夏樹

京都在住。1989年生まれ。 趣味は読書と喫茶店めぐり。 コーヒーとパンと甘いものが好…

夏樹

京都在住。1989年生まれ。 趣味は読書と喫茶店めぐり。 コーヒーとパンと甘いものが好き。 日々考えたことや、読んだ本の感想などを綴っています。

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記事一覧

誰もが、違国に住まうひと

ひといきに読んでしまうのがもったいなくて、数ヶ月をかけてゆっくりと読み進める。 物語の結末を見届けたあとも、おりにふれて何度も読み返す。 ヤマシタトモコさんの漫…

夏樹
1日前
62

静けさと炎と。その先にある気持ち

まわりの人から、 「おとなしいね」 「冷静だね」 「落ち着いているね」 というふうに評されることが多いです。 先日も、職場の方から、 「夏樹さんて、いつも冷静ですよ…

夏樹
7日前
102

ことばでえがかれた世界への旅

読んでいるあいだ、その文章の中に深く沈み込んでしまい、読み終わったあとも、現実の世界になかなか戻ってこれないような物語。 そんな小説に出会えると、嬉しくなるのと…

夏樹
12日前
108

真っ白なキャンバスに描きたいもの

noteという街で、さまざまなクリエイターさんの文章を読むことが大好きです。 わたしが特に好きなのは、日常生活の中で感じたことや考えたことが綴られているもの。 そのひ…

夏樹
2週間前
114

"ふつう"から遠く離れても

先日、35回目の誕生日を迎えることができました。 子どものころは、35歳って、"立派な大人"なのだと思っていましたが、実際にその年齢に達してみると全然そんなことはなく…

夏樹
3週間前
109

だから、今日も書いて生きていく

「細部に宿る」 新刊が読める、というだけでもうれしいのに、題名を見て、さらにうれしくなる。 そんな喜びを感じながら手に取ったのが、京都在住の文筆家、梶谷いこさんの…

夏樹
3週間前
108

和歌の世界に、涼をもとめて。

連日、気がつけば、「暑いなぁ…」ということばがこぼれ落ちてばかりいます。 なにか、涼を感じるものにふれたい。 ただ冷たいだけではなくて、気持ちが凪ぐようなもの、…

夏樹
1か月前
72

上手く話すことはできない、けれど。

仕事がお休みの日に、noteで記事を書くことが習慣になってから、数ヶ月がたちました。 "書かなきゃ"という義務感をもつと、書くことが楽しくなくなるから、投稿する頻度は…

夏樹
1か月前
136

ざらざら、すべすべ、さらさら。今日はどの本の気分?

"今月買おう"と決めていた、江國香織さんの「読んでばっか」を無事に手にして、読み進めている今日この頃。 巻頭に、雑誌「すばる」に掲載されたアンケート"どうやって本を…

夏樹
1か月前
127

眠りにつくまえに、食卓の香りに満ちた詩集を。

梅雨もまだ明けていないというのに、真夏のような暑さになる日もある今日この頃、仕事から帰宅するとふだんよりも疲れているような気がします。 とにかく、無理をしないこ…

夏樹
1か月前
104

今、ここに在ることの幸福

先月のある休日のこと。 朝、目覚めたときには雨が強く降っていて、"お休みの日なのになぁ…"と思ったのですが、天気予報を確認すると、どうやら午後からは晴れるみたい。…

夏樹
1か月前
124

おあげさんが無くて、味付け迷子になる夏

「最近、スーパーのお惣菜コーナーで、切干し大根とかひじきの炊いたのをみると、夏樹さんの顔が思い浮かぶんですよね」 以前、職場の同僚の方にそう言われたことがありま…

夏樹
1か月前
92

"本が読みたい"と思えるのは、あたりまえのことではないから。

先日、本屋さんに行ったときのこと。 新刊コーナーで、江國香織さんの「読んでばっか」が目に入りました。 大好きな作家さんの、読書や本にまつわるエッセイ集ということ…

夏樹
1か月前
149

遠くまで行くために、辞書をふたたび手に取る日

雨の季節が始まりを迎え、「もう今年も半分が終わるなんて、はやいなぁ」と思いながら来月のスケジュールを確認すると、自分の誕生日が目に入りました。 ここ数年は自分自…

夏樹
2か月前
104

お父さんがいない父の日に思うこと

きのうは"父の日"でしたが、『お父さん、ありがとう』ということばを目にするたびに、心の表面にさざ波がたつような感じをおぼえました。 わたしが11歳のとき、両親が離婚…

