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お金の正体を知りたいあなたへ『21世紀の貨幣論』/フェリックス・マーティン

 こんにちは!
「noteの本屋さん」を目指している、おすすめの本を紹介しまくる人です!

 あなたにとって「お金」って何ですか?
 財布の中の諭吉? いや……、栄一? それとも銀行の残高? はたまたビットコイン?

 私たちは毎日お金を使っていますが、その正体を知っている人は少ないはず。
 タテ76 mm、ヨコ160 mmの1万円券は1g。1円玉と同じ重さなんです。

 実は、私たちが当たり前だと思っているお金の常識、それって大間違いなのかもしれません!

 話題の書『21世紀の貨幣論』は、そんなお金の起源から未来までを解き明かす、まさに知的冒険の書

 古代の石貨から仮想通貨まで、お金の壮大な物語が書かれています。

 本書で明かされる驚きの事実

  • お金は物々交換のために生まれた? 実は違う!

  • 古代の石のお金、その意外な使われ方とは?

  • リーマンショックの裏側には、お金の恐るべき秘密が隠されていた!?

  • 私たちの生活を支えるお金、その未来はどうなる?

 今日は、そんな21世紀の貨幣論をご紹介します。


物々交換が貨幣の起源? 違うんです!

 従来の経済学では、貨幣は物々交換の不便さを解消するために生まれたと考えられてきました。
 しかし、著者のフェリックス・マーティン氏はこの説に異議を唱えます。

世界各地の考古学的証拠や人類学的な研究から、貨幣は贈与や負債の記録として誕生した可能性が高いと主張しています。
 例えば、南太平洋のヤップ島では、巨大な石貨が使用されていました。この石貨は、実際に交換されることはほとんどなく、所有権の移転を記録するためのものでした。

 また、古代メソポタミアでは、粘土板に刻まれた文字が負債の記録として機能していました。これらの事例は、貨幣が必ずしも物々交換の道具として生まれたわけではないことを示唆しています。

貨幣は国家の道具? その歴史を紐解く

 貨幣は、単なる交換の道具にとどまらず、国家の権力と深く結びついてきました。
 古代ローマ帝国では、皇帝の肖像が刻まれた硬貨が発行され、帝国の支配を象徴していました。
 そして、中世ヨーロッパでは、金貨や銀貨が国際貿易を促進し、各国の経済力を左右しました。
 現代においても、中央銀行が貨幣の発行量を調整することで、経済を安定させようとしています。
 しかし、リーマン・ショックのような金融危機は、貨幣システムの脆弱性を露呈させてしまうほどでした。

 仮想通貨の登場は、国家が独占してきた貨幣発行権に挑戦する動きとして注目されています。

経済成長の限界と貨幣の未来

 無限の経済成長を前提とする現代の資本主義は、地球環境や資源の有限性と矛盾しています。

 本書では、貨幣システムが経済成長とどのように結びついているのかを分析し、持続可能な社会を実現するための新たな貨幣のあり方を模索しています。
 例えば、地域通貨や時間銀行など、地域経済を活性化させるための代替貨幣の取り組みが紹介されています。
 また、デジタル技術を活用した貨幣システムの進化についても議論されています。

読めば、より本の内容を理解できるポイント

1. 貨幣の起源と進化

  • 物々交換は貨幣の起源ではない 従来の経済学では、物々交換の不便さを解消するために貨幣が生まれたとされてきたが、本書ではそれを否定。考古学的な証拠や人類学的な知見から、貨幣は贈与や負債の記録として誕生した可能性が高いと主張

  • 貨幣の多様な形態 世界各地で様々な形態の貨幣が使われてきたことを、豊富な事例を交えて解説。ヤップ島の石貨、古代ギリシャの銀貨、中世ヨーロッパの金貨など、それぞれの貨幣が持つ意味や機能を明らかする

  • 貨幣と国家の関係 貨幣の発行と流通を管理することで、国家が権力を強化してきた歴史を紐解く。古代ローマ帝国や中世ヨーロッパの君主制など、貨幣が国家の形成に果たした役割を明らかにする

