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続ちょこっとひとこと

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故郷・神戸に戻り、今を綴るもまだまだヨチヨチのエッセイ集。
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2021年2月の記事一覧

深い思索なしに直感をすぐアウトプットしがち

深い思索なしに直感をすぐアウトプットしがち

人生で初めて買ったCDはショパンだった。
大学入学直後のことだ。
奏者はフランスの天才、サンソン・フランソワ(Samson François)。
以来、ずっとこのショパンを聴き続けた。

小1から中1までピアノをやっていたが、あまりうまくもなかったので、ショパンには触れることなく憧れのままで終わった。
そこに、このCDだ。
ゆったりした中にも力強さのあるフランソワのピアノが自分の中でのショパンとな

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10時になったら音楽でも聴きながらゆったり飲もう

10時になったら音楽でも聴きながらゆったり飲もう

勤め先で、外部からゲストを招いた会合があった。
ご時世もあってか、狭い社内ではなく、よその広い会場を借りて開かれた。
手を伸ばせば波に触れられそうなほど海のすぐそばの、きれいな会場。

会合中ずっとSPのように入口付近に立ち、進行を補助する裏方。
しかし開場してゲストがぽつぽつ入ってくるあたりから、自分の関心はただ一点に絞られていた。

コーヒーだ。

ゲストが着席すると、会場側のスタッフが音もな

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ニオイ、匂い、香り

ニオイ、匂い、香り

百貨店では、地階の食品売場から混じり合って立ちのぼる複雑なニオイをごまかすために、1階に化粧品売場が配置されているという。
目には目を、ニオイにはニオイを。

ひどい鼻炎なので人より嗅覚が鈍いはずなのに、特定のニオイには敏感。
小さい頃、香水とか化粧品とかのニオイが特に苦手で、すれ違った女の人からシャンプーのニオイとかが漂ってくるのさえ耐えられなかった。
だから百貨店の1階は、鼻をつまんで足早に通

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味付け海苔と、焼き海苔

味付け海苔と、焼き海苔

実家では、海苔と言えばとにかく味付け海苔だった。
味付け海苔は手がベタベタするが、海苔とはそういうものだと信じて疑わないほど、海苔=味付けだったのだ。
大学生になって初めて焼き海苔を食べたが、味がない、乾物くさいとしか思えず、「味付けをする前に出回ってしまった低級海苔」なのだと思った。

しかし、次第にこの焼き海苔の旨さに目覚めていく。
醤油や砂糖ではなく、磯の香りがすることに気づいたのだ。
どう

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6畳一間で、あの頃いったい何を考えて生きていたのだろう

6畳一間で、あの頃いったい何を考えて生きていたのだろう

見出し画像で怖くなった方には申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
でも、変死体ではない。
京都で大学生をやっていた頃に描いた、紛れもない自分と、4年を過ごした部屋だ。

方角を表すのに、当時はまだ北とか東という言葉がなく、ロシアとかアメリカとか言っていたらしい…なわけない。
そこはアホな大学生の所業と目をつむってほしい。

キッチン・トイレ・シャワー・洗濯機共同、自由になるのはこの6畳だけ。
ここで4年

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黒木渚というミュージシャンを知っているだろうか

黒木渚というミュージシャンを知っているだろうか

黒木渚。
宮崎出身の女性アーティストだ。

何きっかけだったかはまるで覚えていないが、ちょうど同名のバンド「黒木渚」を解散する少し前だったから2013年頃に知っただろうか。
初めて聞いたミニアルバム「黒キ渚」に収められた楽曲はどれも中毒性があり、「あたしの心臓あげる」や「カルデラ」はそのギラギラした歌詞に衝撃を受けた。

梅田で開かれたインストアライブに出かけ、マイク以外に地声まで聞こえるほど間近

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豚まんを作ったなかなか中華な日曜の午後

豚まんを作ったなかなか中華な日曜の午後

昨日、なぜか急に思い立って、豚まんを作った。
といってもレシピが頭に入っているわけもなく、おいしそうなのをネットで探し出してマネをしただけだ。

***

一般に「肉まん」というが、神戸や大阪では「豚まん」という。
もちろん「肉まん」と聞けば、ははぁん「豚まん」のことやな? と分かるのだが、自分の口から「肉まん」と言ってしまうことは万に一つもない。

