見出し画像

利上げと利下げ〜米国金融経済と合わせてわかりやすく解説〜

本日(2022年3月17日)、FRBがFOMCにて
ゼロ金利を解除し、政策金利を0.25%利上げ
することを決定しましたね。


あまり金融経済に馴染みのない方だと、

「FRB?FOMC?政策金利?利上げ????」

となるニュースだと思いますので、

本日は「利上げと利下げ」について、
そして、「米国の金融経済ワード」を
1つずつわかりやすく解説したいと思います。


では、まず今回のニュースの主旨である
「利上げと利下げ」についてです。

■利上げと利下げ

そもそも利上げと利下げを説明する前に、
利上げの「利」が何を意味するかから
説明したいと思います。

「利」は「金利」を意味しています。
正確に言うとこの場合は「政策金利」です。

「政策金利」とは、中央銀行と言われる国の
中枢を担う銀行(日本の場合は日本銀行)が、
一般の銀行にお金を貸し付ける際の金利の
ことを指します。

中央銀行(日銀)には3つの役割があります。

①銀行の銀行

我々が銀行にお金を預けるように、一般の銀行も
お金を預けます。その預け先が日本銀行です。
これは安心のためだけではなく、準備預金制度
という制度により、銀行も一定額を日本銀行に
預けておかなければならないからです。

②政府の銀行

我々が支払っている税金や、将来もらう年金など
これらのお金を政府は日本銀行で管理しています。
そのため、金融機関だけでなく政府の銀行でも
あります。

③発券の銀行

我々が普段使うお札などを刷っているのも日本
銀行ですね。
市中にどれだけお金を流通させるかの調整は、
その時のインフレやデフレといった経済情勢
にもよります。

インフレデフレについては過去記事をご参考
ください。


では、この3つの役割を担う中央銀行(日銀)
ですが、①銀行の銀行という役割が今回の
政策金利に特に関わっています。

この政策金利は預けているときの「預金金利」
や貸し出すときの「貸出金利」などを指します。



この貸出金利などの金利を「上げ」「下げ」
することでどのような影響が起きるかを
見てみましょう。

・利上げ

例えば、日本銀行が一般の銀行にお金を貸す
ときの金利を上げたとしましょう。

一般の銀行は普段よりも高い金利で日本銀行
よりお金を調達しなければなりません。
そうなると、企業や個人への貸出もその分の
金利を上乗せしなければ金融機関も旨味があり
ません。

これによって、企業や個人は高いと感じお金を
あまり借りなくなります。
そうすると、世の中の消費活動は減ります。

この場合、企業などは少ない消費活動の中で
利益を上げなければなりません。
そうなると、モノやサービスの値段も上がり
ます。

「利上げ」は世の中の景気が過熱して物価が高く
なっている「インフレ」の状態をを少し落ち着か
せるために行います。

これを「金融引き締め」ともいいます。

・利下げ

では、逆に日本銀行が一般の銀行にお金を貸す
ときの金利を下げたとしましょう。

今度は普段よりも低い金利で一般の銀行は
日本銀行よりお金を調達できます。
そうなると、企業や個人への貸出もその分の
金利を低くすることができます。

これによって、企業や個人は普段より低いため
いまお金を借りておこうと思いますよね。
そうすると、世の中にお金がたくさん出回り
消費活動が活発となります。

この場合、個人の消費活動は活発になって
いるため、企業は数を得ることができるため、
モノやサービスの値段も下げられます。

「利下げ」は世の中の景気がして停滞している
「デフレ」の状態を解消するために行われます。

これを「金融緩和」ともいいます。

一度は聞いたことあるであろう「超低金利」や
「ゼロ金利」などはこの利下げを極限まで
行った状態を指します。

中央銀行が政策金利を超低金利やゼロ%にする
ことによって景気や物価を押し上げる(インフレ)
のが狙いです。


よって、この中央銀行(日銀)が行う「利上げ」
と「利下げ」は「景気」「物価」などを安定
させるために行われる施策ということが分かって
いただけだと思います。


では、今回のアメリカで何が起きたかもう一度
文章にしますね。

FRBがFOMCにてゼロ金利を解除し、政策金利を0.25%引き上げた。

ここまで読んでいただいた方は、

デフレが進んでいた中で、インフレを目指すため
ゼロ金利と「利下げ」をしてきた。
しかし、利下げによりインフレが過熱してきた
ため、少し落ち着かせようと「利上げ」をする。

と解釈いただけるのではないでしょうか?
ここまで分かればあとは英単語が何を表すか
知るだけですね。


では、ここからは米国金融経済でよく出てくる
今回の2つのワードを説明します。

■FRB

FRBとは米連邦準備制度理事会(Federal
 Reserve Board)の略です。

これは、先ほどまでご説明してきた日本だと
日本銀行にあたる中央銀行のことです。

このFRBという組織は議長1人、副議長1人を
含む理事7人で構成されています。

よく聞く「パウエル議長」はこのFRBのトップ
である議長をしている人ですね。

しかし、FRBはあくまで理事会なので、日本銀行
のように銀行としての役割は別途各地区の連邦
準備銀行と言われる各地の大きな銀行が中央銀行
業務を担っています。

よって、FRBは日本でいう日本銀行のような
中央銀行的位置付けで、同じように物価の安定
などを図るためアメリカ経済および世界経済を
大きく左右する組織ということです。

■FOMC

FOMCとは米連邦公開市場委員会(Federal 
Open Market Committee)の略です。

上記のFRBが行う会議のことです。

このFOMCはアメリカ経済情勢を判断して
金融施策を決定するための場で、年8回行われ
るのが一般的です。

FRBから理事7人と12地区の連邦準備銀行総裁
が集まり議論をします。

この「FOMC」では「タカ派」「ハト派」
という呼ばれ方があります。

「タカ派」が意味するのは利上げに「積極的」な
人のことを指します。

「ハト派」はその逆で、利上げに「消極的」な
人のことを指します。

この派閥でいつも大論争となります。笑

ちなみに、このFRBが行うFOMCでは
政策金利などを検討しますが、アメリカでは
この政策金利を「FF(Federal Funds)金利」
と呼びます。


では、もう一度文章を記載しますね。

FRBがFOMCにてゼロ金利を解除し、政策金利を0.25%引き上げた。


ここまで読んでいただくと全文が理解できた
のではないでしょうか。

要するに、アメリカの中央銀行における会合で
0.25%利上げを決定し、物価上昇(インフレ)
を抑え込もうとしているということですね。


金融経済もこのように分解して読み解いていくと
わかりやすくないですか?


では、今回のこのニュースがどのように日本に
影響を与えるのかが問題です。

ご存じの通り、米国の通貨であるドルは世界で
1番流通している通貨です。
また、日本は島国ですので、アメリカなどの
諸外国から資源を輸入しています。

そのため、アメリカの政策金利はアメリカ経済
だけでなく、これらは日本企業にも大きく影響
を与え、結果的に日本の消費活動にも影響が
及ぶこととなります。

また、お金の性質として金利の低いところから
高いところへ流れる傾向があります。

金利が低いところにお金を預けるより、
金利が高いところでお金を預けるのは
至極当然なことですよね。
その分お金が増えるんですから。

よって、利上げはドルというお金の人気を高め、
日本では「円安ドル高」という現象に陥ります。


簡単にですが、アメリカ経済の金融施策が
日本経済にも影響を与えるということです。

そのため、しっかり海外の金融経済情勢にも
意識を持っていきましょう。

それでは。

この記事が参加している募集

お金について考える

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?