『イスラムと仲よくなれる本』 森田ルクレール優子

本書は、日本人女性でイスラムに改宗した女性によって書かれた最新版のイスラム解説本。今までのイスラム解説本はどうしても、文化人類学者や宗教学者による専門的なもの、あるいは外国のムスリム本人による解説が多かった中、どうも難しい専門用語や自分たちとの違いばかりが強調され、非常に読みにくかった。

その点で本書は、「学校や近所にイスラムの子がいたら」という、一般人でもなじみやすい、本書独自の視点から踏み込んでいる同書は、イスラムのことばかりではなく、ムスリム・ムスリマの生活について、平易な文章で書かれていることもあって、非常に読み易い。まさに、帯に書かれているように「小学生でも読める」内容となっている。

女性の服装について「女性を守るため」といった価値観や、「義務は強制ではない」といった考え方は、なかなか外側からイスラムを見ているだけでは、気がつかない視点である。一方で、イスラムの女性が頭と手以外の肌を見せないという点について、「秘めたる美」という観点から、日本文化との共通点を見いだそうとする。さすがに、この視点は、日本文化とイスラム文化双方に通じていないと、なかなか気がつくことができないだろう。

また、日本人にとって気になるテロに関するイスラムの人たちの考えなども詳しく書かれていて、イスラムの教えが決してテロとは結び付かないということ、そして何より、イスラムの人たちの優しさに溢れた姿が具体的なエピ
ソードとともに詳細に描かれている。

ウィルス禍も収まり、これから地方にもますます、グローバリズムが押し寄せてくる昨今、イスラムの人たちが、近所に住むようになるのも、最早当たり前のこととなってきた。

まさに本書は、今、日本人が国際的に求められているイスラムに対する理解を深めるきっかけとなる本であることは間違いないだろう。

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