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本や映画のおはなし

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大好きな本や映画、作品にまつわる「人」のお話。
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#本紹介

辻仁成とコン•ジヨン。日韓作家のコラボ小説が生まれるまで

辻仁成とコン•ジヨン。日韓作家のコラボ小説が生まれるまで

ポッドキャスト第32話を配信しました。今回は以前noteに書いたお話のつづき、日韓の作家が共同執筆した小説『愛のあとにくるもの』がなぜ誕生したのか?その裏側がよくわかる辻仁成さんのエッセイや、関連映画•本をご紹介するとともに、韓国の女性作家、コン•ジヨンさんとはどんな方なのか?などについてお話ししてみました。

2月6日付けの辻仁成さんの滞仏日記によると、ついにソウルでドラマの撮影が始まったようで

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韓国小説 『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』に救われた年末年始

韓国小説 『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』に救われた年末年始

流行りに乗り遅れるタイプの私は、ここ数年話題になった韓国のドラマや映画、小説、エッセイなどをたぶん、ほとんど観たり読んだりしていない。流行れば流行るほど関心が失せていくというか、「こんなに注目されてるんだから今はいっか」という気持ちになってしまうのだ。何十万部売れた、芸能人の誰々が紹介していた、というお決まりのフレーズにも残念ながらあまり心ひかれない。

それよりも、書店や図書館に出向いて、宝探し

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ついにドラマ化確定。辻仁成、コン・ジヨン著『愛のあとにくるもの』

ついにドラマ化確定。辻仁成、コン・ジヨン著『愛のあとにくるもの』

 実は昔から定期的に読み返したくなる本や、見返したくなるドラマや映画があるんですが、その中の1つが1999年に初版が発行された辻仁成・江國香織共著の小説『冷静と情熱のあいだ』です。断捨離ブームに乗っかって一度手放したこともありましたが、やっぱりまた読みたくなり、数年前の一時帰国中に買い求めました。

 今から5年前、まだ息子が生まれて2か月の頃も、映画『冷静と情熱のあいだ』を見返したくなったことが

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心温まる韓国エッセイ『あなたを応援する誰か』

心温まる韓国エッセイ『あなたを応援する誰か』

 人はなぜ誰かが書いたエッセイを読んだり、絵を見たり、歌を聞いたり、詩を読んだりするのかと、時々考えることがあります。

 人間が生命を維持していくために必要なものは、水と空気と衣食住。けれども、長い人生それだけでは心もとないもので、生き抜くための知恵や技術、助け合う仲間、娯楽なんかも必要になってきますよね。

 なぜこの世に生まれ、いつまで生きられるのか?そんな答えの出ない問いを抱えながら何十年

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韓国に住む日本のおばちゃんが読んでみた。 『台湾はおばちゃんで回ってる?!』

韓国に住む日本のおばちゃんが読んでみた。 『台湾はおばちゃんで回ってる?!』

 人が見知らぬ誰かに対して親近感を抱く瞬間って、相手が自分と似たような経験をしていたり、共通項や共感できることが多かったりした時じゃないかと思うんですが、みなさんはどうでしょうか? 例えば私の場合、ある女性のプロフィールにこんなキーワードが並んでいるのを見て、とても親しみを抱きました。

 80年代前半生まれ、編集者、ライター、海外移住、離婚、再婚、国際結婚、ステップファミリー、男の子の母。ここま

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チョ•ナムジュ著『彼女の名前は』

チョ•ナムジュ著『彼女の名前は』

 先日、韓国の短編小説集『彼女の名前は』を読み終えた。『82年生まれ、キム・ジヨン』の著者、チョ・ナムジュが韓国で2018年に発表した作品で、2020年に日本でも翻訳出版されている。

 9〜69歳まで60人余りの女性に話を聞いた著者が、2017年の1年間、新聞や雑誌にフィクションやエッセイを連載。それを再構成し、28編の小説集としてまとめた1冊だ。1つひとつの話はとても短く、読みやすい。でも、そ

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