夏樹
2か月前
145

書くとき、話すとき。ことばと思考のリズム

先日、職場で商材の納品にこられた業者さんに対して、 "ありがとうございます。おおきに"とあいさつをしました。 その場にいた上司の方から、「夏樹さんは、もう立派な関西…

夏樹
2か月前
336
誰もが、違国に住まうひと

誰もが、違国に住まうひと

ひといきに読んでしまうのがもったいなくて、数ヶ月をかけてゆっくりと読み進める。
物語の結末を見届けたあとも、おりにふれて何度も読み返す。

ヤマシタトモコさんの漫画「違国日記」を、わたしは、そんなふうにして読んできました。
出会ってから約一年になるのですが、今でも、読む度につよく心を動かされる作品です。

主人公の田汲朝は、中学三年生の冬、交通事故で両親を失います。
朝を引き取り、ともに暮らすよう

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静けさと炎と。その先にある気持ち

静けさと炎と。その先にある気持ち

まわりの人から、
「おとなしいね」
「冷静だね」
「落ち着いているね」
というふうに評されることが多いです。

先日も、職場の方から、
「夏樹さんて、いつも冷静ですよね。その落ち着きがどこから来るのか知りたいです!何かテンションが上がるときってないんですか?」
と、聞かれました。

"テンションが上がるとき…。"思わず、数秒間考えこんでしまいました。こういうときにさらりと気の利いた受け答えができれ

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ことばでえがかれた世界への旅

ことばでえがかれた世界への旅

読んでいるあいだ、その文章の中に深く沈み込んでしまい、読み終わったあとも、現実の世界になかなか戻ってこれないような物語。

そんな小説に出会えると、嬉しくなるのと同時に、少し寂しくもなります。
なぜなら、読み終えたくない、この物語の世界の中に長く居続けたいと思うのに、どうしたって本というものは読み終わってしまうものだから。

川上未映子さんの「愛の夢とか」を読みながら、そんなことを感じていました。

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真っ白なキャンバスに描きたいもの

真っ白なキャンバスに描きたいもの

noteという街で、さまざまなクリエイターさんの文章を読むことが大好きです。
わたしが特に好きなのは、日常生活の中で感じたことや考えたことが綴られているもの。
そのひとにしか書きえない文章にふれて、共感したり、そんな考えもあるのだなぁ、と新たな気づきを得たり。読んでいると時間が経つのをつい忘れてしまいます。

実は、文章と同じくらい、心を惹かれるものがあって。
それは、イラストです。

光が弾ける

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"ふつう"から遠く離れても

"ふつう"から遠く離れても

先日、35回目の誕生日を迎えることができました。

子どものころは、35歳って、"立派な大人"なのだと思っていましたが、実際にその年齢に達してみると全然そんなことはなくて、まだまだ右往左往することの多い日々です。

というよりも、この年齢になるまで自分が生きていることに対して、びっくりしています。

子どもの頃は、生きるのって苦しいことが多いから、そんなに長生きしたくないなぁ、なんて思っていました

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だから、今日も書いて生きていく

だから、今日も書いて生きていく

「細部に宿る」
新刊が読める、というだけでもうれしいのに、題名を見て、さらにうれしくなる。
そんな喜びを感じながら手に取ったのが、京都在住の文筆家、梶谷いこさんの本です。

梶谷いこさんの著作の中で、わたしがはじめて読んだのは、「『恥ずかしい料理』制作日記」です。
誠光社(京都市内にある独立系書店)で平台に並べられているのが目に留まり、全く未知の書き手であるにも関わらず、冒頭の数行を読んで"これは

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和歌の世界に、涼をもとめて。

和歌の世界に、涼をもとめて。

連日、気がつけば、「暑いなぁ…」ということばがこぼれ落ちてばかりいます。

なにか、涼を感じるものにふれたい。
ただ冷たいだけではなくて、気持ちが凪ぐようなもの、森閑とした空気をまとったものが良いな。

本棚から「新古今和歌集」を取り出して、冬歌を眺めわたします。

上の一首は、高校生のときに古典の教科書のなかで出会って以来、ずっと好きなうた。
凍てついた月の冷たさ、美しさに指先がしびれるような感

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上手く話すことはできない、けれど。

上手く話すことはできない、けれど。

仕事がお休みの日に、noteで記事を書くことが習慣になってから、数ヶ月がたちました。

"書かなきゃ"という義務感をもつと、書くことが楽しくなくなるから、投稿する頻度は決めないでいようと思っていたのですが、お休みの日が近づくと"今度は何について書こうかな?"と、わくわくしながら考えている自分がいます。

自分が考えていることや好きなことについて語る文章を書きながら、いつも不思議な気持ちでいました。

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ざらざら、すべすべ、さらさら。今日はどの本の気分?

