NPO東京ライトハウス

どうやってみるか 東京ライトハウスっぽい話

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どうやってみるか 東京ライトハウスっぽい話

記事一覧

ヒトとの対話、モノとの対話

ダイアログ・イン・ザ・ダークとは先日、小学生の息子とダイアログ・イン・ザ・ダークに参加しました。ダイアログ・イン・ザ・ダーク(Dialog in the Dark)は、1988年、ド…

Low VisionでiPad--もしかしたら役立つかもしれない小道具達--

筆者は浜松の「ウイズかじまち」という訓練施設でロービジョン者のICT訓練に関わることがある。ipadは見えにくさを飛び越えて楽しいこと便利なことを運ぶツールとして人気…

視能訓練士の講習会に参加しました

昨年7月にパートタイマーではありますが視能訓練士として臨床に復帰しました。子育て等でブランクが長く、単発のお手伝いを除くとなんと13年ぶりです。その間、視能訓練士…

オリエンテーリングと視覚障害がある人のナビゲーションスキル

今年の夏、数年ぶりに友人と共にオリエンテーリングを楽しみました。私たちが歩いたのは、日本オリエンテーリング協会公認の6.5kmのパーマネントコースです。このコースは…

老眼とみんなに便利な近用メガネのはなし

年齢的には完全に老眼で困っているはずなのだが、それほど困っていない。ずっと昔は、老眼になると、近くを見るのが大変になる、つまり遠視になるのだと理解していた。そう…

先天眼振のある日常

先天眼振の症状は個人差が大きい。ここに記したものは、あくまでも私の個人的体験による独断レポートであることを確認しておく。 「この子の目、揺れてる」 生後の3ヶ月…

聴覚障害と老眼

私は大人になってから補聴器をするようになった。 そして、長い時間をかけて少しずつ少しずつ順調に(?)聴力が低下している。 以前は、家の中で補聴器をしていなくても…

受け入れられない老化現象

最近とみに老化を受け入れざるを得ないと感じ、かなり気分が落ち込んでいる。中でも聴力の衰えは泣きたくなるほどで、屋外を歩いていると反響音を聴きとれずに、電信柱はお…

1か0ではない運転免許交付制度の議論を

(画像はADEDのホームページより) 運転免許の返納により自分で自由に仕事や買い物に行けない、社会参加ができなくなると、個人の幸福や自立に否定的になり、高齢期の危機…

マジョリティとマイノリティ −視点の転換−

写真:UnsplashのRupert Brittonが撮影 今、社会は視覚障害がない人を基準にしてさまざまなシステムが作られています。しかし、視覚障害のない人たちは「マジョリティ」で…

私の子どもの近視と眼鏡のこと

近年、子どもの近視が話題になっています。新型コロナウイルス初期の一斉休校のあとくらいからテレビなどでもよくトピックに挙げられるようになったと思います。眼科領域で…

ハイテク再考,ローテク再興,ニーズ志向の支援を熟考

工学分野の視覚障害者の移動支援の論文を漁ると,ここ数年機械学習・AI関連のナビゲーションアプリの開発を報告した論文が頻繁にヒットするようになった.盛り上がっている…

見えない位置にある目的地

ある時、東京ライトハウスの「見えにくさの相談会」に50代の方がガイドへルパーと一緒に来られました。その方は、ガイドに頼ることなく一人でスタスタと真っ直ぐに私の相談…

求心性視野狭窄で歩くこと

世の中の多くの人は、視力があれば生活に支障がないと思っている節がある。しかしロービジョンの見え方の特徴を知る人なら、周辺の視野が欠損する求心性視野狭窄の状態にな…

Low Vision で GoodNotes5

※ Goodnotes5はTime Base Technology Limitedにより開発されたアプリケーションです。 iPadで手書き 私の愛用アプリGoodNotesの紹介をします。手書きができるノートアプ…

ミネソタ 2016年 初夏 iPad MNREAD-J 始動

調べてみると、それは6月22日だった。この日も他の日と同じように、ボストンにいるプログラマのロンとメールで連絡をとりながら開発をしていた。夕方になったのでミネソタ…

