能勢邦子

フリーランス編集者、コンテンツディレクター。マガジンハウスで30年間、雑誌や書籍の編集…

能勢邦子

フリーランス編集者、コンテンツディレクター。マガジンハウスで30年間、雑誌や書籍の編集をしていました。著書『なぜか惹かれる言葉のつくりかた』(サンマーク出版)はnoteのマガジン『ビジネスに役立つ「編集力」』の記事がもとになっています。

マガジン

  • 版元コトコ

    第一弾『失語症からの言葉ノート 聴く、話す、読む、書く、楽しみながら言葉がつながる』発売中。ホームページで全ページ公開しています。https://www.nosekuniko.com/shitsugoshou/

  • なぜか惹かれる言葉

    書籍『なぜか惹かれる言葉のつくりかた』を上梓しました。「あとがき」にも書いたのですが、惹句(じゃっく)について折にふれ考えていきたいので、そのためのマガジンです。

  • ビジネスに役立つ「編集力」

    「編集力」というのはどういうことか、どうすれば「編集力」がつくのか、自分の経験を踏まえ考えてみたいと思います。

  • 秘密のネタ帳

    編集の仕事に役立つ情報を集めます

記事一覧

本の発売から2か月経って…

2021年11月12日に『失語症からの言葉ノート』を発売しました。トップ画像は同書のイラストにFacebookページ(失語症カフェ「コトコ」)用に、イラストレーターの田中未樹さ…

能勢邦子
2年前
34

紙に書くということ

書籍『なぜか惹かれる言葉のつくりかた』のなかで、付箋ワークを紹介しています。原稿を書いたり、企画を立てたり、何かをコンテンツ化するときに役立つ方法です。 ざっく…

能勢邦子
2年前
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失語症のかたに『失語症からの言葉ノート』を!

『失語症からの言葉ノート〜聴く、話す、読む、書く、楽しみながら言葉がつながる』を11月12日に刊行しました。タイトルどおり、脳卒中などで失語症になってしまったかたに…

能勢邦子
3年前
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webメディアの「継続」は毎日の食事づくりみたいな

宣伝会議の「自社メディアやnote、メルマガ等で発信する企業の担当者のためのコラムライティング基礎講座」でコラム企画の考え方を講義しました。「コラム企画で大切なのは…

能勢邦子
3年前
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常套句な人にならないで

先日、こんなことがありました。いつも行くパン屋さんで食パンを1.5斤買い、Suicaで支払い。帰宅後、レシートを見たら、1,449円。アイスコーヒー2点、菓子パンなどが印字…

能勢邦子
3年前
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なぜか惹かれる言葉を集めておこう

著書『なぜか惹かれる言葉のつくりかた』にも書いたのですが、なぜか惹かれる言葉、好きな言葉を集めておくと、いろいろな時に使えます。記事やメールのタイトルにしたり、…

能勢邦子
3年前
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『なぜか惹かれる言葉のつくりかた』の文体の話

3月1日に書籍『なぜか惹かれる言葉のつくりかた』を上梓しました。noteで『そのプロジェクトに役立つ(かもしれない)「編集力」』マガジンにまとめている記事をもとに、…

能勢邦子
3年前
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編集者のデザイン力

「編集力とは何か」、企画力、取材力、発想力、表現力、文章力、デザイン力、各5回全30回の予定で書き始めたが、とり急ぎ駆け足でデザイン力まで終わらせることにする。 …

能勢邦子
3年前
60

何を書くか構成を決める

文を書くのが苦手、気が重いという人に、文章を書くための大きなポイントを3つ、お伝えしよう。文を書くのが好き、すらすら書けちゃうという人にはまったく無益なので、そ…

能勢邦子
4年前
89

タイトルの極意

「コンテンツを見せる」時には、相手の気持ちに立って、3つのT(ターゲット、タイミング、タイトル)を考える。ターゲットの本当に望むものやタイミングを考え、それをタ…

能勢邦子
4年前
46

恋人の望みを見極めるように

編集には「コンテンツをつくる」側面と「コンテンツを見せる」が側面がある。ディレクター的な側面とプロデューサー的な側面と言ってもいい。ビジネスで編集が求められる時…

