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【ほぼ実話のフィクション】生きづらいと感じている全ての人へ

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誰かの役に立ちたい、それと同時に自分の事を理解してもらいたい。そんな気持ちが溢れそうになった時に書きました。何事も考えすぎて生きづらくなってしまう。そんな私のお話しです。色々な事… もっと読む
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記事一覧

【生きづらいと感じている全ての人へ。連載①】小説

【生きづらいと感じている全ての人へ。連載①】小説

『小説』
曇りと晴れが交互に過ぎてく平日の13時。
チェーン店のコーヒー屋さんで、ホットドッグとアイスコーヒーのトールサイズを買って小説を読みはじめる。表紙の熱帯魚に惹かれて、思わずパケ買いした1冊。
コーヒーと交互に読み進めるも、最初の1ページを過ぎないうちに雑念がよぎる。

…はて。この小説の登場人物は、ごく普通のどこにでもいるような人物なのに、なんで主人公なんだろう。私は一度も主人公になれた

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【生きづらいと感じている全ての人へ。連載②】普通

【生きづらいと感じている全ての人へ。連載②】普通

『普通』

私はずっと普通になりたいと思っていた。
言い換えると、幼い頃から自分は普通ではない事を自覚していたし、普通に見えるように振る舞う事に精一杯だった。これは決して、被害妄想なんて事は無く、これまでの人生で周囲の人と自分とを冷静に比較し続けてきた自分なりの統計結果である。それに、恐らく普通の人は普通の人を装う事なんてしないと思う。

では、普通とは何か。というありきたりな問いに、私はこれにも

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【生きづらいと感じている全ての人へ。連載③】夕飯

【生きづらいと感じている全ての人へ。連載③】夕飯

小説を読むのをそこそこで切り上げて、飲み終わったコーヒーカップを返却口に戻す。 
昨日も一昨日も、体調不良を言い訳に夕飯作りをさぼってしまったから今日こそは任務を果たさないと。

それに今日は水曜日。夕飯はお味噌汁だけ作ればいい日。
これは、私が無理をしないように夫が設けてくれた夕飯作りのルールだ。
だが、それさえやる気が沸かないくらいに私の心は荒んでいる。

そして、すでに色々考えすぎて弊労して

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【生きづらいと感じている全ての人へ。連載④】夫

【生きづらいと感じている全ての人へ。連載④】夫

夫とは大学生時代のアルバイトで知り合った。
最初の印象は、優しいお兄さん。

学年が一つ上でアルバイトとしても先輩だったし、一つしか変わらないのに落ち着いていて、堂々としている。
将来の事も明確にしていて、大人っぽくて、私の周りにはいないタイプだった。
それに親しみやすくて、少しふざけて笑いを取るなんて事もある。

そんな彼を見て、なんて普通!と思った。
そして、その普通さが人としてとても魅力的だ

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【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑤】憧れ

【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑤】憧れ

私はこの二人を、祀りあげるくらいに尊敬していた。
素晴らしい、そうなりたい、と何度も伝えた。
どんな子育てをしたらそうなるのか、はたまた親御さんが大変立派なのか。
普通とは遺伝なのか?

次第に、自分と二人の違いをいくつも見つけて、二人には合ってわたしには不足している事をどうにか埋めようと必死になった。

でも、真似しようとしても上手くいかない。二人のようにはなれない。
そのうち私はどんどん卑屈に

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【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑥】カウンセリング

【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑥】カウンセリング

いつものように回らない頭で狂ったように調べていると、一つのカウンセラーのホームページが目に入る。
「ポジティブ心理学」という、今まで見つける事ができなかった視点。
ホームページのあらゆる記事を読み漁った。
そして、不安でぐるぐる考えつつも、あっとゆうまにカウンセリングの予約を入れ、私は一人東京まで足を運んだ。
そこで、約1年の間カウンセリングを受ける事となる。

それまで、心療内科を2度受診したも

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【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑦】ポジティブ心理学

2回目以降のカウンセリングや勉強はリモートで行われた。
自分の思考癖や得意な事を統計学によって導き出された分類項目に分け、客観的に把握し、それを心理学と合わせて対処方法を学ぶというものだった。

1ヶ月の学びが終わる頃には、オンラインで何人かが集まり毎月の課題に対してどう感じたか、どのように実践したかなどを発表し合った。
そして、白黒思考で自分のダメなところばかりに目がいってしまう私にとっては、や

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【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑧】父

【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑧】父

私の父はとても身勝手で、自分中心で、
「子供の事なんか俺は知らない。勝手にやれ。」と言うような、
いわゆる“毒親“という、最近良く聞く単語で表すのがぴったりな父親だ。
大人になるにつれて、なんてダメな男なんだろうと改めて感じるくらいにダメダメだった。
でも、私はそんな父が嫌いでは無かった。

とても自慢できるような親ではないが、優しい所があり、楽しいところもあった。

父は酔っ払って機嫌が良いと、

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【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑨】家族

【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑨】家族

父の葬儀は父の親である私の祖父母が中心になって段取りをしてくれた。
また、弟が一緒に暮らしていた事からくる責任からか、私たちにはあまり頼らずに手続きを担ってくれたお陰で、私はあまり大変な思いはせず、ひたすら寂しい気持ちで、それを隠すように弟や妹、祖父母や叔父と笑って、時に涙しながら過ごした。

母も弟を心配し、細かい手続きについてしかるべき所に問い合わせたりと動いていたようだった。妹は末っ子らしく

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【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑩完結】現在

【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑩完結】現在


走馬灯かと思うほど、過去の事を思い出していた。
16時を過ぎている事に気づき、我に返って本屋を少し徘徊する。

そこにはいろんな人の、たくさんの想い、思想が詰まった本の束。
それはいたるところに積まれていたり、きっちり棚に並んでいたり、堂々と飾られていたり。
その風景を見ていると、不思議と心が和らいでいくのを感じた。

それぞれの世界がこんなにたくさんある中で、私のこの変な世界はとても小さくて

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【生きづらいと感じている全ての人へ。連載】あとがき

【生きづらいと感じている全ての人へ。連載】あとがき

これを小説と言っていいのか分からないくらい、つたない文章でお恥ずかしい限りですが、とにかく誰か一人でもいいから、これを読んで共感して、重ねて、ほっとしてくれたら嬉しい、その思いで書きなぐりました。

なんせ、初めての事ですから、驚くほど幼稚で既視感のある文章である事は認識しております。
どうか読まれる方の優しい心でスルーしていただければ幸いです。

そして、私のように、漠然と孤独でどうしようもなく

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