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Low VisionでiPad--もしかしたら役立つかもしれない小道具達--
筆者は浜松の「ウイズかじまち」という訓練施設でロービジョン者のICT訓練に関わることがある。ipadは見えにくさを飛び越えて楽しいこと便利なことを運ぶツールとして人気が高い。ところが操作技術は簡単なようでいて、ロービジョンゆえの難しさ、年齢ゆえの難しさも存在する。
指導役は、これを使って〇〇をするんだ!というご本人の意気込みが、その操作の壁によって萎えてしまうのは極力見たくない。その前に不要な失
オリエンテーリングと視覚障害がある人のナビゲーションスキル
今年の夏、数年ぶりに友人と共にオリエンテーリングを楽しみました。私たちが歩いたのは、日本オリエンテーリング協会公認の6.5kmのパーマネントコースです。このコースは中世の山城跡とその周辺地域にわたり、10個の「コントロール」(通過すべき地点)が配置されています。使用した地図の縮尺は1:10000で、地図上の1cmが実際の100mを示しています。オリエンテーリングの地図は基本的には地形図であり、地名
もっとみる老眼とみんなに便利な近用メガネのはなし
年齢的には完全に老眼で困っているはずなのだが、それほど困っていない。ずっと昔は、老眼になると、近くを見るのが大変になる、つまり遠視になるのだと理解していた。そう思っている人は少なくないかもしれない。しかし、今も、毎日パソコンの画面を見て長時間仕事をしているが、メガネをかけなくても、パソコンの画面を見るのに困ることはない。幸運ではあるが、では老眼とは何だったのか?僕は老眼にならないスーパーヒューマン
もっとみる1か0ではない運転免許交付制度の議論を
(画像はADEDのホームページより)
運転免許の返納により自分で自由に仕事や買い物に行けない、社会参加ができなくなると、個人の幸福や自立に否定的になり、高齢期の危機が訪れるというアメリカの研究結果があります(Rothe, 1994など)。とりわけ車での移動が前提になっている地方に在住している場合、事態は深刻です。
そこで北米などいくつかの地域では、限られた地域や時間帯のみ運転することができたり
マジョリティとマイノリティ −視点の転換−
写真:UnsplashのRupert Brittonが撮影
今、社会は視覚障害がない人を基準にしてさまざまなシステムが作られています。しかし、視覚障害のない人たちは「マジョリティ」であるため、視覚障害のある人たち(「マイノリティ」)が日々直面するバリアーに気づきにくい状況にあります。
以前、私は障害平等研修(Disability Equality Training: DET)を受けたことがあり
ハイテク再考,ローテク再興,ニーズ志向の支援を熟考
工学分野の視覚障害者の移動支援の論文を漁ると,ここ数年機械学習・AI関連のナビゲーションアプリの開発を報告した論文が頻繁にヒットするようになった.盛り上がっているように見える反面,日本に限ってみればそういうナビアプリを恒常的に使用しているとおっしゃる視覚障害者にほとんど会ったことがない.知り合いの歩行訓練士に尋ねても誰も使っていないという悲しい返事が返ってくる.もちろん筆者の狭い人間関係での話なの
もっとみる見えない位置にある目的地
ある時、東京ライトハウスの「見えにくさの相談会」に50代の方がガイドへルパーと一緒に来られました。その方は、ガイドに頼ることなく一人でスタスタと真っ直ぐに私の相談テーブルに近づいてきました。その方の様子に視覚障害をうかがわせるものはありませんでした。席についたその方に「どのようなご相談ですか?」と尋ねると、「家から徒歩10分ほどのところにあるバス停に一人で行けないのです」とのことでした。そのため、
もっとみるLow Vision で GoodNotes5
※ Goodnotes5はTime Base Technology Limitedにより開発されたアプリケーションです。
iPadで手書き
私の愛用アプリGoodNotesの紹介をします。手書きができるノートアプリです。作業中の覚え書き、思考整理のための無秩序な文字書き、調べ物の自分ノート、プロジェクトスケジュールなど。いくらキーボードや音声入力が手近にできるようになった時代でも、手書きを優先