記事一覧
近代的原理を否定する陰謀論 :陰謀論者たちの反近代的エートスについて(清水利尚)
はじめに
昨今、陰謀論がなにかと話題に登ることが多い。
2020年のアメリカ大統領選挙では、Qアノンと呼ばれる陰謀論に影響をうけた人びとが「不正選挙」を主張し、挙げ句の果てには2021年1月6日にアメリカ連邦議会襲撃事件を引き起こした。
Qアノンの主張は以下のとおりである。「アメリカの政府の奥には一部のエリートから構成されている真の権力ネットワークである「ディープ・ステート」が存在する。そし
コンピュータにできないこと ITの限界?(3) :桐一葉墜ちて天下の秋を知る (熨斗隆幸)
前回までコンピュータにできないことについて触れました。しかし、計算時間とか論理学とか言う前に、そもそも機械には感情がない、感情がないモノと人間を比較してはならない、コンピュータには感情が扱えないでしょうという声を聞きます。 実際コンピュータは恋愛しないでしょ?
もっとみる「ブルシット・ジョブ」と日本社会(その1)
清水利尚
(博士(学術)、独立研究者、一般社団法人 社会科学総合研究機構 理事)
はじめに
『負債論』や『官僚制のユートピア』などの著書で知られるアナーキスト人類学者のデイビッド・グレーバーの『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の社会理論』が話題を集めている。グレーバーは” We are the 99%(われわれは99パーセントだ)”というスローガンで行なわれた2011年のニューヨークでの
コンピュータにできないこと :ITの限界?(2) Ignoramus et ignorabimus ――われわれは知らないし、 知らないであろう
熨斗隆幸
(一般社団法人 社会科学総合研究機構 研究員)
コンピュータにできないこと ITの限界?(2)
Ignoramus et ignorabimus ――われわれは知らないし、知らないであろう
前回計算の限界についてお話ししました。しかし計算機の限界を認めるとしても、そもそもいまのデジタル社会は計算機でできているの?という疑問があるかもしれません。社会のIT化を見ていると何だってできそう
人間を選別する思想について :普遍的人権概念のダークサイド(清水利尚)
清水利尚
(博士(学術)、独立研究者、一般社団法人 社会科学総合研究機構 理事)
はじめに
現下のコロナ禍において、「人間を選別する」ということについて考えさせられる出来事があった。京都市のALS患者の女性からSNSで依頼を受けた2人の医師が薬物を投与して殺害した事件である。
容疑者のうちの1人の医師はSNSの匿名アカウントで「高齢者はみるからにゾンビ」「ドクターキリコになりたい」などと高齢者の
コンピュータにできないこと : ITの限界? (熨斗隆幸)
熨斗隆幸
(一般社団法人 社会科学総合研究機構 研究員)
コンピュータにできないこと ーーITの限界?
熨斗隆幸
スーパーコンピュータ「富岳」TOP500、HPCG、HPL-AI、Graph500において世界第1位を獲得
(理化学研究所HPより)
理化学研究所(理研)が開発主体として開発・整備を進めているスーパーコンピュータ「富岳」は、世界のスーパーコンピュータに関するランキングの、①「T
SDGsは未来の社会への 道標となりうるか? (清水利尚)
清水利尚
(一般社団法人社会科学総合研究機構 理事)
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はじめに
2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs: Millennium Development Goals)の後継として、2015年9月に国連で開かれたサミットのなかで世界のリーダーによって採択された国際社会共通の目標、すなわち「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: 以下