食肉文化を遡れば、東日本では豚を食べ、西日本で

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買い物が難しくなりすぎた

買い物が難しくなりすぎた

最近ハヤリのQR決済。
スマホの画面に表示させたQRコードを読み取らせる、またはお店に置かれたQRコードをスマホで読み取ることで支払ができるアレだ。

カタチのないQR決済には、なかなか手が出せない人も多いだろう。
現金志向の強い日本では、QR決済どころかクレジットカードを含むいわゆるキャッシュレス決済そのものがなかなか普及しない。
国も一時期、キャッシュレスで払えばポイント還元5%という、まるで

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木綿でできていれば木綿のパンツ、化繊でできていれば化繊のパンツ

木綿でできていれば木綿のパンツ、化繊でできていれば化繊のパンツ

日頃あまりダッシュボードの数字に関心がないが、ふらりと立ち寄った読者のために、二つのランキングを用意している。
そのうちの一つ、「ビュー☆ランキングトップ10」。

これは全記事、全期間の通算ビュー数のランキング。
だからランキングトップの記事がもっとも読まれた記事ということになるのだが、そのトップの記事が意外なのだ。

まだあまりフォロワーさんもいなかった頃にあげた記事なのに、最近の記事を押さえ

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見えればOKというものではない

見えればOKというものではない

こないだの日曜は不調の極みで何もできず、寝たり起きたりを繰り返した。
まったく気分が上がらない、まったく頭が働かない。
おそらく目はずっと虚ろだったと思う。

とくに鼻水やくしゃみが増えたわけでもなかったから原因が分からず、このところの仕事の疲れかなくらいに思ってもみたが、後からその日は警報級の花粉飛散日だったと知った。
ここ数年、ほとんど感じないほどまで快方に向かっていた花粉症なのに、今年はやら

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見出し画像のお作法

見出し画像のお作法

記事につける見出し画像は、いらすとやさんのものを借用している。
そのことはこちらの記事でも紹介した。

先日開いたnote飲み会で、いらすとやさんの絵なのになぜいつも記事内容にぴったり合うの? と質問をいただいた。
記事に合うよう加工しているから、なのだ。

たとえば次の記事で使った見出し画像。

この記事は、昨今の大学生が英語の筆記体が書けず、読めないことを書いたものなので、いらすとやさんでそれ

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そうして僕の東京暮らしは始まった

そうして僕の東京暮らしは始まった

このところ、春から一人暮らしを始める子どもの家探しを手伝っている。
ああでもないこうでもないと探しているうち、ふと自分が東京で暮らし始めた時のことを思い出した。

***

京都の大学を出て、東京の出版社に就職。
同じ大学から1年前に入社した先輩社員が家探しを手伝ってくれた。

待ち合わせは新宿の紀伊國屋書店。
さすが出版社の社員と思ったのに、まずは腹ごしらえだとすぐ向かいにあるインドカリーの中村

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昔の高齢者が味わった厳しさは

昔の高齢者が味わった厳しさは

近頃の新聞は文字がやたら大きく、読みやすさ抜群だ。
古い新聞の文字の小さいことといったらなく、たまにひきだしの奥から発掘されたりするが、読みにくいどころか、読めない。
昔はあんな小さな文字を読んでいたなんて。

「白線の内側までお下がりください」という駅員の口上、今ではすっかり「黄色い点字ブロックの内側までお下がりください」に置き換わった。
古い駅のホームに白線が残っていることがあるが、ホームの端

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次は今お読みいただいているあなたを誘うかもしれない

次は今お読みいただいているあなたを誘うかもしれない

昨日、連続365日投稿の節目を迎えた。
これまで200日連続で「noteチームも驚いています!」というポップアップが出たりしたので、365日ともなると画面いっぱいチアフルなハートで埋め尽くされてバーチャル胴上げでもされるのではないかと予想していたが、noteは意外と冷静だった。

せっかくすごいと言ってくれているが、何?365日?それがどうした!まだまだだ!とも聞こえ、はぁ…と答えるしかない。

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