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【海外就職】東南アジアで働く!前提条件と経験者アドバイス3ヶ条(後編)


前回、海外就職について必要となる前提条件(TOEIC730点程度の英語力・少しの度胸と行動力)を紹介した。これは海外就職を「掴み取る」までの過程だ。

今回の記事では、ぼくが海外で就労経験を積んで学んだ、外国で働き続けるための3ヶ条を紹介する。

(※下記は、ぼくが実際に、後輩に東南アジアでの海外就職を相談されたときにアドバイスしていた内容だ。)

1. あなたの価値の源泉は、日本人顧客にリーチできることにある

海外に出ると、日本社会から解放されたと感じる人は多い。特に東南アジア、常夏の気候は過ごしやすく、心地よい精神の麻痺を感じるだろう。

ここが海外就職の魅力であり、また危険な点である。

東南アジアでの海外就職を望む人たちの中には一部、「日本社会からの解脱」を志向している人たちがいる。日本社会の対人関係におけるストレスを嫌い、日本社会のビジネス上の風習を忌み嫌う。

しかしそれは大きく間違っている。あなたに求められる能力は、そんな日本社会(に住まう普通の日本人顧客)と現地企業を繋ぐ力だ。

もし現地人スタッフが、訛りのない日本語で、日本式の丁寧な対応により日本人顧客の心を掴めるなら、別に面倒くさいビザ周りの手続きをしてまで外国人であるあなたを雇う必要はない。

日本語以外を理解せず、日本式のサービスに慣れた、普通の日本人顧客と密に疎通できること。それが、あなたが海外企業に採用された(おそらく唯一の)理由だ。

そのためには、顧客が空気のように馴染んでいる日本式の商習慣に、あなたもある程度精通している必要がある。

ただ難しく考える必要はなく、要は日本の普通の会社に就職して2~3年働けば学べるビジネスマンとしての基礎知識は最低限知っておけ、その後日本社会に帰ったとしても問題なく通用するスキルを意識して身につけろという話だ。

だからこそ、新卒でいきなり海外就職することはあまりお勧めしない。丸腰で挑むには、海外はあまりにも優しくない。

(※上記アドバイスは、普通の日本人が海外で働く場合を想定している。スーパープログラマーなど、外国でも通用する超高度なスキルをすでに持っている人は、ここでは対象としない。)


2. 日本との関係を切らない。親類との関係を疎かにしない

居住国ではあなたは外国人となる。あなたは日本とはまったく違う法律の支配する国、外国人の権利が制限されている国で暮らしていることは忘れてはならない。

あなたが居住国でトラブルに巻き込まれたとしても、公的機関含め、誰もあなたを(日本にいた頃のように)助けてくれない。現地語を話せないあなたは、非常に不利な立場に置かれる可能性が高い。

また、日本国内で発生する公的イベント(例えば国際結婚に伴う公的申請書類の提出など)に対処したければ、日本国内に協力者がいないと、委任すらできないことになる。

だからこそ、日本国内に住む最も信頼できる人、つまり最悪の事態になったとき、日本に帰国できる費用を捻出して手続きしてくれる人との関係は、絶対に切ってはいけない。特に(ご存命であれば)親御さんを中心とした親類との絆が、文字通りあなたの最後のセーフティネットとなる。

(※いまはSNSが発達しているので、例えばLINEを使えば、メッセージのやり取りだけでなく、国際電話さえ無料だ。少なくとも通信上の障害は一切ない。)


3. 行動様式の基準を居住国に合わせる。自分の身は、自分で守る

東南アジアで生活すると、社会インフラが整備され、治安が維持されている日本が、どれだけ幸福な社会を実現できているかを実感する。

ぼくのいたフィリピンは貧富の差が激しく、闇でシャブ(フィリピンは現在、麻薬の取締りを強化している)と拳銃が流通しており、高速スピードで蛇行するタクシーに乗ったことがあるし、小競り合いで銃を抜く人を見たこともある。

もちろん、だから東南アジアは危ないと言いたいわけではないし、普通に生活していれば日本同様、まずはそのようなトラブルに巻き込まれることはない。

問題は行動様式の「基準」が、日本にいた頃のまま固定してしまっている人が一部いるということだ。安全過ぎる日本での行動様式を、居住国に合わせてアップデートできていない日本人が多いのだ。

例えば、夜道を女性がひとり歩いてはいけないし、スリが多発すると情報のある箇所でポケットに財布を入れてあるいてはいけないし、道路の段差には常に集中する必要があるし、外国人としての雰囲気を消さなければいけないエリアがあるし、逆に外国人であると強調しなければ尊重されないエリアがあるし、現地の方々が敬意を抱いているもの(宗教・風習・国家元首など)をけなしてはいけないし、基礎的な近代史(特に東南アジアは旧日本軍の悲しい歴史がある)は把握しておくべきだし、公衆の面前で部下を罵倒してはいけないし、現地人(現地滞在の日本人含む)を過度に信用しすぎてはいけないし、セキュリティスタッフには適度な愛想を振りまく必要があるのだ。(正直、他にもいっぱいある。)

肝は、現地人と少しでも交流し彼ら彼女らから学ぶことだ。観察を怠らなければ、お互いの行動様式の差異から、合わせるべき現地での「基準」を見つけられるはずだ。


最後に

結局、海外にいても、普通のことを普通にできる奴が強い。図太く生き残って活躍していた人を思い出しても、バイタリティだけでなく、やるべきことをしっかりとやっている人が多かった。

ぼくは海外に出ることで視野が広まったし、精神的にも大きく成長できた。いまこうして書ける文章があるのも、その経験のおかげだ。

もし少しでも海外就職に挑戦したい人がいれば、後悔するぐらいなら挑戦してみることをお勧めする。

(※各国ごとの就職手順などテクニカルな内容については、該当国の就職・転職事情に詳しい海外就職専門のエージェントに相談されるか、内容の詳しいWEBサイト情報を参照してほしい。)


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