ヒトとの対話、モノとの対話

ヒトとの対話、モノとの対話

ダイアログ・イン・ザ・ダークとは先日、小学生の息子とダイアログ・イン・ザ・ダークに参加しました。ダイアログ・イン・ザ・ダーク(Dialog in the Dark)は、1988年、ドイツの哲学博士アンドレアス・ハイネッケの発案によって生まれたもので、これまで世界47カ国以上で開催され、900万人を超える人々が体験しました。日本では1999年11月の初開催以来、これまで24万人以上が体験しています(

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Low VisionでiPad--もしかしたら役立つかもしれない小道具達--

Low VisionでiPad--もしかしたら役立つかもしれない小道具達--

筆者は浜松の「ウイズかじまち」という訓練施設でロービジョン者のICT訓練に関わることがある。ipadは見えにくさを飛び越えて楽しいこと便利なことを運ぶツールとして人気が高い。ところが操作技術は簡単なようでいて、ロービジョンゆえの難しさ、年齢ゆえの難しさも存在する。

指導役は、これを使って〇〇をするんだ!というご本人の意気込みが、その操作の壁によって萎えてしまうのは極力見たくない。その前に不要な失

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視能訓練士の講習会に参加しました

視能訓練士の講習会に参加しました

昨年7月にパートタイマーではありますが視能訓練士として臨床に復帰しました。子育て等でブランクが長く、単発のお手伝いを除くとなんと13年ぶりです。その間、視能訓練士協会の生涯教育プログラムや学会参加で多少の勉強はしていましたがとても久しぶりの視能訓練士業務は視力検査も手早くできませんでした。週1〜2日のお仕事なので感覚を掴んでもすぐに戻ってしまうのですが、半年が過ぎ、ようやく慣れてきたように思います

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オリエンテーリングと視覚障害がある人のナビゲーションスキル

オリエンテーリングと視覚障害がある人のナビゲーションスキル

今年の夏、数年ぶりに友人と共にオリエンテーリングを楽しみました。私たちが歩いたのは、日本オリエンテーリング協会公認の6.5kmのパーマネントコースです。このコースは中世の山城跡とその周辺地域にわたり、10個の「コントロール」(通過すべき地点)が配置されています。使用した地図の縮尺は1:10000で、地図上の1cmが実際の100mを示しています。オリエンテーリングの地図は基本的には地形図であり、地名

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老眼とみんなに便利な近用メガネのはなし

老眼とみんなに便利な近用メガネのはなし

年齢的には完全に老眼で困っているはずなのだが、それほど困っていない。ずっと昔は、老眼になると、近くを見るのが大変になる、つまり遠視になるのだと理解していた。そう思っている人は少なくないかもしれない。しかし、今も、毎日パソコンの画面を見て長時間仕事をしているが、メガネをかけなくても、パソコンの画面を見るのに困ることはない。幸運ではあるが、では老眼とは何だったのか?僕は老眼にならないスーパーヒューマン

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先天眼振のある日常

先天眼振のある日常

先天眼振の症状は個人差が大きい。ここに記したものは、あくまでも私の個人的体験による独断レポートであることを確認しておく。

「この子の目、揺れてる」

生後の3ヶ月検診を待つ病院の待合室、隣に座った方に指摘され、母は私の異常な眼の揺れ、つまり先天眼振にはじめて気づいた。まだ幼い頃、母に連れられ、大学病院の眼科などへ検査に通ったことをよく覚えている。

眼球は見た目では気づかないほど小さく揺れている

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聴覚障害と老眼

聴覚障害と老眼

私は大人になってから補聴器をするようになった。

そして、長い時間をかけて少しずつ少しずつ順調に(?)聴力が低下している。

以前は、家の中で補聴器をしていなくてもインターホンは聞こえたものだが、最近は補聴器をしていてもあやしい時がある。しっかりインターホンのモニター画面を見ていないと気がつかない時があり、家にいるのに宅急便もしっかりと不在連絡票が入っていたり。

聴覚障害者は目で見て話しかけられ

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受け入れられない老化現象

受け入れられない老化現象

最近とみに老化を受け入れざるを得ないと感じ、かなり気分が落ち込んでいる。中でも聴力の衰えは泣きたくなるほどで、屋外を歩いていると反響音を聴きとれずに、電信柱はおろか、建物内の壁にまで正面からまともにぶつかる始末。

以前は、白杖を持たずに歩いても、停まっている車はお手の物、電信柱も、看板を支える金属の棒も、その辺に立っている人も、ほとんどのものを触れる前に認識することができた。酔って電車や居酒屋に

