CAE

●CAEとは
CAE(computer-aided engineering)とは、コンピュータによって支援された、製品の設計・製造や工程設計の事前検討などといったエンジニアリング作業のことです。計算機援用工学とも呼ばれ、適用分野は機械工学、電気工学、電子工学、建築工学、土木工学、化学工学など多岐に渡ります。

●CAEの流れ
CAEの作業は、以下の順番で行います。
1.解析する現象を予測し、解析内容を決定する
2.解析条件の整理
3.必要なデータの収集、CADで作成
4.プリプロセッサにて、解析用データを作成(計算格子の生成など)
5.ソルバーを実行して、シミュレーションを行う
6.ポストプロセッサにて結果を分析

計算結果を分析して実物を作る前に設計の妥当性、性能試験、最適形状や最適条件を検討して、製品の問題点の洗い出しを行います。必要に応じてこのフローを何回か回し、目標性能を達成させて製品設計を推進します。最後に試作品にてCAE結果の妥当性を確認して、量産品製造に着手します。

●解析手法
以下の3つが代表的です。
【有限要素法】
有限要素法(Finite Element Method, FEM)。 解析的に解くことが難しい微分方程式の近似解を数値的に得る方法の一つです。 方程式が定義された領域を小領域(要素)に分割し、各小領域における方程式を比較的単純で共通な補間関数で近似します。対象領域を細分化することで、複雑な形状を正確に表現できます。また異種材料の特性を与えることもでき、局所的な効果を把握できます。

【有限差分法】
有限差分法(finite-difference methods; FDM)。微分方程式を解くために微分を有限差分近似(差分商)に置き換え差分方程式で近似する離散化手法です。FDMは偏微分方程式の数値解法として支配的な手法です。

【境界要素法】
境界要素法(boundary element method、BEM)。汎用性の高い離散化解析手法の1つで、電子計算機の発明・発展以前から進められてきた、応用数学における積分方程式の研究に端を発していることもあり、境界積分方程式法と呼ばれることもあります。電磁気学では、この境界要素法をもちいた電磁界解析をモーメント法(Method of Moments、MOM)と呼びます。

境界要素法(BEM)は、音響やNVHの問題を非常に強力に、かつ効率よく解くことができる解法です。有限要素法と同様に節点と要素を用いますが、その名のとおり、対象領域の境界についてのみ考えます。そのため、たとえば立体の問題の場合は外側の表面しか考慮せず、領域が平面の場合は外縁しか考慮しません。このように次元を1つ減らすことにより、問題を素早く解くことができます。

●接触定義とは
CAEにおいて接触とは、物体間の関係性を定義することを指します。接触を定義しない場合、物体同士は何ら関係を持たなくなります。物体A,Bが当たったときに、接触を定義しなければA,Bは互いにぶつかることもなく、すり抜けてしまいます。

●接触の種類
接触の定義方法には様々な手法があります。例えば古典的な定義方法に点-点接触があります。これは接触面の相対する節点を関連付けるものですが、制約が多く、現在ではあまり利用されません。現在では面-面接触の利用が一般的です。これは要素面間(あるいは節点と要素面間)の距離で接触有無を判定するもので、メッシュによる制約が少なくなっています。

接触の定式化には大きく分けて2種類あります。
1)ペナルティ法
接触面間に、接触すると剛性を発揮するバネを張って釣り合いを保つ方法です。この手法は、物体間に多少の食い込み(干渉)が発生しますが、安定して計算できるメリットがあります。

2)ラグランジェ乗数法
接触面に接触表面力という特別な自由度を追加する方法です。この手法は、物体間の食い込みをゼロにできるため精度的には優れますが、計算が不安定になりやすいデメリットがあります。

ペナルティ法では、食い込み現象が不可避という弱点があるため、食い込み量が許容範囲を超えていた場合、これを是正する計算を行うよう改良した手法もあります。
2段階の収束計算を行うことで、ペナルティ法の安定した計算と、食い込み量低減の両立が図られています。


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