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エッセイはとつぜんに

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つれづれなるままに、ひぐらし、ではないが、ときたまPCにむかひて。役には立ちませんが、何の変哲もない日常を楽しめるようにはなるかもね。
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2018年10月の記事一覧

バーチャル子守りな朝

バーチャル子守りな朝

プルルルル……。

私「あっ、つながった。おはよー!」

夫「おはよー」

私「◯◯ちゃん、お父さんだね〜。おはよーしな、おはよー」

娘「う!う!(手をぶんぶん振ってあいさつ)」

私「あのさちょっと、◯◯ちゃんの話し相手になってもらえるー?」

夫「え? うん」

私「わたしちょっと、洗濯干してくるわ!」

* * *

夫の出張が5日目を迎えた。

母子ともに風邪ぎみスタートで今週が乗り切れ

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ごくろうさまの流儀

ごくろうさまの流儀

娘の歯ブラシは消耗がはげしい。

「ほらあ、カジカジしないの〜。シャカシャカするんだよ〜!」

大人の価値観でいくら言ったところでまあ、それはそれはかじりたいお年頃なのだ。

大人が歯みがきをする様子を見せたり、いっしょに歯ブラシを持ってシャカシャカさせたりして、一時はその真似をしてくれたりもするのだが、気づけばもう、ガシッガシッ!と力強くかじっている。

はあ、とため息をつきながら、まあでも、彼

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プログラミング? なんか大事なのは知ってるけど、自分には縁遠いし。って方に質問

突然だが、わたしの夫はプログラマーだ。

小学校ですでに算数から顔をそむけがちだった“ど文系”の自分にとって、プログラミングはなんというか、「なんかすごい」のはわかるし尊敬しているけれど、「自分とは異世界」の話だと感じている。

でも、興味がないわけではないのだ。

プログラミングという言葉は、自分がこどもの頃には全然耳にしたことがなかったけれど、最近ではAIとかVRとか新しい単語とともに、その背

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たかがリレー、されどリレー

たかがリレー、されどリレー

なぜかわたしは、娘の保育園をふくめた合同運動会で、リレーを走ることになっていた。

物心ついたときから運動音痴を自覚している自分が、いったいなぜ首をたてに振ってしまったのか。とんと見当がつかない。

いや、ほんとうはわかっている。

その日、いつもと同じように保育園のお迎えにいったら、いつもと同じ先生がいつもとは違うくねくねした歩き方で、上目使いの表情でかわいらしく近づいてきたのだ。そのまま両手を

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そのままのトーンで

そのままのトーンで

こころも体も、ちょっと風邪をひいている。

そんなときは無理して気どったものを書いても絶対にバレてしまうから、今日はかぎりなくゆるやかに、いつも以上によけいな力を抜いて、自分にとってのセラピーみたいな気持ちで書いてみたい。

まずはそうだな、あたたかい紅茶をいれよう。

あたためたミルクに紅茶のティーバッグを浸してさ、ロイヤルミルクティーにしよう。いつもはお砂糖も入れないけれど、今日ははちみつをい

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毎日更新じゃなくっても。

毎日更新じゃなくっても。

いきなりだけど、わたしのnoteは「毎日更新」じゃない。

いや、恥もふくめて正直に白状すると、今年の6月末ごろから一時期は毎日更新を目指していた。平日はエッセイ更新、休日は短歌更新、という形なら、なんとかつづけられるかなあなんて。

なんだかそのころnoteには「毎日更新」すれば自分が何者かになれるような空気がただよっていて、わたしもその空気にあやかりかったんだと思う。

実際、noteの今のシ

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母ちゃんの手習い

母ちゃんの手習い

フラダンスをはじめてみることにした。

あらためて文字に落としてみたら、我ながら唐突感がすごい。

元来わたしは「からだを動かす」タイプではないのだ。中学も高校も音楽系の部活で過ごしてきたし、世の中がいわゆる文化系と体育系にわかれるのならば完全に文化系の人間だと思う。

