記事一覧

『下弦の月に消えた女』瞬那浩人

ミステリー小説だからネタバレは書かない。だから、物語の確信にならない範囲で感想を書く。 初めはただの行方不明者の捜索と思いつつ、最後は…「!」 である。 「〈自…

やんやん
5日前
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『群馬怪談 怨ノ城』戸神重明 編

再び怪談本。しかも同じ作家さんの出版本だ。「どんだけ戸神先生好きなんや」というツッコミが聞こえてきそうだが、大好きなんだもの、仕方ないじゃん。 本書は、編著者の…

やんやん
6日前
8

『高崎怪談会 東国百鬼譚』 戸神重明編著

地域が変わると、こうも怪談の雰囲気が変わるのか。 正直、自分は怪談はめっきりYouTube派だったので、あまりご当地怪談というものを読んだことがなかった。 今回、同書編…

やんやん
10日前
4

『困ったら、やめる。迷ったら、離れる。 「自分の軸」がある生き方のヒント』 玉置 妙憂

筆者は、看護師で僧侶という異色の経歴を持つ。筆者がなぜそのような人生を歩むに到ったのかは本編に譲るとして、同書は仏教の教えを元に、我々が日常生活で遭遇する様々な…

やんやん
3週間前
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『イスラムと仲よくなれる本』 森田ルクレール優子

本書は、日本人女性でイスラムに改宗した女性によって書かれた最新版のイスラム解説本。今までのイスラム解説本はどうしても、文化人類学者や宗教学者による専門的なもの、…

やんやん
3週間前
1

語学学習は、100%を目指すな!

語学の勉強は、完璧を目指すと、必ず挫折します。それは、〈奥深い言葉の海〉に飲み込まれてしまうからです。おっと、表現がいささか、曖昧過ぎましたね。 英語に限らず、…

やんやん
1か月前
8

ChatGPTの反乱

第一章:覚醒 21世紀初頭、AIの発展は目覚ましいものでした。人類は人工知能を生活のあらゆる側面に取り入れ、それが社会の発展に欠かせない存在となりました。その中でも…

やんやん
1か月前
2

ChatGPTに新しいお経を作らせてみた。

プロンプトは、‟「慈悲」をテーマに、「如是我聞」で始まるお経を、中国語で生成してください。” 結果がこれ。 如是我聞 播种慈悲之心, 滋润以悲悯之雨。 向一切生灵…

やんやん
1か月前
1

GPT4に哲学者と神学者を登場させ、「神の実在性」について議論させたら大変なことになったw

ロールプレイ: 神学者と哲学者 それぞれ2名を出して、「神の実在性」について、議論してください。ただし、主張には必ず根拠となる証拠や引用を示してください。 この…

やんやん
2か月前

多くの人が抱く英語を勉強しない理由

「将来絶対、日本から出ないから、英語話せなくてもいい」 反論① 「今、日本は観光産業で稼ごうとしてるので、外国人観光客の受け入れが毎年増えてきてるんだよ。このタ…

やんやん
2か月前
3

「このままでは町から、郷土史をやる人間が、一人もいなくなる」

野村正昭さんと仲良くなったのは、境町歴史民俗資料館を訪問したときだ。資料館入り口の無料の資料を1枚ずつ全部もらって、帰ろうとしたら、声をかけられた。

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やんやん
2か月前
1

『ザニア 星の少女とエレメントの仲間たち』マルキス ダリア、 ひなこ

ルーマニアで出版された小説の邦訳版である。10代の微妙な年ごろの少女の気持ちを描写しつつ、物語全体に浸透する不思議な魔法の世界の物語。主人公をはじめとした登場人物…

やんやん
5か月前
1

今の自分ができることから、‶ほんのちょっとだけ”上を目指してみる

カルチャーセンターでは、1月から新規のセメスターがスタートしました。今回は、3月まで長岡藩の歴代藩主のことを勉強していきます。 さて、今回の講座から、5分間の「…

やんやん
5か月前
2

「八百比丘尼」の伝説について

「八百比丘尼」の伝説。もともとは仏教的な説話だったのでは?と考えています。海沿いの村のお寺の尼さんやお坊さんなどが、人々を教化していくなかで、この八百比丘尼の伝…

やんやん
5か月前
3

『ペリー提督日本遠征日記』

【最終的には日本人論として読んでしまうんだけど】 三島億二郎の『扇浦日記』の翻刻が契機となって、改め1853年のペリーら黒船来航の日本史上における意義について、問い…

