pp丸

数式を極力避けた定性的な技術解説ブログです。 機械系院卒で守備範囲は力学系、信号処理系…

pp丸

数式を極力避けた定性的な技術解説ブログです。 機械系院卒で守備範囲は力学系、信号処理系、視覚情報系です。

マガジン

  • 社会人の教養

  • 機械分野の話

  • ものづくり/設計の話

  • 誤差の話

  • デザインの話

記事一覧

固定された記事

技術職・エンジニアに必要な能力

1人の人間がエンジニアとして経験できる範囲・深さには限度があります。今、エンジニアたちはどのような問題を抱え、どのような能力を求められているのでしょうか。 エン…

pp丸
11か月前
10

契約書の読み方「目的論的解釈と文理解釈」

契約書の読み方は一通りではありません。 例えばマンションの規約に、 「このマンションでは、犬猫を飼ってはならない」と書いてあった場合、どう解釈すれば良いのでしょう…

pp丸
5か月前
2

CAE

●CAEとは CAE(computer-aided engineering)とは、コンピュータによって支援された、製品の設計・製造や工程設計の事前検討などといったエンジニアリング作業のことです…

pp丸
8か月前

数値解析の話2

前回の続きです。数値解析は、対象とする数学的問題によって分類されます。 ・関数の計算 ・補間、補外、回帰 ・方程式の計算(線型、非線形方程式) ・行列計算(固有値と…

pp丸
9か月前
2

ストレスの話

ストレスについて「ストレス」という言葉は日常生活で頻繁に使われています。育児ストレス、看護・介護ストレス、テクノストレス、環境ストレス、酸化ストレス、たくさん…

pp丸
9か月前
5

プラズマの話

プラズマとはプラズマとは物質の第4の状態です。 物質には固体・液体・気体の三態があり、温度が上昇すると固体から液体、液体から気体に変化しま す。そこからさらに温度…

pp丸
9か月前

衝突判定のアルゴリズムの話2

前回の続きです。 アルゴリズム一般に多面体同士の衝突判定手法では、点と面の判定や線と線の判定といったように、衝突の種類により衝突判定のアルゴリズムが異なります。…

pp丸
10か月前
2

衝突判定アルゴリズムの話

衝突判定とは衝突判定とは「物体が別の物体に衝突したか」を判定するプログラム処理のことです。計算科学の問題に属します。ロボット工学、計算物理学、ゲーム、シミュレー…

pp丸
10か月前
11

数値解析の話

数値解析とは数値解析は、数値計算によって解析学の問題を近似的に解く数学の一分野です。自然科学、工学、あらゆる分野に応用されています。この技術が発達したことでコン…

pp丸
10か月前
5

企業の社会貢献の話

企業の社会貢献という発想は経営の目的に矛盾するように思われます。ビジネスによって獲得した利益を社会に再分配することは、企業本来の目的と齟齬をきたす感じがします。…

pp丸
10か月前

トラブルシューティング(故障修理)の概要

トラブルシューティング(故障修理)は日常生活のあらゆる場面で広く行われます。トラブルシューティングにはゴールとする状態が不明瞭、解決への手順が不明確などの難しさ…

pp丸
10か月前
1

ビジネス頻出の漢字集7

前回の続きです。 異存(いぞん)
他と異なった考え。反対意見や不服な気持ち。 ・誰も異存はない。 ・その処置に異存があります。 ・異存ありません(反対の意見、異議…

pp丸
11か月前

ビジネス頻出の漢字集6

前回の続きです。 凡百(ぼんぴゃく、ぼんびゃく)
色々なもの。数々。もろもろ。 ・凡百の人間 ・凡百の中の特別な存在 綿密(めんみつ)
詳しく細やかなこと。手抜か…

pp丸
11か月前

故障検出の話

本稿では概要について説明します。具体的な故障検出方法については、また別記事にて解説します。 故障検知とは故障または異常とは、運転中のシステムの特性が予期せざる理…

pp丸
11か月前
2

ビジネス頻出の漢字集5

前回の続きです 拝察(はいさつ) 推察することをくりくだっていう言葉。 ・皆様の胸中拝察申し上げます。 ・旦那様の悲しみはいかばかりかと拝察いたします。 寄稿(き…

