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「損切丸」-「日銀」編

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「損切丸」が20年以上 ”お付き合い” させて頂いた「日銀」に関するより突っ込んだ記事をご紹介。
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2023年9月の記事一覧

「中立金利」を巡る議論。ー 最早「マイナス金利政策」など論外。

「中立金利」を巡る議論。ー 最早「マイナス金利政策」など論外。

 最近マーケットで「中立金利」を巡る議論を目にするようになった。「利上げ」局面で中央銀行のターミナルレート(政策金利の到達点)を計るために良く出て来る。筆者がこの言葉に初めて出くわしたのは、*忘れもしない1994年2月、当時のグリースパンFRB議長が突然「利上げ」を始めた時だ。

 その時の議論の中心が:

 自然体でアメリカは+3.0~3.5%%の潜在成長率が見込まれていた事から「中立金利」は@

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「金利」の上昇が止まらない。ー 世界的に「逆イールド」は解消へ向かう。

「金利」の上昇が止まらない。ー 世界的に「逆イールド」は解消へ向かう。

 米国債の売りが止まらない。特に10~30年ゾーンの長期債の値崩れが激しく、@5%へ向けて ”レベルチェンジ” が起きつつある。「お金」のないロシア、ブラジル、トルコなど ”二桁金利” の国でも「金利」は上がる一方だ。

 前稿.続・タイミングを計る日銀・財務省。ー 忍び寄る "灰色のサイ” の影。|損切丸 (note.com) でも紹介したが、2030年に世界の労働力が▼8,500万人不足すると

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続・タイミングを計る日銀・財務省。ー 忍び寄る "灰色のサイ” の影。

続・タイミングを計る日銀・財務省。ー 忍び寄る "灰色のサイ” の影。

 タイミングを計る日銀・財務省。ー "値段が上がっているのではなくお金の価値が減っている”|損切丸 (note.com) からの続編。

 ドル円が@149円台に乗せて相場もいよいよ "風雲急" を告げてきた。「損切丸」が特に気になっているのが日本の総選挙の行方。複数の国内メディアから具体的日程を伴って「11月解散総選挙」の話が出始めた。組閣→経済対策が出揃ったことから観測が強まっているが、確かに

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タイミングを計る日銀・財務省。ー "値段が上がっているのではなくお金の価値が減っている”

タイミングを計る日銀・財務省。ー "値段が上がっているのではなくお金の価値が減っている”

 ドル円が変な動きをしていたので 前稿.行き場を失った「お金」はどこへ? ー 米国債が売られるとろくな事がない。|損切丸 (note.com) でも触れたが、結局 "飛び道具" はなし。何事もなかったように@148円台に戻し、筆者の考え過ぎ、杞憂に終わった。

 「総合CPI < コアコアCPI」の状況を見ても、今の「インフレ」は「円安」や食品・エネルギー等の原材料高による、いわゆる "コストプッ

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行き場を失った「お金」はどこへ? ー 米国債が売られるとろくな事がない。

行き場を失った「お金」はどこへ? ー 米国債が売られるとろくな事がない。

 米国債市場が「投資」の場としては厳しい状況に陥っている。中堅のシリコンバレー銀行(SVB)を破綻に追い込むぐらいだからその惨状は想像に難くない。日本でも地銀勢が▼数千億円の損失を計上。高い名目金利を追いかけた結果とも言えるし、"偽りの逆イールド" に騙された面もある。

 本格的な「インフレ」→「利上げ」局面を迎える時、中途半端な中長期債投資は御法度。 ”金利が死んだ” 超低金利環境が20年以上

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なかなか訪れない「ドル安」。ー "偽りの逆イールド" は風前の灯火。

なかなか訪れない「ドル安」。ー "偽りの逆イールド" は風前の灯火。

 昨日(9/20)のFOMCの決定はマーケットも含めほぼ "満場一致” 。イベント通過で株も買い戻しが入り、無難に終えるかに思えた。ところが思わぬ伏兵がいた。FED Dot Plot( ↑ 標題)である。

 注目されたのは2024年の政策金利見通し。@5%以上が10/19人もいたのは想定外。これで一気に2年米国債が@5.2%近辺まで急落し、長期債も連れ安(金利は上昇)。 "偽りの逆イールド" は

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見えているものが全てではないⅡ。ー 「情報」の中に潜む ”都合” ”切り取り”  ”忖度” 。

見えているものが全てではないⅡ。ー 「情報」の中に潜む ”都合” ”切り取り” ”忖度” 。

 続・見えているものが全てではない。ー 偽りの「ルーブル高」「逆イールド」。|損切丸 (note.com) からの続編。

 銀座の某有名店で店員が漂白剤入りの "お水" を出して大騒ぎになっている。確かにこれはどんな事情があるにせよ、許される事ではない。だがその後客も店員も「処理水」問題を煽ったお隣の国の人という「情報」が流れ、一部メディアで「ヘイト」にまで言及。これではもう何が何だか…。最悪

