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「行って欲しくない方に動く」相場の原理Ⅱ。ー 「何もしない」を許さないマーケット。

 「行って欲しくない方に動く」相場の原理。ー 「損切り」が動かすマーケット。|損切丸 (note.com) からの続編。

 「ドル高」「円安」の終焉(?)。ー 「GDPギャップ」プラス転換が示唆する事。|損切丸 (note.com) と書いたばかりなのにスルスルと147円台まで「円安」。やはり「何もしない」のはマーケットが許さない

 この国が「供給 > 需要」の状態から「供給 ≦  需要」に移行しているのは間違いない。立て続けに「値上げ」が起っているのがその証拠だが、その点、依然 「供給<< 需要」の過剰「インフレ」のアメリカには及ばない現時点で何もしなければ綱引きでは適わないのも当然かもしれない。

 歯ぎしりしているのは日銀・財務省「損」が嵩む「利上げ」など出来ればしたくない米国債の「偽りの逆イールド」でFRBの「利下げ」を待ちたかったのだろうが、そうは問屋がおろさない。*高い電気・ガス料金やガソリン代を払わせ続けられる日本国民も溜まったものではない。裏を返せば今や「円安」は日本のアキレス鍵であり、攻める側にとっては絶好のウィークポイントになる。

 「他人の損は自分の得」=マーケットのゼロサム原理

 *WTI(NY原油先物)が@80ドル台で高止まりする原油価格も興味深い。そこには日本や中国の「補助金行政」が深く関係している。本来価格上昇で需要が減退しマーケットの調整機能が働くが、何しろ国が補填してくれるのだからおいしい「フリーランチ」(ただの昼飯)。産油国にとってはドンドン吊り上げてやれ、となる。「補助金」は何れ増税で徴収されるのだから、何の事は無い日本人がサウジ等に貢いでいるだけで、これでは貧しくなる一方。日本の政治家はマーケットに疎すぎる

 「何もしない」のが許されないのは中国も同じ深刻な不良債権問題を時間の経過と共に風化させようとの魂胆だろうが、日本も経験したようにどこかで思い切って「損切り」しないと金利などズルズルコストが嵩む。事態は悪化する一方だ。

 傾向は人民元のFXと金利に現れている。

 不良債権問題の深刻度に鑑みると、一気に「ゼロ金利」「マイナス金利」に「利下げ」したいのが本音。だが「人民元安」によるキャピタル・フライト(資本流出)が怖くて踏み出せない。足りないのは「ドル」。得意の(?) "サラミ戦術" で小刻みに「利下げ」したところでまさに「焼け石に水」金融政策は金縛り状態だ。

 それでも「人民元安」を輸出増に転嫁できればまだマシだが、「脱中国」でメリットを享受できない。日米だけで無くフィリピンベトナムなど東アジア勢にインドまで敵に回してしまっては世界経済から遮断されてしまう。G20に出席出来ないのも当然かもしれない。

 欧州もイタリアが「一帯一路」からの撤退を検討するなど着実に中国から「お金」は逃げ出しており、EV(電気自動車)一辺倒だったドイツ、フランスも距離を置き始めた。彼の国の諺で言えばまさに「四面楚歌」

 「金の切れ目は縁の切れ目」

 「利下げ」しなければいけない状況で「人民元安」を阻止するのは難しい8,000億ドル程度(≓外貨準備の米国債保有額)の「ドル売り介入」で止めることは不可能だろう。

 危険な兆候は「金利」にも現れている

 相次ぐ "サラミ利下げ" で一旦低下に転じていた国債金利だが、ここへ来てジワジワ再上昇「資金繰り」に窮している碧桂園(カントリーガーデン)の人民元建債の返済を進めているが、国が支援すれば不必要な「お金」を刷る事になる。これは**「通貨価値下落」を伴う「スタグフレーション」への "地獄の一本道"「金利」の上昇はその事を示唆している。

 **同様の事態は「戦争」を続けているロシアやCPIが+50%台に反騰したトルコにも起きている。どちらも「お金が無い!」「利上げ」路線への転換で一時買われていたリラも売りが再開「通貨安」の上に金利の上昇が止まらないルーブルも瀕死の状態だ。「戦争」などしている場合では無い

 「利上げ」している欧米は「何もしない」よりはマシだが、止まらない「インフレ」に頭が痛い。特に景気の冷え込みが激しいヨーロッパは2024年以降景気のクラック(崖落ち)が心配される。中国に傾斜しているドイツ、フランス、イタリアなどは厳しい状況が懸念される。

 中国に傾斜しているのは日本も一緒。ドップリ入れ込み過ぎたK団連などは慌てふためいて中国に人を送り込むようだが、大局に立てばここは「損切り」一択バブルの不良債権処理もそうだったが、どうも日本人は逃げるのが苦手何でも会議でしか決められない "サラリーマン根性" が抜けない。目の前の100万円を惜しんで▼1億円損しては何にもならない。

 マーケット原則:「損切りはあっさり、利食いは慎重に」

 「高度成長期」はそれでも良かったが、社会が成熟した今、真の意味での「自己責任」に転換すべき。「脱中国」は試金石になる日銀の「利上げ」も "黒船" ≓ FRB頼みは止める時。それでこそ真の「独立性」を勝ち取れる。

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