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【研究】「エコ」なき時代の環境思想とその行方――エコロジー、人新世、ポストヒューマンが映し出す「地球1個分」問題と「脱生体化」問題について――(抄・解説)
以前、ある一般紙に依頼されて久々に環境関連の原稿を書きましたが、今回はそれを発展させて、本格的な学術論文を『環境思想・教育研究』の第16号(2023、pp.81-91)に執筆しました。 (※現在は、本文の末に注を除く本文と参考文献のみ転載し、正式な転載許可が出た時点で全文公開とします) まずこの論文で筆者が言語化したかったのは、気候変動をはじめとした現実的な問題は歴然として存在するにもかかわらず、それを語るための思想が欠落しているように見えること、あるいは環境問題を思
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【書評】亀山純生「現代日本の〈閉塞社会〉転換への斬新な問題提起――上柿崇英著『〈自己完結社会〉の成立』(農林統計出版、2021)を読む」
ここでは、筆者が学生時代から大変お世話になった倫理学者の亀山純生先生(東京農工大学名誉教授)が、唯物論究協会の電子ジャーナル「唯物論研究ジャーナル」に投稿してくださった、拙著『〈自己完結社会〉の成立』についての書評を、ご本人の許可を得て再掲しています。 現代日本の〈閉塞社会〉転換への斬新な問題提起――上柿崇英著『〈自己完結社会〉の成立』を読むはじめに 著者は全国唯研所属の新進気鋭の哲学研究者である。その著者は、同世代の哲学・思想研究者と共に独自の討論誌『現代人間学・人間存
「ポストヒューマン時代」と「ヒューマニズム」の亡霊――「ポストモダン」/「反ヒューマニズム」状況下における「自己決定する主体」の物語について
ここでは、総合人間学会の研究会誌『総合人間学』(書籍版17号、本の泉)に掲載された記事について再掲しています。 内容は、「「ポストヒューマン時代」における人間存在の諸問題――〈自己完結社会〉と「世界観=人間観」への問い」の続編で、情報技術、ロボット/人工知能技術、生命操作技術がもたらすポストヒューマン時代について、ヒューマニズム、自己決定の理念、ミクロな権力との関連について取りあげたものです(以下の表紙やリンク先から全文をご覧いただけます)。 本論で言う「ヒューマニズ
「絶対的普遍主義」(「普遍的な真理」)、「絶対的普遍主義の否定」(「現代人間学」の第二原則)とはなにか――【用語集】『〈自己完結社会〉の成立』
「絶対的普遍主義」(「普遍的な真理」)、「絶対的普遍主義の否定」(「現代人間学」の第二原則) 【ぜったいてきふへんしゅぎ】 この世界には「普遍的な真理」なるものが内在しており、またわれわれ人間は理性の力によってそれを明らかにすることができるとの前提に立ち、実際にそれを希求する立場のこと。 「絶対的普遍主義」は、西洋近代哲学が目指した理想的な知のあり方であったが(こうした傾向は、ギリシャ哲学に始まり、I・カント(I. Kant)を中心とした近代哲学において頂点に達し、「ポス