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聴覚障害と老眼

私は大人になってから補聴器をするようになった。

そして、長い時間をかけて少しずつ少しずつ順調に(?)聴力が低下している。

以前は、家の中で補聴器をしていなくてもインターホンは聞こえたものだが、最近は補聴器をしていてもあやしい時がある。しっかりインターホンのモニター画面を見ていないと気がつかない時があり、家にいるのに宅急便もしっかりと不在連絡票が入っていたり。

聴覚障害者は目で見て話しかけられているのを認識しているので後ろから呼ばれるのに気がつかない、とよくいわれるが、昔はなんとなく声をかけられてる気配を察知できることは多かった。(周りの人からみればどうかわからないが)

補聴器をするようになってから、メガネやコンタクトこそしているものの、目や集中力は特に問題なかった。だから、文字通訳や手話通訳、電話には出ない、テレビには字幕、「後ろからだと話しかけられても気がつかない」ことなどを周りの人に説明するなど、聴覚障害がある状態での生活や仕事の仕方を身につけてきた。補聴器をつけてから20年も経つと、この状態に慣れて、困ることは特になかった。ところが最近困ると感じることが増えてきた。

先日、本格的にすぐ近くの距離でも背後からだと呼ばれていることに気がつかず、「呼ばれてるよ」と指摘されるのみならず、「○○さんは耳が遠いので…」と周囲の人に代わりに説明までされる始末。そういえば、誰かから話しかけられるかも、というセンサーが自動的にオフになっていたかもしれないと思ったりする。

後ろから呼ばれて気がつかない問題は、補聴器をするようになってすぐからかなり気にしていて「後ろから呼ばれても気がつかないかもしれない。そのときは肩を叩いたり、もっと近くから話しかけてください」と家族や職場の人には伝えるようにしてきた。私は聞こえないだけなのに、無視していると思われるのがイヤだからだ。それなのに、いまやそれすらも人に説明されるという…。これはいよいよか聴力だけでなく、集中力もかなり落ちてきたな、と。

その上、聴力、集中力の低下に加えて、最近老眼にもなってきたのである。小さい文字を読み間違えたり、ありえない読み間違いをしたりする。もちろん、すぐに読み間違いに気がつくが昔はこんなことはなかった、と、かなりショックを受けている。聴力については最初から医師にだんだん聴力が落ちていくだろうと説明されていたため、その都度、その聴力に適応しようといろいろ工夫してきたが、いつごろ老眼になるかは、当たり前だが誰にも説明されていないので私にとっては突然だったのだ。

テレビの字幕はリアルタイムだと結構タイムラグがあるので、聞き間違っている間にどんどん進んでいくので、わからないままになってしまう。大体はわかるのに、はっきりはわからないというストレスといったら…!それでは疲れるのでめっきりスマートフォンで動画を見るのが常になった。補聴器をBluetoothでスマートフォンと繋げられるのでテレビで聞くよりもクリアに聞こえる。Youtubeは字幕がついているものも多いし、断然楽なのである。最初はよく聞き取れることがうれしくて、Youtubeをよく見ていたが、それでも補聴器越しに音を聞くのは元々弱い聴神経の持ち主には負担があって一定時間経つと疲れてきてしまう。

メガネがあってないのかと思って眼科に行ったものの、大幅にあっていないわけではないとのこと。ただ、レンズと目の位置があっておらず調整してもらったところ、かなり楽になった。メガネのつるがずり落ちてこないように直してもらったのも大きかった。老眼もそんなにすごいわけではなく、これからだんだんもっと進んでくるからその都度レンズを変えたほうがいい、ということだった。

集中力が前ほど持たないのも老化現象の一種だと思う。

どうも今まで身につけてきたやり方が、だんだん通用しなくなってきたようだ。聴力の低下で、どうしたらいいのか途方に暮れた時もあったが、なんとかなってきた。老眼も集中力の低下も補聴器をつけたころのように、なんとか疲れにくい方法を模索して適応していこうと思う今日このごろだ。

文:EMK

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