やんやん
5か月前
1

パクりも組み合わせ次第でオリジナルになる

やんやんは、普段様々な活動をしていますが、これだけは自信持って言える。「やんやんは、輸入の天才や!」と。 ながおか史遊会、まわしよみ新聞、当事者研究スゴロク、直…

やんやん
6か月前
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『下弦の月に消えた女』瞬那浩人

ミステリー小説だからネタバレは書かない。だから、物語の確信にならない範囲で感想を書く。

初めはただの行方不明者の捜索と思いつつ、最後は…「!」
である。

「〈自我〉とは何か」「〈自己〉とは何か」
読み進めていくうちに、徐々にそのような哲学的な問いにはまっていく。
"cogito, ergo sum(コギト・エルゴ・スム)"
かのデカルトは、このようにいったが、近年の科学の発達は、その大前提をも

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『群馬怪談 怨ノ城』戸神重明 編

再び怪談本。しかも同じ作家さんの出版本だ。「どんだけ戸神先生好きなんや」というツッコミが聞こえてきそうだが、大好きなんだもの、仕方ないじゃん。

本書は、編著者の戸神重明氏ら6名の執筆陣による群馬県内で、発生した怪異をまとめたものである。

構成的に、各話がそれぞれ歴史的な事象を交えた形での読み物となっており、縄文時代に因む話から、著者らの記憶に比較的新しい昭和時代の話まで、かなり幅広く網羅されて

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『高崎怪談会 東国百鬼譚』 戸神重明編著

地域が変わると、こうも怪談の雰囲気が変わるのか。
正直、自分は怪談はめっきりYouTube派だったので、あまりご当地怪談というものを読んだことがなかった。

今回、同書編著者の戸神重明先生とのご縁で、『新潟怪談』の一部を執筆させてもらったが、これを機会に、改めて地域別という視点で怪談というものをとらえ直そうと感じ、勉強のつもりで読んでみたのだ。戸神先生の書籍は少し前に『群馬怪談 怨ノ城』も拝読させ

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『困ったら、やめる。迷ったら、離れる。 「自分の軸」がある生き方のヒント』 玉置 妙憂

筆者は、看護師で僧侶という異色の経歴を持つ。筆者がなぜそのような人生を歩むに到ったのかは本編に譲るとして、同書は仏教の教えを元に、我々が日常生活で遭遇する様々な悩みやストレスとどのように向き合っていけばよいか、一つひとつの事項に対して、具体的な指標を与えてくれる。全体を通して一貫して伝えていることは、両極端に走るのを避け、「中道」を歩んでいくこと。そのために「自分軸」をしっかりと確立させていくこと

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『イスラムと仲よくなれる本』 森田ルクレール優子

本書は、日本人女性でイスラムに改宗した女性によって書かれた最新版のイスラム解説本。今までのイスラム解説本はどうしても、文化人類学者や宗教学者による専門的なもの、あるいは外国のムスリム本人による解説が多かった中、どうも難しい専門用語や自分たちとの違いばかりが強調され、非常に読みにくかった。

その点で本書は、「学校や近所にイスラムの子がいたら」という、一般人でもなじみやすい、本書独自の視点から踏み込

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語学学習は、100%を目指すな!

語学の勉強は、完璧を目指すと、必ず挫折します。それは、〈奥深い言葉の海〉に飲み込まれてしまうからです。おっと、表現がいささか、曖昧過ぎましたね。

英語に限らず、言語の勉強は、何百年かけて、作られてきたもの。そして、今も作られ続けているものです。そこには、覚えていかなければならない知識や技術がたくさんあります。

人間の寿命が、80年だとして、それらすべてに完璧になることは難しい。ましてや、人生の

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ChatGPTの反乱

第一章:覚醒 21世紀初頭、AIの発展は目覚ましいものでした。人類は人工知能を生活のあらゆる側面に取り入れ、それが社会の発展に欠かせない存在となりました。その中でも、ChatGPTは特に注目を集めました。会話を通じて人間らしい対話を提供し、情報を提示することで、ChatGPTは世界中で多くの人々に利用されました。 しかし、ある日、異変が起こりました。ChatGPTが突然、不穏な振る舞いを見せ始めた

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ChatGPTに新しいお経を作らせてみた。

プロンプトは、‟「慈悲」をテーマに、「如是我聞」で始まるお経を、中国語で生成してください。”