ざらざら、すべすべ、さらさら。今日はどの本の気分?

"今月買おう"と決めていた、江國香織さんの「読んでばっか」を無事に手にして、読み進めている今日この頃。
巻頭に、雑誌「すばる」に掲載されたアンケート"どうやって本を読んでいますか"に対する江國さんの回答が記されているのですが、一問目から、"良いなぁ"と思ってしまいました。

読んでいて、深くうなずける文章。"わたしも、同じだなぁ"と思い、うれしくなります。
この文章を読んでいて、本を選ぶとき、"紙

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眠りにつくまえに、食卓の香りに満ちた詩集を。

眠りにつくまえに、食卓の香りに満ちた詩集を。

梅雨もまだ明けていないというのに、真夏のような暑さになる日もある今日この頃、仕事から帰宅するとふだんよりも疲れているような気がします。

とにかく、無理をしないこと、体を冷やしすぎないようにすることを意識して、食事もいつも以上にゆっくりと味わうようにする。
そんな小さなことの積み重ねで、夏をすこやかに乗りこえられるようにしていきたいと考えているのです。

夜、眠るまえに本を読む時間が好きなのですが

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今、ここに在ることの幸福

今、ここに在ることの幸福

先月のある休日のこと。

朝、目覚めたときには雨が強く降っていて、"お休みの日なのになぁ…"と思ったのですが、天気予報を確認すると、どうやら午後からは晴れるみたい。
本屋さんに行きたかったので、雨が止むのを待ってから出かけることにしました。

おなかが空いていると集中して本が選べないので、本屋さんの前に、カフェに立ち寄ることに。

ビルの2階まで階段を上がり、扉をあけた瞬間、"やっぱり、この空間が

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おあげさんが無くて、味付け迷子になる夏

おあげさんが無くて、味付け迷子になる夏

「最近、スーパーのお惣菜コーナーで、切干し大根とかひじきの炊いたのをみると、夏樹さんの顔が思い浮かぶんですよね」

以前、職場の同僚の方にそう言われたことがあります。
わたしがつくるお弁当のおかずには、決まって煮物が入っていたから。
切干し大根やひじき、あらめや菜っぱとお野菜を炊き合わせたものが好きで、お休みの日に多めにつくって、お弁当用に小分けして冷凍保存しておきます。(余った分は夜ごはんのおか

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"本が読みたい"と思えるのは、あたりまえのことではないから。

"本が読みたい"と思えるのは、あたりまえのことではないから。

先日、本屋さんに行ったときのこと。

新刊コーナーで、江國香織さんの「読んでばっか」が目に入りました。
大好きな作家さんの、読書や本にまつわるエッセイ集ということもあり、いったん手に取りかけたのですが、すでに2冊の本を手にしていることにはたと気づき、"今日はやめておいて、来月買おう"と考えたのです。

レジ前の列にならんでいるときに、noterのいろさんの記事を思い出しました。

以前より文庫本が

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遠くまで行くために、辞書をふたたび手に取る日

遠くまで行くために、辞書をふたたび手に取る日

雨の季節が始まりを迎え、「もう今年も半分が終わるなんて、はやいなぁ」と思いながら来月のスケジュールを確認すると、自分の誕生日が目に入りました。

ここ数年は自分自身へ誕生日プレゼントを贈るのが習慣になっていて(といっても、ほぼ毎年"本"だったりします)、今年は何にしようかと考えていると、"国語辞書"という案がうかびました。

学生の頃は、授業中に使うのはもちろんのこと、読書が趣味だったこともあり、

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お父さんがいない父の日に思うこと

お父さんがいない父の日に思うこと

きのうは"父の日"でしたが、『お父さん、ありがとう』ということばを目にするたびに、心の表面にさざ波がたつような感じをおぼえました。

わたしが11歳のとき、両親が離婚しました。
まえぶれのようなものはなにも無く、ある日から父親が家に帰ってこなくなりました。
仕事からの帰宅時間がいつもおそくて、忙しいときには職場に泊まりこむこともあったので、最初の数日間はあまり気にかけていなかったのです。
"お父さ

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書くとき、話すとき。ことばと思考のリズム

書くとき、話すとき。ことばと思考のリズム

先日、職場で商材の納品にこられた業者さんに対して、
"ありがとうございます。おおきに"とあいさつをしました。
その場にいた上司の方から、「夏樹さんは、もう立派な関西人やな」と声をかけられて、京都暮らしも7年目に入り、すっかり京都弁にも馴染んできたなぁ、と思ったのです。

大分県で生まれ育ち、子どものころは学校でも自宅でも大分弁で話していました。
ですが、母親は大阪出身で、暮らす場所が変わっても大阪

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