ダンスには音楽があるし、フラの手の動きには手話のようにそれぞれ意味があるなど文化的要素も強いから、運動だけのスポーツ競技とは確か

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名字なんてさ。

名字なんてさ。

たとえば仮に、旧姓でのわたしのフルネームを「佐藤ぽこ」、新姓でのフルネームを「鈴木ぽこ」としよう。

結婚をして入籍届を出すと、その後いろいろな書類の名義を「佐藤」から「鈴木」に変更してゆくことになる。

その中で感じたのは「ああ、佐藤ぽこという人物はこの世からもういなくなったのだ」という、なんともいえない思いであった。

* * *

結婚前は今考えればたぶん浮かれていて、というか幸福感がまさっ

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鍋で、ぽかぽかと。(離乳食期の家庭にも、鍋は平和をもたらすと思う)

鍋で、ぽかぽかと。(離乳食期の家庭にも、鍋は平和をもたらすと思う)

このところ急に寒くなった。

日差しがある日はまだいいのだが、曇りの日はどうにも空気が冷たくていけない。雨ならばまだ最初からこころがまえをして外に出るのだけれど、曇りだしなとあなどって、晴れの日と同じような気分や服装で外へ出ると、道を歩いてゆくうち、風の冷たさに後悔することになる。

ちょっとまって、こんなに寒いなんてきいていないよ。この前まで夏だったじゃないか。ほんの数日前まで、半袖でも暑いくら

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プーの世界なら、食べこぼしもゆるせるのに。

プーの世界なら、食べこぼしもゆるせるのに。

先日『プーと大人になった僕』を観た。

ストーリーもとてもよかったのだが、個人的に一番印象に残ったのは映画の筋とはまったくちがうところだった。

全体を通して、てくてく、のそのそと動き回るかわいらしいプーの一挙手一投足に、1歳の娘の姿を重ねずにはいられなかったのだ。

まるっとしたフォルム。ぽっこりと突き出したおなか。自分のそんなおなかを、小さな手でペチペチと触るしぐさ。足を広げて、よたよた、ペタ

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慣例よりも、自分の脳みそで考えたい【浅生鴨さんインタビュー 編集後記】

慣例よりも、自分の脳みそで考えたい【浅生鴨さんインタビュー 編集後記】

先日アップしたかもさんのインタビュー記事が、予想以上に読まれている。

note公式のおすすめにとりあげていただいたり、またtwitterでは浅生鴨さんご本人や糸井重里さんにもRTしていただいた影響で、わたしの弱小アカウントとしては異例のRT数といいね数になった。

それ自体は素直にとてもうれしくて、ああ光栄だなあとしみじみ思う。ただ一方で、どうだいすごいだろうとうぬぼれる気分には到底なれない。そ

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みかん好きの血筋

みかん好きの血筋

娘はみかんの皮をむくのが上手になってきた。

はじめの一歩というか、むきはじめを親が爪を入れて「むきっ」としてやれば、その後はその僅かな段差を手がかりに、小さな手でうんしょうんしょと、一生懸命向き合ってとりくんでいる。

時間をかけて、きれいにまん丸の果実が取り出せることもあれば、たいていはそこまで待ちきれずに、ちょっとむいて取り出せた部分をぱくっ、と薄皮ごと食べている。

ちなみに食べる前には、

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ゆらゆら揺れる、ちいさな余裕

ゆらゆら揺れる、ちいさな余裕

24時間育児体制から自分の時間がとれるようになって、特にうれしかったことのひとつが、またアクセサリーをつけられるようになったことだ。

もともと、メイクやアクセサリーへのこだわりは同世代の女性よりかなり少ないほうだと思う。リュックひとつで旅していたときなんて荷物を減らすことばかり考えていてお洒落とは縁遠いところにいたし、「何にお金をかけるか」でいえば圧倒的に「旅>美」「食>美」「本>美」の人間だと

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子育てな日常も、俯瞰してみてみたら。

子育てな日常も、俯瞰してみてみたら。

ばらばらにちぎられた長ネギの散乱するリビングで、ごろんとその横に寝転びながら、「ああこの図、天井から定点カメラで傍観していたらけっこうおもしろいだろうなあ」なんてことを思っていた。

昨日の夕方の話である。

熱心に長ネギをぺりぺりちぎって遊んでいたのはもちろん1歳の娘。

ネットスーパーで届けられた荷物の中から長ネギを発見し、「あ、これまだちゃんと研究したことなかった気がするわ」とばかりに、大切

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