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【生きづらいと感じている全ての人へ。連載③】夕飯


小説を読むのをそこそこで切り上げて、飲み終わったコーヒーカップを返却口に戻す。 
昨日も一昨日も、体調不良を言い訳に夕飯作りをさぼってしまったから今日こそは任務を果たさないと。

それに今日は水曜日。夕飯はお味噌汁だけ作ればいい日。
これは、私が無理をしないように夫が設けてくれた夕飯作りのルールだ。
だが、それさえやる気が沸かないくらいに私の心は荒んでいる。

そして、すでに色々考えすぎて弊労している脳で思考を反芻させる。
責めないよう、落ち込まないよう、コントロールしてみる。
それとほぼ同時に、夫がそんな私に愛想を尽かしている妄想がぐるぐると巡っていく。

「だらしない。」「見損なった」
「俺はこんなにしてやってるのに。お前は何もしていない。
そんなやつ出ていけ!」

あくまで妄想で、夫にこんな事を言われた事は一度だって無い。
むしろ、夕飯を作れないと言うと、いつも「大丈夫。」と言ってくれる。
おまけに、時間があるときは仕事終りに買い物をして帰宅し、休む事なく夕飯を作ってくれる。料理は美味しいし、偉そうにもしない。

良い夫だ。周りからもそう言われる。

でも、どうしてか夫といると寂しい。
こんなふうに考えいる事や、不安に思っている事を話せない。
落ち込んでいる事を言い出せない。

どう思われるかが怖い。…なぜか?

それは、夫が「普通」だからだ。


(つづく)


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