pp丸
11か月前
4

研究開発における偶然(セレンディピティ)の話

セレンディピティとは研究者が成功を修めるには、論理的な積み重ねだけではなく、偶然からの発見があると言われています。この偶然からの成功をSerendipity(セレンディピ…

pp丸
11か月前
11

技術職・エンジニアに必要な能力

1人の人間がエンジニアとして経験できる範囲・深さには限度があります。今、エンジニアたちはどのような問題を抱え、どのような能力を求められているのでしょうか。

エンジニアとはエンジニアとは、技術者(engineer)のことです。国語辞典では「科学上の専門的な技術をもち、それを役立たせることを職業とする人」とあります。

似た言葉として「技能者」もありますが、技能者とは、機械の組立や加工など、ものづく

もっとみる

契約書の読み方「目的論的解釈と文理解釈」

契約書の読み方は一通りではありません。 例えばマンションの規約に、 「このマンションでは、犬猫を飼ってはならない」と書いてあった場合、どう解釈すれば良いのでしょうか。鳥は飼って良いのでしょうか。

まず、契約書の文言をそのまま文字通りに読むことを「文理解釈」と言います。あくまでも「犬猫」は飼ってはならない、と示しているため鳥を飼ってはならないことにはなりません。

次に「目的論的解釈」です。 こち

もっとみる

CAE

●CAEとは
CAE(computer-aided engineering)とは、コンピュータによって支援された、製品の設計・製造や工程設計の事前検討などといったエンジニアリング作業のことです。計算機援用工学とも呼ばれ、適用分野は機械工学、電気工学、電子工学、建築工学、土木工学、化学工学など多岐に渡ります。

●CAEの流れ
CAEの作業は、以下の順番で行います。
1.解析する現象を予測し、解析内

もっとみる

数値解析の話2

前回の続きです。数値解析は、対象とする数学的問題によって分類されます。
・関数の計算
・補間、補外、回帰
・方程式の計算(線型、非線形方程式)
・行列計算(固有値と特異値)
・微分方程式(常微分、偏微分方程式)

関数の計算関数の解を求めることです。最も単純な方法は数式に繰り返し値を代入していくことですが非効率的です。多項式の場合は、ホーナー法を使うことで乗算と加算の回数を減らすことができます。通

もっとみる

ストレスの話


ストレスについて「ストレス」という言葉は日常生活で頻繁に使われています。育児ストレス、看護・介護ストレス、テクノストレス、環境ストレス、酸化ストレス、たくさんあります。しかし「ストレス」という言葉は曖昧で明確な定義はありません。

ストレスの良悪ストレスは多くの疾患に結びつき一般的に悪いものと捉えられています。しかし実際のストレスの影響は人それぞれです。人はストレスを受けると、まず初めに機能低下

もっとみる

プラズマの話


プラズマとはプラズマとは物質の第4の状態です。 物質には固体・液体・気体の三態があり、温度が上昇すると固体から液体、液体から気体に変化しま す。そこからさらに温度が上昇すると気体の分子は解離して原子となり、さらに原子核のまわりを回っていた電子が原子から離れ、正イオンと電子に分かれます。この現象を電離と呼びます。そして電離によって生じた荷電粒子を含む気体をプラズマと呼びます。

自然界のプラズマ自

もっとみる
衝突判定のアルゴリズムの話2

衝突判定のアルゴリズムの話2

前回の続きです。

アルゴリズム一般に多面体同士の衝突判定手法では、点と面の判定や線と線の判定といったように、衝突の種類により衝突判定のアルゴリズムが異なります。また、その衝突後の挙動のシミュレーションを行うには衝突の際に生じる力を評価する必要もあり、これも当然衝突の種類により異なります。またアルゴリズムの脆弱性から、しばしば物体が互いに貫通するような現象が生じ、これを防止するためには積分の時間刻

もっとみる
衝突判定アルゴリズムの話

衝突判定アルゴリズムの話

衝突判定とは衝突判定とは「物体が別の物体に衝突したか」を判定するプログラム処理のことです。計算科学の問題に属します。ロボット工学、計算物理学、ゲーム、シミュレーションなど様々なコンピューティング分野で応用されています。

衝突判定の難点衝突判定は常に監視する必要があり、負荷の大きい処理となりま。特に3次元形状はポリゴン(三角形、多面体)の集合で表現されるため、その運動解析にはポリゴン同士の衝突を検