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1か0ではない運転免許交付制度の議論を

1か0ではない運転免許交付制度の議論を

(画像はADEDのホームページより)

運転免許の返納により自分で自由に仕事や買い物に行けない、社会参加ができなくなると、個人の幸福や自立に否定的になり、高齢期の危機が訪れるというアメリカの研究結果があります(Rothe, 1994など)。とりわけ車での移動が前提になっている地方に在住している場合、事態は深刻です。

そこで北米などいくつかの地域では、限られた地域や時間帯のみ運転することができたり

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マジョリティとマイノリティ −視点の転換−

マジョリティとマイノリティ −視点の転換−

写真:UnsplashのRupert Brittonが撮影

今、社会は視覚障害がない人を基準にしてさまざまなシステムが作られています。しかし、視覚障害のない人たちは「マジョリティ」であるため、視覚障害のある人たち(「マイノリティ」)が日々直面するバリアーに気づきにくい状況にあります。

以前、私は障害平等研修(Disability Equality Training: DET)を受けたことがあり

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私の子どもの近視と眼鏡のこと

私の子どもの近視と眼鏡のこと

近年、子どもの近視が話題になっています。新型コロナウイルス初期の一斉休校のあとくらいからテレビなどでもよくトピックに挙げられるようになったと思います。眼科領域ではもう少し前からホットな話題だったように思います。

さて、ここからは私の息子の例です。子どもは一般的に小さい頃は軽い遠視〜正視であることが多いですが彼は小学校入学前に正視〜わずかに近視がありました。でも不便はなく、裸眼で過ごしていました。

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ハイテク再考,ローテク再興,ニーズ志向の支援を熟考

ハイテク再考,ローテク再興,ニーズ志向の支援を熟考

工学分野の視覚障害者の移動支援の論文を漁ると,ここ数年機械学習・AI関連のナビゲーションアプリの開発を報告した論文が頻繁にヒットするようになった.盛り上がっているように見える反面,日本に限ってみればそういうナビアプリを恒常的に使用しているとおっしゃる視覚障害者にほとんど会ったことがない.知り合いの歩行訓練士に尋ねても誰も使っていないという悲しい返事が返ってくる.もちろん筆者の狭い人間関係での話なの

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見えない位置にある目的地

見えない位置にある目的地

ある時、東京ライトハウスの「見えにくさの相談会」に50代の方がガイドへルパーと一緒に来られました。その方は、ガイドに頼ることなく一人でスタスタと真っ直ぐに私の相談テーブルに近づいてきました。その方の様子に視覚障害をうかがわせるものはありませんでした。席についたその方に「どのようなご相談ですか?」と尋ねると、「家から徒歩10分ほどのところにあるバス停に一人で行けないのです」とのことでした。そのため、

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求心性視野狭窄で歩くこと

求心性視野狭窄で歩くこと

世の中の多くの人は、視力があれば生活に支障がないと思っている節がある。しかしロービジョンの見え方の特徴を知る人なら、周辺の視野が欠損する求心性視野狭窄の状態になると歩くことがとても大変になることを理解しているだろう。

見えない、見えにくい状態で歩こうとするとき、もっとも気になるのは足元の情報である。だから低視力の人や下方の視野のない人は視線を下に向けて移動することが多くなる。そうすると求心性視野

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Low Vision で GoodNotes5

Low Vision で GoodNotes5

※ Goodnotes5はTime Base Technology Limitedにより開発されたアプリケーションです。

iPadで手書き

私の愛用アプリGoodNotesの紹介をします。手書きができるノートアプリです。作業中の覚え書き、思考整理のための無秩序な文字書き、調べ物の自分ノート、プロジェクトスケジュールなど。いくらキーボードや音声入力が手近にできるようになった時代でも、手書きを優先

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ミネソタ 2016年 初夏 iPad MNREAD-J 始動

ミネソタ 2016年 初夏 iPad MNREAD-J 始動

調べてみると、それは6月22日だった。この日も他の日と同じように、ボストンにいるプログラマのロンとメールで連絡をとりながら開発をしていた。夕方になったのでミネソタ大学のオフィスから学生アパートに戻ってきて、シャワーを浴び、ロンから送られてきた改良後のプログラムをテスト用iPadにインストールして動かしてみた。おお!ついに、日本語のテスト文がちゃんと表示されて、一通りの検査ができた!

当時お気に入

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