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エッセイ

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自分のこと (機能不全家族、依存、仕事、恋愛、心療内科、発達障害)
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2023年7月の記事一覧

空気人形

空気人形

一番好きな映画のタイトル。
是枝裕和監督作品。

「人形が心を持ってしまいました。」
登場人物はみんな心に虚を抱えている。
人形しか愛せない男。過食症&ゴミ部屋のOL。大切な人を失って空っぽになってしまった男。
そして、心を持ってしまった愛玩人形。
愛する人の息で満たされたい。
愛する人の心を埋めてあげたい。
そんな願いが悲しい結末へと繋がる。
ラストシーンの空虚な目で、ゴミ捨て場から空を仰ぐ人形

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白馬に乗った王子より、自分流に育てた男

白馬に乗った王子より、自分流に育てた男

題名は、デヴィ・スカルノ夫人のお言葉だ。
『いままでわたくしは男性から尽くされることが女の幸せだと思っておりました。
でも、彼に出会ってからは、男性を自分好みに育てる楽しさを知ってしまったの。』

私も今の彼とお付き合いして、夫人と似た心境になっている。
完璧な人などいない。
勝手に期待するのではなく、足りない分は伝え合って成長していけばいい。



昨日、彼と喧嘩した。
原因は彼の"不安 "。

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暇つぶしで生む恋

暇つぶしで生む恋

彼に、
「何人と付き合ったことがある?」
と聞かれてしまった。

とうとう来たな、この時が。
逆に何人だと思う?と聞き返すと、

「えー、3人?」
無垢な目をして答えられた。

可愛い。
それの○倍だよ、なんて口が裂けても言えない。
そんぐらいだよと濁して話を終えた。



私が付き合った人数は、愛を育んだ数では無い。
実際に、長く続いて且つ好きだった人は2人しかいない。
酷いことを言うようだが

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幸せの絶対条件

幸せの絶対条件

「僕の人生における幸せの絶対条件は、貴女の無事だから。」

帰り際、そう告げられた。
驚いた。言い回しが理系だな。というか、実質プロポーズでは…??
返す言葉に詰まってしまった私を抱きしめ、
「だから安全運転で帰ってね。」
と言葉を重ねる彼。

彼の家から私の家まで車で3時間。
運転中、彼の言葉を反芻し続けた。
これまでの恋愛では、
「仕事も家事もできて、しっかりしていて、愚痴なんて言わない彼女」

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料理の中の機微

料理の中の機微

料理の中に存在する様々な機微。
炒めるうちに水分が抜けてパチパチと跳ねる油の音。
じっくりことこと煮た時の、ふわっと出汁が香ってくるあの優しい瞬間。
揚げ物をしている時の衣が狐色に変わりゆくのを見るわくわく感。
糠床を混ぜている時、手に当たるふんわり柔らかな糠と瑞々しい野菜の感触。
それらの繊細な機微を愛おしく思う。

「手を入れるほど素材の味は落ちる」
という言葉を聞いたことがある。
あれもこれ

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血が繋がってたって一緒にはいられない

血が繋がってたって一緒にはいられない

母親からこの時間に電話がかかってきた。
「今度いつ帰ってくるの?」
ああ、また弟と喧嘩したのかな。
私に帰ることを求めるのは愚痴を聞いて欲しいとき。
お盆らへんかな、と伝えると
「一ヶ月先なの?!もう帰って来なくていい!」
と電話を切られた。

極端な人だ。
つくづく一緒には暮らせないな、と思う。
私今年27歳になるんだよ。
仕事もあるし、距離も遠いんだから簡単には帰れないよ。
いつまで私に依存し

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田舎のゲストハウスは最強のパワースポット

田舎のゲストハウスは最強のパワースポット

最近気持ちがささくれだっていたので、
遂に「現実逃避行」を決行した。

本日のお宿は、前々から気になっていた近場のゲストハウス。

緑豊かな風景に、入る前から癒される。
古びた建物の外観も趣深い。

中に入ってみるとびっくり。
一泊1万円する旅館のような高級感。
(実際は朝食付き4500円)

入った瞬間から、「当たり。」と思う宿なんて滅多に無い。
でも、ここはそう思わされた。

客室に案内されて

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寄りかかりたい夜もある

寄りかかりたい夜もある

疲れた。
降りかかる仕事。仕事。仕事。
やってもやっても終わらない。人間相手だから報われないことも多い。
文句一つ言わず頑張っている人に仕事が集中し、文句ばっかりたれて仕事を増やすベテランは責任を負わない。
必死に仕事こなしてるのに、助言という名の文句を言ってくるのも腹立つ!
何も助けてくれないなら、せめて時間取るな!
「経験だから。」「あなたの力量を高めるのにも繋がるから。」なんて綺麗な言葉で言

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敢えて伝えない愛

敢えて伝えない愛

彼氏が他の女性と二人きりで、隣県へ登山に行った。

これだと語弊があるかな。
大学の時の友だちの研究を、お手伝いしに行っていたらしい。
お願いされたんだって。
それでわざわざ隣の県の山まで行って、一日中お手伝いしてたそうな。
彼から「帰り着いたよ。」と返信が来たのは、夜7時過ぎだった。
そして、お友だちが撮ったであろう写真も一緒に送られてきた。
2つ並んだシャベルの写真。
お昼を食べた山荘の写真。

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悲しいけどこれが私の全て

悲しいけどこれが私の全て

昨日の投稿を改めて見ると
「自分はなんてつまらない人間なんだ…。」
と情けなくなった。
無知の知を唱えたソクラテスのように、自分の姑息さを知っているだけ少しはマシなのかもしれない。まあ、直接言った訳でも態度に出した訳でもないし。(などなど言い聞かせないと自己嫌悪で潰れる)

他人は変えられないのだから、私の受け取り方を変えないと。
自分の器が狭いから、色々な人の在り方を許容できない。もっと沢山の人

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花が零れる

花が零れる

日本語の美しさを愛してやまない。

特に花にまつわる言葉がよい。
花冷え、桜雨…など昔の俳人や詩人が趣のある表現を次々と生み出してくれた。

「花が散る」という言葉は花の種類によって表現が変わるそうだ。

桜は「散る」
梅は「零れる」
菊は「舞う」
椿は「落ちる」
芍薬は「崩れる」
雪柳は「吹雪く」
朝顔は「しぼむ」

なんと儚くも麗しい言葉たちだろう。
見たままを表現できる、日本語の偽りの無さに

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