もっとみる

数値解析の話

数値解析とは数値解析は、数値計算によって解析学の問題を近似的に解く数学の一分野です。自然科学、工学、あらゆる分野に応用されています。この技術が発達したことでコンピュータ上で仮想的な実験を行うことができ、大きな実験装置を動かす手間やコストを省くことができるようになりました。

数値解析の例数値解析の目標は難しい問題への近似解を与えることです。次の例があります。
・材料力学:自動車の衝突シミュレーショ

もっとみる

企業の社会貢献の話

企業の社会貢献という発想は経営の目的に矛盾するように思われます。ビジネスによって獲得した利益を社会に再分配することは、企業本来の目的と齟齬をきたす感じがします。企業はなぜ利益を社会に還元するのでしょうか。

企業視点の社会貢献それは企業のビジネスに関わる人たちが、社会貢献活動を、その企業への信頼感に結び付ける価値と捉えているためです。あるいは、その企業で働く従業員が、自らの仕事と社会との接点を知り

もっとみる

トラブルシューティング(故障修理)の概要

トラブルシューティング(故障修理)は日常生活のあらゆる場面で広く行われます。トラブルシューティングにはゴールとする状態が不明瞭、解決への手順が不明確などの難しさがあります。それではトラブルシューティングを得意とする熟練者と一般人の違いは何でしょうか。

トラブルシューティングとはトラブルシューティングとは異常を検出し正常状態に修復する作業です。複雑な思考を伴う知的作業とされ、認知科学、人間工学、教

もっとみる

ビジネス頻出の漢字集7

前回の続きです。

異存(いぞん)
他と異なった考え。反対意見や不服な気持ち。
・誰も異存はない。
・その処置に異存があります。
・異存ありません(反対の意見、異議はない)

名実(めいじつ)
名称と実質。評判と実際。
・その国は名実相伴う経済大国
・あの人は名実ともに偉大な科学者
・名実ともに(評判と実際が一致しているさま)

秋口(あきぐち)
秋の初め。秋になったばかりのころ。
・秋口は、農民

もっとみる

ビジネス頻出の漢字集6

前回の続きです。

凡百(ぼんぴゃく、ぼんびゃく)
色々なもの。数々。もろもろ。
・凡百の人間
・凡百の中の特別な存在

綿密(めんみつ)
詳しく細やかなこと。手抜かりのないこと。
・データを綿密に分析した
・綿密な計画が必要です。
・契約書は綿密に読んだ方がいい

暴利(ぼうり)
不当な利益。法外な利得。
・10日で3割の利息はは暴利
・円安の波に乗って暴利を得た。
・暴利を貪る(不当な利益や法

もっとみる

故障検出の話

本稿では概要について説明します。具体的な故障検出方法については、また別記事にて解説します。

故障検知とは故障または異常とは、運転中のシステムの特性が予期せざる理由によって変化することです。システムの特性が変化するとシステムの出力(観測値) も変化するため、出力を常時監視することによって故障を検知することができます。つまり故障検知とは正常時と故障時の観測値の差違に基づいています。しかし故障箇所や故

もっとみる

ビジネス頻出の漢字集5

前回の続きです

拝察(はいさつ)
推察することをくりくだっていう言葉。
・皆様の胸中拝察申し上げます。
・旦那様の悲しみはいかばかりかと拝察いたします。

寄稿(きこう)
原稿を新聞や雑誌に載せるように送ること。またその原稿。
・新聞に追悼文を寄稿する。
・論文を学術誌に寄稿した

時節(じせつ)
季節。時期。自然の移り変わりによって感じられる時分。
・花だよりの届く時節だ。
・時節柄くれぐれも

もっとみる
研究開発における偶然(セレンディピティ)の話

研究開発における偶然(セレンディピティ)の話

セレンディピティとは研究者が成功を修めるには、論理的な積み重ねだけではなく、偶然からの発見があると言われています。この偶然からの成功をSerendipity(セレンディピティ)と呼びます。

セレンディピティはMOT(Management of Technology:技術経営)において注目されています。研究者がセレンディピティをおこす発生原因やプロセス、発生しやすい環境つくりが分かれば、未だマネジ

もっとみる