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 "いいから黙ってやれ" 時代の終焉。ー 何かが壊れようとしている。

"いいから黙ってやれ" 時代の終焉。ー 何かが壊れようとしている。

 「損切丸」が銀行の支店配属になって最初に受けた "洗礼" である。融資の事務方の仕事を任された時にわからない事を色々質問したら "鉄槌" を喰らった。時は「昭和62年」(1987年)。生意気と思われたようだが、今こんな事を新人に言い放ったら1ヶ月で辞めるか、訴えられるだろう。

 有名芸能事務所の性加害問題が大騒ぎになっているが、あれも "いいから黙ってやれ" の典型、「昭和」そのものだ。それが

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「インフレ時代」の心構え。ー 目の前の "小銭" を追えば "大金" を失う。

「インフレ時代」の心構え。ー 目の前の "小銭" を追えば "大金" を失う。

 前稿."石橋を叩いて渡る” 日銀。|損切丸 (note.com) でソロリ慎重にアドバルーンを上げた日銀だが、早速マーケットに動きが出ている。

 1.金利

 これまでもJGB(日本国債)購入に慎重姿勢だった「日本金融村」。やはり、というべきか、植田総裁の「ゼロ金利解除」発言を受けて金利は上昇。10年は目処になる@0.70%、30年は昨年10月に「YCC上限金利引上げ」騒動で生損保による「損切

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 "石橋を叩いて渡る” 日銀。

"石橋を叩いて渡る” 日銀。

 もう「失敗」できない日銀。|損切丸 (note.com) からの繋がりで。

 これも「あらゆる選択肢」に入るのだろう。 「ドル高」「円安」の終焉(?)。ー 「GDPギャップ」プラス転換が示唆する事。|損切丸 (note.com) で "何の前振りも無く「マイナス金利解除」と「ドル売り介入」を同時に発動" を提案した「損切丸」だが、タイミングが合えばそういう作戦もありだろう。企業の「外貨投資」に

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続・「ドル高」「円安」の終焉(?)。ー 「経常収支」「貿易収支」の黒字転換の意味する事。

続・「ドル高」「円安」の終焉(?)。ー 「経常収支」「貿易収支」の黒字転換の意味する事。

 「ドル高」「円安」の終焉(?)。ー 「GDPギャップ」プラス転換が示唆する事。|損切丸 (note.com) の続編。

 突っ走る「円安」とは対照的に、この国の貿易収支ないし経常収支が黒字転換。後者に至っては単月として過去最大の黒字額だという。本来「円高」要因となるはずがドル円が逆に動いている。どうしてか。

 ここは どうする?「外貨投資」。ー 「イールドカーブ」の形状が変わる米国債。|損切

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強過ぎる「アメリカ」。ー 日本では上がらない「家賃」に変化。

強過ぎる「アメリカ」。ー 日本では上がらない「家賃」に変化。

 まさに ”強靱” の言葉がピッタリ。発表されたサービス業ISM指数 ↑ は予想を上回る上昇。「インフレ」で四苦八苦する日欧を尻目に一人勝ち状態だ。「憧れのアメリカ」の終焉。ー「音楽」「映画」等のソフト産業の変遷と共に。|損切丸 (note.com) とはいえ、まだまだ「ドルの時代」は続く。これもエネルギーを自給できる国の強味か。

 だが「ドル高」が思わぬ伏兵を生みつつある。「金利」である。アメ

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「行って欲しくない方に動く」相場の原理Ⅱ。ー 「何もしない」を許さないマーケット。

「行って欲しくない方に動く」相場の原理Ⅱ。ー 「何もしない」を許さないマーケット。

 「行って欲しくない方に動く」相場の原理。ー 「損切り」が動かすマーケット。|損切丸 (note.com) からの続編。

 「ドル高」「円安」の終焉(?)。ー 「GDPギャップ」プラス転換が示唆する事。|損切丸 (note.com) と書いたばかりなのにスルスルと147円台まで「円安」。やはり「何もしない」のはマーケットが許さない。

 この国が「供給 > 需要」の状態から「供給 ≦ 需要」に

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マーケットは刻々と変化する。

マーケットは刻々と変化する。

 「この前まで円高って言ってたじゃないか」

 友人から罵声(?)を浴びたことがある。どうもFXで損したようなのだが「損切丸」としては苦笑いするしかない。マーケットは刻々と変化する。読者の中にも同じ様な感想を抱いて読むのを止めた方がいるかもしれない。言い訳ではないが、元「金利」の専門家としてはどうしても半年~5年先の中長期の見通しが中心になる。今日明日の売買のヒントが必要な方にはあまりお役に立てな

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