2. 現代金融システムの問題点

  • 金融危機のメカニズム 2008年のリーマン・ショックをはじめとする金融危機の背景には、現代金融システムの構造的な問題があると指摘。信用創造やデリバティブ取引など、複雑な金融商品のリスクを分析し、金融危機のメカニズムを解く

  • 中央銀行の役割 金融システムの安定を維持するために、中央銀行が果たすべき役割について論ずる。金利政策や量的緩和政策などの金融政策の効果と限界を検証し、中央銀行のあり方について考察

  • 代替貨幣の可能性 ビットコインなどの仮想通貨が、既存の金融システムにどのような影響を与える可能性があるのか検討。仮想通貨のメリットとデメリットを比較し、今後の展望について述べる

3. 資本主義の未来

  • 貨幣と不平等の関係 現代社会における格差拡大の背景に、貨幣の偏在があると指摘。富裕層への富の集中がもたらす問題点を分析、より公平な社会を実現するための道筋を探る

  • 成長の限界 無限の経済成長を前提とする資本主義のモデルは、持続可能ではないと主張。環境問題や資源の枯渇などを考慮し、新たな経済システムの構築を提言

  • 貨幣の未来 技術革新や社会の変化によって、貨幣の形態や機能は今後どのように変化していくのか予測。デジタル通貨や地域通貨など、新しい貨幣の可能性についてさぐる

 本書は、貨幣や紙幣という一枚のレンズやフィルターを通して、経済の歴史と未来を深く洞察する刺激的な一冊になっていました。経済学の専門知識がなくても、わかりやすい言葉で書かれているため、気軽に読むことができます。

 ぜひ、本書を通して貨幣の奥深さを体験してみてください。

感想・まとめ

 貨幣に対する固定観念を覆されたような衝撃を受けました。
 特に、貨幣の起源が物々交換ではなく、贈与や負債の記録から始まったという説は、とても面白かったです。今まで当たり前のように考えていたことが、実は全く違う視点から解釈できるということに、めちゃくちゃ驚きます。

 また、現代の金融システムが抱える問題点や、資本主義の限界についても深く考えさせられました。リーマン・ショックのような金融危機は、決して他人事ではなく、私たち自身の生活にも大きな影響を与える可能性があることを改めて認識しました。

 そして、今月から日本では紙幣や500円玉が新しくなります。これは貨幣の進化と関連し、私たちの日常生活にどのような影響を与えるのかとても興味があります。新しいデザインや技術の導入は、貨幣の歴史と未来を考える上で非常にタイムリーなトピックです。

 果たして政府が謳うように1兆6,300億円程経済効果はあるのか? 
 券売機やベンダー、ATMやレジスターの製造会社は儲かるのでしょうが、一方で設置店舗にかかるコストや人員はどのように考えているのか?
 アクチュアルな視点からも非常に気になりますね!

 貨幣の歴史から現代の金融システム、そして未来の貨幣まで、幅広いテーマを扱っており、経済学の入門書としても最適だと思います。

 一方で、本書で提示される新しい貨幣観や経済システムの提案については、経済学的なエビデンスに基づくものではなく、仮設・演繹的に熟考されたものなので、賛否両論あります。しかし、そのような議論を巻き起こす力こそが、本書の価値の一つであると言えるでしょう。

 個人的には、本書を読んで貨幣に対する見方が大きく変わり、経済や社会の仕組みについてより深く考えるようになりました。

 私たちが普段何気なく使っている貨幣が、実は複雑な歴史や社会的な背景を持っていることを知り、その重要性を再認識しました。

 本書は、経済学に興味がある方はもちろん、貨幣やお金についてもっと知りたい方、社会の仕組みについて考えたい方など、幅広い層におすすめできる一冊です。

 これをを読めば、

  • お金の本当の姿を知り、経済の動きを理解できる!

  • ニュースで流れる経済用語が、すんなり頭に入る!

  • お金に振り回されない、賢い生き方ができる!

『21世紀の貨幣論』を手に取り、あなたの「お金」の概念をアップデートしましょう!

 あなたはまだ、教科書に載っている古いお金の常識を信じますか?
 この本でお金の正体を知りたいと思いませんか?

【編集後記】
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