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真っ白なキャンバスに描きたいもの

noteという街で、さまざまなクリエイターさんの文章を読むことが大好きです。
わたしが特に好きなのは、日常生活の中で感じたことや考えたことが綴られているもの。
そのひとにしか書きえない文章にふれて、共感したり、そんな考えもあるのだなぁ、と新たな気づきを得たり。読んでいると時間が経つのをつい忘れてしまいます。


実は、文章と同じくらい、心を惹かれるものがあって。
それは、イラストです。

光が弾けるような瑞々しい色の煌めきや、心が和むようなやさしい風景、おいしそうな香りまで漂ってくるような食べもの、などを見ていると、楽しい気持ちになります。
居心地の良いギャラリーで、心ゆくまで作品を鑑賞しているときのような、心の温もりを感じるのです。

                         

子どもの頃、絵を描くことが好きで、イラストレーターになりたい、と思っていた時期がありました。
本を読むことが大好きでしたが、絵を描くのもそれと同じくらいに好きなことで、毎日何かしら描いていたものです。
そういえば、自由帳だけでは足りなくて、裏が白い広告の紙や、使い終わったカレンダーも取っておいていたなぁ、なんてことも思い出しました。

中学校では、美術部に入って、油絵や切り絵など、たくさんの表現方法に接しました。
学校自体はあまり好きではなかったのですが、放課後の美術室で作品を仕上げることに心を注ぐ時間は、楽しいと感じていたのです。
中学校の部活動に限らず、小学校の授業中につくった作品のなかでも、当時気に入っていたものは、今でも細部を覚えているくらい。

手を動かして、ひとつの作品をつくりあげていくのは、自分の心の底に深く沈み込み、目を凝らし、耳を澄まして、想いのかけらをすくいあげるような特別な時間だと思っていました。


それほど好きなことだったのに、いつのまにか、ぱったりと絵を描くことをやめてしまいました。
好きなことを楽しむ心の余裕がなくなった、というのも原因のひとつではあったのですが、それ以上に大きかったのは、"自分は絵を描くのが上手ではないなぁ"という思いがだんだん強くなってしまったこと。

どうしても、同じ部活に入っている同級生と自分の絵を、比べてしまうのですよね。
技術力やセンスの差というのが、はっきりと目に見えてしまう。
絵を描くことを職業にすることが、並大抵のことではないということも長じるにつれてわかってきますし、自分にはそれだけの才能がないと、悟ってしまったのです。


でも、noteで多彩なイラスト作品の数々を見ていると、わたしももう一度描いてみようかな?という気持ちが、ふいに芽生えてきました。
長いあいだ離れていたことに対して、そんな気持ちが出てきたので、驚いてもいます。

たぶん、好きなことをするときに、"上手かどうか"に、とらわれすぎないほうが良いと気がつけたから、そんな気持ちになれたのかな。

もともと、文章を書くことだって、得意だとは思っていませんでした。
話すことにくらべればスムーズにはできるけれど、はじめのうちは思うように書けないことも多くて、肩を落とすこともしばしば。
それでもあきらめることなく書き続けて、最近ようやく表現すること自体を楽しめるようになりました。

それに、誰かと自分をくらべる必要もないのですよね。
ひとそれぞれ想いのかたちは違うから、表現だって違うのがあたりまえ。
違うからこそ、この世界は豊かな彩りに満ちているのだと、noteを通して気がつくことができました。

"上手になりたい"という思いも、もちろん大切です。
けれど、それだけにとらわれて、"楽しい"という気持ちが押しつぶされてしまうのは、もったいないこと。

今ならきっと、肩の力を抜いて、のびやかな気持ちで絵を描けそう。
そんなふうに思っては、心が踊る今日この頃です。



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