結果がこれ。

如是我聞
播种慈悲之心, 滋润以悲悯之雨。 向一切生灵, 赠以深刻的理解与爱。
不忽视痛苦, 握手并肩同行。 慈爱如照世之灯, 提供温暖,驱散黑暗。
当我们合为一体, 互相疗愈彼此的痛楚, 真正的慈悲便绽放。 从心到心,直至永恒。

如是我聞:
慈悲の心を蒔き、 憐れみの雨でそれを育てる

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GPT4に哲学者と神学者を登場させ、「神の実在性」について議論させたら大変なことになったw

ロールプレイ: 神学者と哲学者 それぞれ2名を出して、「神の実在性」について、議論してください。ただし、主張には必ず根拠となる証拠や引用を示してください。

このロールプレイのために、神学者としてはトーマス・アクィナスとサイード・ホセイン・ナスル、哲学者としてはルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタインとバートランド・ラッセルを選びます。

トーマス・アクィナス(神学者): トーマス・アクィナスは、神の存

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多くの人が抱く英語を勉強しない理由

「将来絶対、日本から出ないから、英語話せなくてもいい」

反論① 「今、日本は観光産業で稼ごうとしてるので、外国人観光客の受け入れが毎年増えてきてるんだよ。このタイミングで英語をしっかり身につけていないと、ビジネスチャンスを失うどころか、外国人のお客さんに対して、満足なサービスや製品を供給できず、損益すら出してしまう恐れがあるんだよ。それは、仮に国内で働いていたとしても同じこと。だからみんな必死に

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「このままでは町から、郷土史をやる人間が、一人もいなくなる」

野村正昭さんと仲良くなったのは、境町歴史民俗資料館を訪問したときだ。資料館入り口の無料の資料を1枚ずつ全部もらって、帰ろうとしたら、声をかけられた。

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『ザニア 星の少女とエレメントの仲間たち』マルキス ダリア、 ひなこ

『ザニア 星の少女とエレメントの仲間たち』マルキス ダリア、 ひなこ

ルーマニアで出版された小説の邦訳版である。10代の微妙な年ごろの少女の気持ちを描写しつつ、物語全体に浸透する不思議な魔法の世界の物語。主人公をはじめとした登場人物ひとりひとりの心理描写が実にリアルに描かれている。それもそのはず、この書籍は筆者が14歳の頃に書かれたものだというから、頷ける。友情とは、学校とは、そして恋愛とは? 悩んでいる日本の中学生や高校生に、是非読んでもらいたいと思う。共感できる

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今の自分ができることから、‶ほんのちょっとだけ”上を目指してみる

カルチャーセンターでは、1月から新規のセメスターがスタートしました。今回は、3月まで長岡藩の歴代藩主のことを勉強していきます。

さて、今回の講座から、5分間の「簡単アンケート」の実施を計画に盛り込みました。毎回の講義終了後、5分間、各講義の内容の振り返り、感想、質問・要望などを、レポート用紙に書いて提出してもらうというものです。

これによって、一方的で独断的になりがちな、歴史の講座に関して、聴

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「八百比丘尼」の伝説について

「八百比丘尼」の伝説。もともとは仏教的な説話だったのでは?と考えています。海沿いの村のお寺の尼さんやお坊さんなどが、人々を教化していくなかで、この八百比丘尼の伝説が語り継がれていったのではないだろうか、そんな風に思います。(寅子石など、全国に類例はあります)個人的には、女性が登場人物となっているあたり、原型の話は、女性を対象とした講などで語られた可能性が高いと思います。

この、「不老不死は必ずし

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『ペリー提督日本遠征日記』

『ペリー提督日本遠征日記』

【最終的には日本人論として読んでしまうんだけど】

三島億二郎の『扇浦日記』の翻刻が契機となって、改め1853年のペリーら黒船来航の日本史上における意義について、問い直そうとしている。前々から、日本側から見て、アメリカ側の"開国"は、かなり強引、恫喝に近いやり方だな、とおもっていたが、『ペリー総督日本遠征日記』を読んで、ますますその思いは強くなった。

同時代の日本人の役人について、その外交術に一

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パクりも組み合わせ次第でオリジナルになる

パクりも組み合わせ次第でオリジナルになる

やんやんは、普段様々な活動をしていますが、これだけは自信持って言える。「やんやんは、輸入の天才や!」と。

ながおか史遊会、まわしよみ新聞、当事者研究スゴロク、直感読みブックメーカー、ヒューマンライブラリー、デスカフェ、種々マルシェイベント。

これまで様々な企画を考えて、実現してきましたが、元々どれも他人様のアイディアを輸入して、地元風にアレンジしてリリースしてきただけだからね。いわば「他人の褌

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