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『君が獣になる前に』ーさの 隆作ー【誰もが心に獣を抱えている】

『君が獣になる前に』ーさの 隆作ー【誰もが心に獣を抱えている】

こんにちは、初めましての人は初めまして。

今回はさの 隆さんの漫画『君が獣になる前に』について書いていきたいと思います。

普段はあまり漫画について書くことはないのですが、つい5分ほど前に読了して感動してしまったので、その感動が覚める前に書いていきたいと思います

【あらすじ】まずはあらすじから

主人公の神崎一は葬儀屋を営む青年。
幼い頃に両親を事故で亡くし、今もそのトラウマで苦しんでいる。

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『影の縫製機』ーミヒャエル・エンデ作ー【『モモ』や『はてしない物語』だけじゃない!!ドイツ児童小説家の傑作詩集】

『影の縫製機』ーミヒャエル・エンデ作ー【『モモ』や『はてしない物語』だけじゃない!!ドイツ児童小説家の傑作詩集】

こんにちは、初めましての人は初めまして。

今回は『モモ』や『はてしない物語』で有名な、ドイツの児童小説家ミヒャエル・エンデの詩集『影の縫製機』について書いていきたいと思います。

この詩集はエンデが『はてしない物語』を執筆してから3年後の1982年に出版されています。

僕が生まれる以前の作品ですが、現代に生きる僕たちにもハッと何かを気づかせてくれる作品になっています。(めちゃめちゃ月並みな表現

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「女のいない男たち」村上春樹作(*注意:今回は男女関係についてとてもバイアスがかかった発言をしていますので苦手な方は控えてください)

「女のいない男たち」村上春樹作(*注意:今回は男女関係についてとてもバイアスがかかった発言をしていますので苦手な方は控えてください)

こんにちは、初めましての人は初めまして。
今回は村上春樹さん作の短編集『女のいない男たち」
について書いていきたいともいます。

この作品は西島秀俊さんが主演で映画化され、
アカデミー賞長編映画部門を受賞した『ドライブマイカー』
を含む6本の短編が収録されています。

【この作品のテーマー女のいない男ってどういうこと?ー】この短編集のテーマは、タイトルの通り「女のいない男」です。

このわかるけど

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『永遠をさがしに』原田マハ作【理想的な彼氏像を描くのが上手すぎる!!】

『永遠をさがしに』原田マハ作【理想的な彼氏像を描くのが上手すぎる!!】

こんにちは、初めましての人は初めまして。

今回は、原田マハさんの書いた小説、
『永遠をさがしに』について書いていきたいと思います!

僕のNOTEで紹介する原田マハさんの作品は、
以前の『ロマンシェ』に続き2作目になりますが、
今回もめっちゃ面白いので、是非読んでみてください!!

『ロマンシェ』の記事は以下のリンクから読めますので、
こちらも是非よろしくお願いします!

それでは早速あらすじか

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『母性』湊かなえ作 感想

『母性』湊かなえ作 感想

永野芽衣さん主演で映画化もされた。
コピーは「母の愛が私を壊した。」

この本は、母親、娘、とある高校教師の三人の目線で物語が進行していく。

母親から見た娘の行動の解釈と、娘の行動意図の絶妙なズレと、
それが元でが生まれていく母子の関係の溝が見事に描かれている。

母親も娘も、お互いを愛そう、愛されようと必死になっているが、
それが全く噛み合わない。

しかも、母親視点の話は回想ではなく、自身の

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『羊を巡る冒険』 村上春樹作 感想

『羊を巡る冒険』 村上春樹作 感想

こんにちは、初めての方は初めまして。

前回予告した村上春樹さん作の『羊をめぐる冒険』の感想と、
それに付随した最近のお話しをしていきたいと思います。

長くなってしまうのですが、最後までお付き合いください。

まずは作品の軽い説明から。
この作品は村上春樹さんの3作目の長編になり、
鼠三部作と呼ばれるシリーズの3作目でもあります。

この鼠シリーズというのは、村上春樹さんの長編小説『風の歌を聴け

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『東京奇譚集』 村上春樹作 【母から子への愛と、父親から子への愛】

『東京奇譚集』 村上春樹作 【母から子への愛と、父親から子への愛】

こんにちは、初めましての方は初めまして。

今回は、村上春樹さんの『東京奇譚集』について書いていきます。
タイトルの通り僕は、この本を読んで親の子への愛について
感じるところがあり、まとめてみました。
長くなりますがお付き合いください。

▼本全体の紹介
まずはこの本がどう言った本なのかということを紹介していきます。
この本は2005年に発刊された短編集で、
村上春樹さんの代表的な『海辺のカフカ』

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『国境の南、太陽の西』村上春樹作【人生における幸福、特に『男』にとって】

『国境の南、太陽の西』村上春樹作【人生における幸福、特に『男』にとって】

こんにちは、初めましての方は初めまして。

前回の予告とは違うのですが、
今回は村上春樹さんの小説、
『国境の南、太陽の西』について書いていきます。
長文になりますが、お付き合いいただけましたら幸いです。

▼あらすじ
小説の主人公『僕』は、
『BRUTUS』に載るような、ジャズを聞かせる上品なバーを経営し、
二人の子供を育て、青山に4LDKの家を持ち、幸せな家庭を築いてる。

そんなある日、小学

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『ロマンシェ』原田マハ作【西野カナが書いている!?】

『ロマンシェ』原田マハ作【西野カナが書いている!?】

こんにちは、初めましての人は初めまして。

いつも村上春樹さんの作品ばかりですが、
今回原田マハさんの作品について書いていきたいと思います。
僕は友人に勧められて読みましたが、かなりオススメです!

特に、純粋に明るい気持ちになりたい人や、少女漫画が好きな人や、
何か新しいことに挑戦しようとして二の足を踏んでしまっている人には特に!

【あらすじ】

まずはあらすじ。
主人公は有名な政治家の息子で

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『異常(アノマリー)』エルヴェ・ル・テリエ作【2月にして2023年1位を確信した作品】

『異常(アノマリー)』エルヴェ・ル・テリエ作【2月にして2023年1位を確信した作品】

こんにちは、初めましての人は初めまして。

今回は、2020年にフランスで最高峰の文学賞を受賞した小説、
『異常(アノマリー)』について書いていきます。

今回ネタバレ絶対NGな作品なので、あらすじを飛ばして、
オススメポイントから書いていきたいと思います。

後半に僕の感想を書いていくのですが、ネタバレを含みますので、
そこから先は作品をご自身で楽しんでから、読んでください!

【オススメ理由①

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『キオスク(-Der Tranfikant- )』ロベルト・ゼーターラー作【資料としての小説】

『キオスク(-Der Tranfikant- )』ロベルト・ゼーターラー作【資料としての小説】

こんにちは、初めましての人は初めまして

今回はオーストリアの作家、ローベルト・ゼーターラーの『キオスク』
について、書いていきたいと思います。

この作品は、東宣出版という出版社の「はじめて出逢う世界のおはなし」
(http://tousen.co.jp/hajiseka-booklist)という世界各国の文学を翻訳しているシリーズのオーストリア編です。

余談ですが他にもチェコやアルゼンチン、

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