/アルダ 舞台監督/川口眞人(レイヨンヴェール) 助成/公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京 企画・制作・主催/一般社団法人shelf 作品概要|Rintrik かつてとても美しかった谷があった。若い恋人たちや旅行者の多くが訪れたその谷は、しかしいつの頃からか若い恋人たちが生まれたばかりの自分たちの赤ん坊を投げ捨てに来る場所となってしまった。それも日に20体、30体という赤ん坊の遺体が投げ捨てられるようになった。あるときふらりと現れてその谷に住まうようになった盲目の老女リントリク。彼女は雨の日も嵐の日もただ捨てられた赤ん坊を拾い埋葬し続けた。最初は彼女の存在を恐れた村人たちもいつしか彼女を畏れ敬うようになっていった。 ある夜、一人の若者がリントリクのもとに赤ん坊を抱えて訪ねてくる。その赤ん坊を若者は埋葬してくれとリントリクに願う。その後、その赤ん坊の母親である若い娘と、娘の父親である猟師が現れ... ダナルトは、ジャワのケジャウェン(※ヒンズー、アニミズム、イスラムがミックスした民族宗教)の精神的な教えをルーツに持つ神秘主義的な作家である。shelfの矢野は、社会的、文化的、宗教的文脈や価値観のまったく異なるこの作家のテキストを丹念に翻訳するところから始め、他者理解の可能性と、生と死あるいはアジア文学における女性の描かれ方について、舞台制作を通じて探求を試みる。またこの作品は、東京-ジャカルタを結ぶ長期国際共同制作プロジェクト「交差/横断するテキスト:ミステリーとミスティカルのあいだで」の第一弾として計画された。クリエイションパートナーであるLab Teater Ciputatのバンバン・プリハジは今回、shelfがダナルトの『Rintrik』に挑むのと同じく、三島由紀夫の『卒塔婆小町』を舞台化する。 演出ノート|Rintrikについて 『Rintrik』の舞台を大胆に現代の都市に置き換えたい。原作の小説の持つ鄙びた土地、荒んだ大地のイメージを都市の騒乱とその中にあることの孤独とに置き換え、老女リントリクの持つ泥や埃に塗れた身体と不可思議な聖性、その清浄さについて、神経質なまでに滅菌された現代の都市空間においてそれを誇張して表現したい。イスラム教、あるいは一神教の理解は、私にはとても難しい。しかし、ケジャウェンのアニミズム的な要素を梯子にすれば、ダナルトの考える神という存在にどこか理解が届きそうな気がしている。誤解、誤読を恐れずにこの神秘主義的な小説を、まさに今、この大きな困難を迎えている現代を生きる人間のための一つの寓話劇として、時代を生きる指針を指し示せればと思う。

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          shelf新作『Rintrik-あるいは射抜かれた心臓』無事会場入りしました。

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          Messages from Artist Friends Living in These Difficult Times

          「アートにエールを!」という言葉から私は、アーティストにエールを送るビデオメッセージの制作を考えました。それはアーティストにだけでなく、この世界を生きる全ての人にエールを送るものになるはずです。アートが人間の営みである以上、アートにエールを送るということはそういうことだからです。 この呼びかけにインドネシア、シンガポール、中国、ハンガリー、タイ、ポルトガルから9人の友人が応えてくれました。私的なメッセージも含まれていますが、しかしそれは私的であるからこそ全ての人の心に響きます。 どれもが真摯で力強く暖かく、この困難な時代を生きる人を勇気づけてくれるものです。 これは他でもないあなたへのエールです。

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          アクトオブキリング

          インドネシアで行われた大量虐殺を題材にしたドキュメンタリー映画。1960年代にインドネシアで繰り広げられた大量虐殺の加害者たちに、その再現をさせながら彼らの胸中や虐殺の実態に迫る。 ジョシュア・オッペンハイマー監督作品。劇場公開時に観に行って、受けた衝撃は今も強くこの身体に刻み込まれている。 今回のダナルト『Rintrik-あるいは射抜かれた心臓』には直接的には描かれていないが通奏低音のようにこの大量虐殺とその後の政府の行為のことが響いている。先日ジャカルタチームとのオンラ

          アクトオブキリング

          shelf10月次回作新作、『Rintrik-あるいは射抜かれた心臓』集まっての稽古1日目、無事終了。

          1)1時間に1回広い窓を開放して5分間換気、2)スタッフ・キャストは稽古場で入り時には手指消毒。2)俳優は稽古中も原則マスク着用。3)接触はOKだが、その手でそのまま自分の目鼻口要するに顔を触らない。を、基本的な稽古場のルールとする。もちろん、良く触るドアノブ、テーブルなどはアルコールで清掃。 今回お借りしている稽古場の山吹ファクトリーが開放的で、清潔で、非常に心地良い。 しかしじっさい、対面での稽古がこんなに受け取る情報量が多い、つまり相手の身体や声、空間、環境から

          shelf10月次回作新作、『Rintrik-あるいは射抜かれた心臓』集まっての稽古1日目、無事終了。

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          今週末の『kyodo 20_30』に向けてオンライン説明会のリハーサルを行ってきました!

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          45歳になって足元を見つめる。喫茶カプカプの鈴木励滋さんのインタビューを読んで。

          ちょっと後で読もうと思ってて読むタイミングを逃していたインタビュー記事。今、このタイミングで読めて本当に良かった。 僕は文中で言われるような、他者との存在に触れたときに足元が揺らぐ、揺らぎ続ける存在でいたいと思う。し、たぶんそういうところがあると思う。うん。本当に、そう在りたいと思う。 どこかで書いたことがあるかも知れないけれど、前に世田谷区の中学校の支援学級の介添員の仕事を一年間やっていたことがあって、その時に触れた子どもたちには働いていた間中、何ともいえない、世間でい

          45歳になって足元を見つめる。喫茶カプカプの鈴木励滋さんのインタビューを読んで。

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          アーカイブ動画|演劇人のための実践的な感染症対策と、危機管理のための勉強会―坂本史衣先生をお招きして―

          昨晩(2020/8/19)開催しました「演劇人のための実践的な感染症対策と、危機管理のための勉強会」のアーカイブのURLをこちらに掲載します。 ご登壇頂いた坂本先生、久保田先生、それからご登壇頂いた皆様、ご視聴頂いた皆様には改めて御礼申し上げます。 坂本史衣先生のレクチャーで使用された資料をこちらで共有させて頂きます。 |演劇人のためのCOVID19対策 https://drive.google.com/file/d/1bHWAqMKsQ81rTfzwQwSP6cM1dZlUpacH/view?usp=sharing 久保田純子先生に頂いた危機管理についての資料はこちらです。ご活用いただければ幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。 |危機管理「情報の公表」の要点 https://drive.google.com/file/d/17ianFEOkhQ8MvmOfe6tACjvf7VfvkZeh/view?usp=sharing

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          演劇人のための実践的な感染症対策と、危機管理のための勉強会―坂本史衣先生をお招きして―

          コロナ禍の中でこれから稽古や公演を行っていくために、聖路加国際病院QIセンター感染管理室のマネージャーの坂本史衣さんらを招いて、実践的な感染症対策、危機管理のための勉強会を行います。専門家のお話を直接伺い、質問することのできる貴重な機会です。 日時:8月19日(水)19:00~20:30(90分) 配信URL(YouTubeライブ): https://youtu.be/0Q8pFxxF3fg 登壇者: 坂本史衣先生 (聖路加国際病院QIセンター感染管理室マネージャー)

          演劇人のための実践的な感染症対策と、危機管理のための勉強会―坂本史衣先生をお招きして―