能勢邦子
4年前
29

発想の飛ばしかた

『プレバト』(TBS系毎週木曜19:00〜)の俳句査定が好きでよく見ている。出されたお題が例えば「ポイントカード」であれば、ポイントカードのある情景や心情を俳句にするの…

能勢邦子
4年前
45

「降りてきたー」の瞬間

企画を考えている時、タイトルで悩んでいる時、たまーに「降りてきたー」ということがある。セレンディピティ、「計画的偶然性」「偶察力」などと訳される最高に素敵な瞬間…

能勢邦子
4年前
31

取材は特別なことじゃない

下取材で大切なこと、聞きたいことを聞き出す、インタビューのダイナミズムと取材力について書いてきた。取材というと、編集者やライターじゃないから関係ないと思われがち…

能勢邦子
4年前
46

インタビューのダイナミズム

複数の専門家に話を聞き構成するページに対し、ひとりにじっくり話を聞くインタビューがある。芸能人、文化人、アスリート、一般人…、もちろんテーマは存在するが、「聞き…

能勢邦子
4年前
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聞きたいことを聞き出す

下取材はとても大切だが本番の取材・撮影はもっと大切だ。すべての編集作業の中で、原則やり直しのきかない一発勝負。徹頭徹尾、集中して臨みたい時間である。二日酔いで行…

能勢邦子
4年前
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本の発売から2か月経って…

本の発売から2か月経って…

2021年11月12日に『失語症からの言葉ノート』を発売しました。トップ画像は同書のイラストにFacebookページ(失語症カフェ「コトコ」)用に、イラストレーターの田中未樹さんに着色してもらったものです。今日は発売から2か月の営業報告です。

マガジンハウス時代も本をつくるたびに「プロモーション」をしました。プロモーションは編集者個人個人まるで方法が違います。私自身も本によって毎回毎回違います(

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紙に書くということ

紙に書くということ

書籍『なぜか惹かれる言葉のつくりかた』のなかで、付箋ワークを紹介しています。原稿を書いたり、企画を立てたり、何かをコンテンツ化するときに役立つ方法です。

ざっくり言うと、こんな感じ。目の前のコンテンツ(考えなければならない企画のお題)について、思うことを、文でも単語でも、ひとつにつき付箋1枚、書き出します。良いことも悪いこともOKです。五感を使って(見た目は?匂いは?音は?味は?触覚は?)、5W

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失語症のかたに『失語症からの言葉ノート』を!

失語症のかたに『失語症からの言葉ノート』を!

『失語症からの言葉ノート〜聴く、話す、読む、書く、楽しみながら言葉がつながる』を11月12日に刊行しました。タイトルどおり、脳卒中などで失語症になってしまったかたに真っ先に手にとっていただきたい、リハビリのための書き込み式ノート。大学ノートと同じA4サイズ、薄めの60ページ、本体1500円+税です。

4ページ(2見開き)で1つのテーマになっています。

最初の見開きは、絵を見ながら、聴く、話すペ

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webメディアの「継続」は毎日の食事づくりみたいな

webメディアの「継続」は毎日の食事づくりみたいな

宣伝会議の「自社メディアやnote、メルマガ等で発信する企業の担当者のためのコラムライティング基礎講座」でコラム企画の考え方を講義しました。「コラム企画で大切なのは、テーマや切り口、準備段階が9割です」という準備の話がメインで、「継続は毎日の食事づくりみたいなものです」という継続のイメージを付け加えたのですが、コラム記事の継続を食事づくりに例えるのは我ながら上手いなぁ、小さなトラブルも食事づくりに

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常套句な人にならないで

常套句な人にならないで

先日、こんなことがありました。いつも行くパン屋さんで食パンを1.5斤買い、Suicaで支払い。帰宅後、レシートを見たら、1,449円。アイスコーヒー2点、菓子パンなどが印字されているのです。現金であれば1,000円札を出す時に「あれ?」と気づいたかもしれません。でも、Suicaだと金額を確認せずにピッとやってしまうことも多いです。履歴を見ると確かに1,449円引かれているので、店に電話をしました。

