情報社会におけるシステムと共同体(生活世界) (情報環境[アーキテクチャ]の思想シリーズ②) (稲葉年計)
■情報社会における公私と中間的ネットワーク
前回のWeb Compassでは,物理的世界とのコミュニケーションを促す情報環境を主張した.また一方で,福嶋亮大が展開する公的領域と私的領域の4象限は示唆深い(福嶋 2010: 279-87).公的領域あるいは世界全体,あらゆる存在あらゆる事物を「情報」という一点で取り扱う,いわばGoogle的な視座がまずある.それは「宇宙を物理法則を言語とし,局所的な相互作用を積み重ねながら,膨大な論理演算を実行してきたメカニズムとして捉えられる」ものである.すなわち,古典的コンピューターとは質的に異なる量子コンピューターという「宇宙的(ユニ)=(ヴァー)汎用的(サル)」コンピューターとして宇宙を見立てるものである.このようにして情報のモデルが原理的に宇宙規模に拡大していく.そしてこれが無限の場である情報世界として私人の恣意を除外する,ある完全な「法」の樹立可能性を示すものとされている.
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