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【生きづらいと感じている全ての人へ。連載⑤】憧れ


私はこの二人を、祀りあげるくらいに尊敬していた。
素晴らしい、そうなりたい、と何度も伝えた。
どんな子育てをしたらそうなるのか、はたまた親御さんが大変立派なのか。
普通とは遺伝なのか?

次第に、自分と二人の違いをいくつも見つけて、二人には合ってわたしには不足している事をどうにか埋めようと必死になった。

でも、真似しようとしても上手くいかない。二人のようにはなれない。
そのうち私はどんどん卑屈に、ダメになっていった。
私はやっぱり幸せになんてなれない。私がもともとダメなんだ。居なければよかった。もう無理だ。と思うようになった。

それは今の夫とお付き合いを始めた頃、同棲して数ヶ月くらいの事だった。何年かぶりに、「死にたい」と切に思った。

海か、湖がいい。明け方の綺麗な水に、静かに浸りきってしまいたい。

そんな想像をすると、不思議と気持ちが軽くなった。
もし終わりにできたら、この永遠と続く″人“としての呪縛から解放される。
そしたらなんて楽なんだろう。

しかし、そんな事をしたら、せっかく私を拾ってくれた彼に、重たすぎる荷物を一生背負わせる事になってしまう。
それはあまりにもひどい。恩を仇で返す行為だ。
でもどうしよう?どうしたら普通になれる?

私は今までもたくさん調べて、たくさん読んできた本に何度も当たり前のように出てくる、「自己投資」や「自己肯定感」などの言葉を、また懲りずに調べて、そこにあるありきたりなハウツーをすがる思いで読み浸る。

(つづく)


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