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続ちょこっとひとこと

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故郷・神戸に戻り、今を綴るもまだまだヨチヨチのエッセイ集。
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2021年3月の記事一覧

次のトイレこそは社員証を握りしめて

次のトイレこそは社員証を握りしめて

会社の入口はご丁寧にもオートロックの扉が二段構え。
社員証がタッチ式のカードキーになっているから、これをピッとかざせば開錠されるが、そんな儀式を二度行わなければ入れない厳重な仕組みだ。

この社員証、ネックストラップつきケースに入っているが、肩が極度に凝りやすい体質のため、たったこれだけの軽いものすら首から提げられない。
行き場を失った社員証は机の上に置かれることになる。

さて会社のトイレはこの

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珍しく書きたい内容を一度も忘れなかった

珍しく書きたい内容を一度も忘れなかった

明日はnoteでこれを書こう、と日常で思う瞬間はよくある。
よくあるのだが、そのまま忘れることの方が多い。
あとでうーんと頭をひねって思い出そうとするが、ほとんどの場合思い出せない。

***

靴を新調した。
ネイビーのデッキシューズだ。
店員から、スウェード調なので水に濡れたら色が落ちるから気をつけてとレジ前で念押しされた。
前に一度スウェードの靴を雨に濡らし、色を落としまくって悲しい思いをし

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行き帰りのリラックス劇場

行き帰りのリラックス劇場

通勤で毎日使う地下鉄は、始発駅から乗るのでまず間違いなく座れる。
発車時にはほぼ席は埋まり、何駅かすると満員となるので、座れるのはかなり助かる。

しかしだ。
次駅、あるいはその次の駅くらいまでは立つ人もまだまばらなのに、なぜか自分の前から立たれることが多い。
別にどこに立とうと自由だし、前に立たれたからといって押し合いへし合いの波にもまれるわけではない。
ただ、電車の中では本を読んだりせず、ボン

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また一つ家にぽっかり大きく開いた穴

また一つ家にぽっかり大きく開いた穴

昨日、娘が巣立った。
4日前、息子が出ていって家にぽっかり穴が開いたばかりだというのに。

前日の晩からライトバンを借り、荷物を積み込んだが、もうこれ以上載らないというパンパンの状態に。
息子の時は直線で構成された荷物が多かったが、さすが娘はぬいぐるみや毛布など丸みを帯びた荷物が多い。

3月下旬の京都は同じ目的の車であふれかえっていた。
横に並ぶ車、抜いていく車、抜く車、すべてが引越ではないかと

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ドラえもんのテーマソングでも鳴らしてみようかな

ドラえもんのテーマソングでも鳴らしてみようかな

仕事中、隣の席の人のスマホが突然テクノサウンドを鳴らした。
自分も含め、周囲数mの人たちが一斉に顔を見合わせ、そして爆笑した。

えーー! 今どきそんなん鳴らすーー?

着…メロ…? そう、着メロ! そういえば、着うたとかもあったな。

しかもテクノサウンド、ヤッバ~! ギャハハ!

これ、10年前も同じ反応だっただろうか。
うわぁ、えぇなぁ、その着メロ!とか言ってなかったか?

ガラケーがスマホ

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家にぽっかり穴が開いた

家にぽっかり穴が開いた

一昨日、長男が東京に旅立った。
高専を卒業して2月末に寮から出て家に帰ってきていたので、およそ1か月滞在していたことになる。
編入学なので、大学生活は4年ではなく3年と少し短いが、大学を出たらおそらくそのままどこかへフラフラ行ってしまうだろうから、もう神戸に帰ってくることもないだろう。
そのことが今回の送り出しを、5年前に高専への進学で出ていったときの気安さとは異なるものにしている要因である。

