社会哲学

【今日の「1日1文」】

自然は完全なものだが、人間は決して完全ではない。完全なアリ、完全なハチは存在するが、人間は永遠に未完のままである。人間は未完の動物であるのみならず、未完の人間でもある。他の生き物と人間を分かつもの、それはこの救いがたい不完全さにほかならない。人間は自らを完全さへと高めようとして、創造者となる。そして、この救いがたい不完全さゆえに、永遠に未完の存在として、学びつづけ成長していくことができる。

エリ

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客観性の隘路

やったら「客観的に」とか言う奴らへ

0. 客観性の隘路
果たして我々は「客観性」が何か明晰な形で知っているのか?なんとなく、いろんな場面で使ってしまったりするが、実に多様な意味を含んでおり曖昧なままで、なんとなくまるでインテリジェンスで明晰明瞭な立場に立っているかのように使ってしまう。「客観性がない」とか、「客観的にいうと」とか…等々。例えば『広辞苑』にはこうある。【客観】(1)主観の認識および

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否定弁証法

0.啓蒙弁証法から否定弁証法へ

テオドール・アドルノ の著作は途轍もなく難解である。彼の古典への知識は半端なく、誤解を恐れず言えば、今世紀最高の知性 だと言っても過言ではない。しかも随所に縦横無尽に古典が散ばり、メタ理論を駆使しつつ抽象度の高い文章は一流の研究者であっても簡単には読めないほど、いや、理解するには骨の折れる作業になる。彼の本題に入る前に、ネット上で本当にわかりやすい解説があったので

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人を“愛する”とは?

新約聖書の1節に、次のような文章がある。

イエスは言われた。「『心を尽くし、精神を尽くし、思いを尽くして、あなたの神である主を愛しなさい。』これが最も重要な第一の掟である。第二も、これと同じように重要である。『隣人を自分のように愛しなさい。』 -マタイ福音書22:37-39 (新共同訳)

「隣人を自分のように愛しなさい」恐らくは有名な文章だろう。

そして都内のあるキリスト教系大学は、”Do

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原父殺し!

「原父」殺し
ーアナンケの彷徨から蒙(くら)きを啓(あき)らむー

0.プロローグ   

父殺しというある意味衝撃的なテーマが、哲学や心理学、社会学などで、様々な場面や局面でしばしば引用される。まずは、神話の中でオイディプスは父殺しの予見を受け、避けようとしたが、結局は実父を殺してしまい、定められた運命から逃れることはできなかった。次に、人間はルサンチマンによる苦悩によって突き動かされ、それを超

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主人と奴隷の弁証法

0.推論としての弁証法とその背景について

何かを考えるとき、または因果関係などを推論するときに、様々な推論形式がある。一般的にはロジックや形式論理などでいうと、演繹法や帰納法などが真っ先に思い浮かぶ。弁証法もそれらの推論方法ではある。しかしそれらとは趣の異なってはいるものの、大切な推論方法であるといえよう。簡単に言ってしまえば、対立・矛盾する2つの概念から、それを解消してより高次の概念に発展させ

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諦めないトランプ大統領が正しい:その法的根拠と、法的根拠から導かれるトランプ大統領の今後の戦術

「原告適格なし」という異常事態

アメリカで異常事態が起きている。テキサス州司法長官が提訴した、今回のアメリカ大統領選挙の無効を訴える裁判が、なんと、「原告適格なし」として、棄却(却下?)された。これは、異常事態だ。

岩波文庫版『世界憲法集』にて、アメリカの裁判制度を調べてみたけれども、これといった条文が無い。ということはつまり、慣習法によって、裁判制度が運用されているとみてよい。

なぜ、「原

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文明の危機と再生  ~西欧文明の推移からコロナ後の世界を考える(根本正一)

要約:
2020年に世界を席巻した新型コロナウイルスは現代文明そのものの危機となる――そんな論調が増えています。災害は文明崩壊の引き金になるものの、実は文明そのものの奥深くに崩壊の構造的要因が潜んでいるものです。人類の歴史は様々な自然・人為的災害に彩られ、しかしそれをくぐり抜けてもきました。当コラムでは、現代世界を規定している西欧文明が有史以来どのような危機に陥り、その本質がどこにあったのか、そし

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コンピュータにできないこと  :ITの限界?(2) Ignoramus et ignorabimus ――われわれは知らないし、 知らないであろう

熨斗隆幸
(一般社団法人 社会科学総合研究機構 研究員)

コンピュータにできないこと ITの限界?(2)
Ignoramus et ignorabimus ――われわれは知らないし、知らないであろう

前回計算の限界についてお話ししました。しかし計算機の限界を認めるとしても、そもそもいまのデジタル社会は計算機でできているの?という疑問があるかもしれません。社会のIT化を見ていると何だってできそう

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戦後補償にみる国民国家の呪縛  民間犠牲者の補償要求からその重みを考える

根本正一
(ジャーナリスト、一般社団法人社会科学総合研究機構 理事)

バックナンバー
なぜ人間は社会を騙し、 社会に騙されるのか :政治家の言い逃れ答弁から 見えてくるもの
国家に正義はあるのか? :日韓関係にみる個人と国家の意識のズレ

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戦後75年、NHKスペシャルの「忘れられた戦後補償」(8月15日放送)という番組を見た。戦後補償と言うとすぐに植民地支配した韓国の従軍慰安婦問題や徴用

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