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書くのも観るのも心を落ち着けてくれる

書くのも観るのも心を落ち着けてくれる

唐突に過ぎるが、「雁塔聖教序」より。

「蓋聞二儀有像」
蓋(けだ)し聞く。二儀に像有り。

「顕覆載以含生」
覆載に顕(あらわ)れて以(もつ)て生を含む。

意味はこういうことだ。

「天地(二儀)は像を有しており、私たちの頭上を覆いつくす天と私たちを乗せている地は生きるもの全てを包んでいるものである」

上に貼った2枚の書は、高校時代の選択科目の書道で、中国の古典である「雁塔聖教序」を臨書した

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スヌーピーが好きだ

スヌーピーが好きだ

なぜかは分からないが、小さな頃からずっとスヌーピーが好きだ。

原作の漫画は子どもが楽しむには笑いのツボが難解で、実はいまだにちゃんと読んだことがない。
アニメは観てみたことがあるが、笑えるどころか、大人のセリフが妙な音になっているのが不気味で、頭になど入ってこなかった。
スヌーピーミュージアムに行ったこともないし、スヌーピースタジオで遊んだこともない。
でもなぜだか好きなのだ。

きっかけは思い

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学んでこそ学生、教えてこそ大人

学んでこそ学生、教えてこそ大人

来年大学を卒業する学生の面談を行った。
採用面談だが、選考ではなく、あくまでお互いを知るために話す場だ。

数名と面談を行ったが、純朴な学生が多かった。
事業内容をよく理解していない学生もいたり、受け答えがボンヤリしている学生もいたが、それがマイナスには思えず、むしろ面談しながら、がんばれ!がんばれ!と見えない心のメッセージを送り続けた。
しかし面談後につける記録シートには、当社でやっていけそうか

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嗚呼、空想オリムピック

嗚呼、空想オリムピック

オリンピック、海外からの一般客受け入れ断念、のニュースが昨日流れた。

世界中からアスリートと観客がひとところに集まる祭典、という意義からすればただただ残念と思うが、そう決断するよりほか開催の方向はなかっただろうなとも思うから、イレギュラーだけどやむを得ないという気持ちだ。

組織委会長がこんな談話を発表した。

今の時代にふさわしい方法で、人々をつなぐことができるよう、具体的な仕掛けの検討も進め

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時バエは矢を好む

時バエは矢を好む

小学生の頃の6年間は恐ろしく長かった。
それが今ではどうだ、瞬きをすれば6年経っているといってもいいくらい。

…という話を今日は書こうと思っていたのだが、ここで頭をよぎったのが、

だった。

これはかつてAIの限界を示す際によく使われた誤訳例だ。
正しくは、「光陰矢のごとし」。

という英文をAIに翻訳させたところ、
「flies(=fly)」を、「飛ぶ」(動詞)ではなく「ハエ」(名詞)
「l

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久々に心を落ち着けて、楽しんだお茶

久々に心を落ち着けて、楽しんだお茶

愛媛時代、全国あちこちに出向いて販売していた極上煎茶を淹れた。
完全無農薬で、過去に国際銘茶品評会で金賞を受賞した最高級のお茶だ。

昨年11月に母が亡くなったとき、子どもたちが愛媛の小中学校でお世話になった先生がお供えとして贈ってくださったのだ。
霊前からのお下がりをいただいた。

いいお茶はミニチュアサイズの茶器で淹れる。
湯呑みは30mLが入るか入らないか程度の小ささ。
宝瓶と呼ばれる柄のな

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頭をポリポリかくだけでは未来は開けない

頭をポリポリかくだけでは未来は開けない

毎朝届く新聞に、購読料値上げのお知らせが掲載されていた。
何十年ぶりかの改定らしい。

広報の仕事をしているから、マスメディアとは接点が多い。
先日、ある新聞社の新任記者が挨拶に来たが、記者の数が減ったと言う。
聞いてみると、それまで5名体制だったのが3名になったのだと。
購読数が減ってるからしょうがないですね、と俯いていた。

先週、ラジオ局の人も言っていた。
お年寄りかドライバーがメイン顧客に

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もうたぶん二度とないだろう、毎週の〈土曜パーティー〉

もうたぶん二度とないだろう、毎週の〈土曜パーティー〉

昨年の自粛期間、家族全員休校となったり在宅勤務になったりで、急に家が賑わいをみせたが、そんな新鮮な感覚も長くは続かない予感がした。
外出もままならず、籠もる生活が続けば、いつ終わるのかとストレスを感じるようになるに違いない。

そこで考えたのが〈土曜パーティー〉だ。
ルールはシンプル、毎週土曜の晩にテーマを決めたパーティーする、だけ。

土曜パーティー開催要項
① 「次の土曜、何のテーマにする?」

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