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なぜか惹かれる言葉を集めておこう

なぜか惹かれる言葉を集めておこう

著書『なぜか惹かれる言葉のつくりかた』にも書いたのですが、なぜか惹かれる言葉、好きな言葉を集めておくと、いろいろな時に使えます。記事やメールのタイトルにしたり、比喩につかったり、あるいは、なぜか惹かれる言葉から逆に記事を書くこともあるでしょう。言葉から企画が生まれるということも実際に起こります。

私が最近、なぜか惹かれる言葉に加えたのは、「陽だまり」「お茶の時間」「寿命」。「陽だまり」って日当た

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『なぜか惹かれる言葉のつくりかた』の文体の話

『なぜか惹かれる言葉のつくりかた』の文体の話

3月1日に書籍『なぜか惹かれる言葉のつくりかた』を上梓しました。noteで『そのプロジェクトに役立つ(かもしれない)「編集力」』マガジンにまとめている記事をもとに、より言葉に特化した視点で書き下ろしたものです。

noteが若い編集者に向けて書いたものだとしたら、書籍は編集者やライターではない人、でも仕事で文を書くことになってしまったような人に向けています。だからというわけでもないのですが、not

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編集者のデザイン力

編集者のデザイン力

「編集力とは何か」、企画力、取材力、発想力、表現力、文章力、デザイン力、各5回全30回の予定で書き始めたが、とり急ぎ駆け足でデザイン力まで終わらせることにする。

最近しきりと「デザイン思考」「デザイン経営」と言われるが、これは広義のデザイン。そういった本の受け売りだが「人々の問題やニーズを解決する方法を設計(design)する」ための考え方がデザイン思考で、「社内外の問題やニーズを解決する方法を

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何を書くか構成を決める

何を書くか構成を決める

文を書くのが苦手、気が重いという人に、文章を書くための大きなポイントを3つ、お伝えしよう。文を書くのが好き、すらすら書けちゃうという人にはまったく無益なので、そういう人は読まなくていい。

文章が苦手な人にまず聞きたいのは、「何を書くか、決めてある?」ということ。「そりゃ当然ですよ」と言うかもしれないが、「本当に?」と尋ねたい。「そりゃ当然ですよ、◯◯に対する弊社の取り組みです」「そりゃ当然ですよ

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タイトルの極意

タイトルの極意

「コンテンツを見せる」時には、相手の気持ちに立って、3つのT(ターゲット、タイミング、タイトル)を考える。ターゲットの本当に望むものやタイミングを考え、それをタイトルに反映させる。

「編集力とは何か」で編集の定義を「誰かに何かを魅力的に伝えること」としたが、タイトルを考えるときも、何を伝えたいのか、売りは何なのかを明確にすることから始める。ここで間違えてはいけないのが、あくまでも相手が魅力的に感

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恋人の望みを見極めるように

恋人の望みを見極めるように

編集には「コンテンツをつくる」側面と「コンテンツを見せる」が側面がある。ディレクター的な側面とプロデューサー的な側面と言ってもいい。ビジネスで編集が求められる時の多くは、後者、「コンテンツを見せる」プロデューサー的なことを期待されるが、どちらが大切かと言えば、それはもう間違いなく、前者、「コンテンツをつくる」ことだ。ないコンテンツは見せることもできない。それに確固たるコンテンツは自ずと見せ方も決ま

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発想の飛ばしかた

発想の飛ばしかた

『プレバト』(TBS系毎週木曜19:00〜)の俳句査定が好きでよく見ている。出されたお題が例えば「ポイントカード」であれば、ポイントカードのある情景や心情を俳句にするのだが、「発想を飛ばして」例えば「診察券」や「御朱印めぐり」のシーンを詠んでもいい。夏井いつき先生が、感心し褒めるポイントのひとつが、この「発想の飛ばしかた」である。

俳句を作ろうとポイントカードを睨んでいてもダメで、ポイントカード

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「降りてきたー」の瞬間

「降りてきたー」の瞬間

企画を考えている時、タイトルで悩んでいる時、たまーに「降りてきたー」ということがある。セレンディピティ、「計画的偶然性」「偶察力」などと訳される最高に素敵な瞬間だ。

いつも使うボールペンがどこにもなくキッチンの引き出しまで探していると、以前なくしたと思い込んでいたピアスが見つかった。これがセレンディピティだ。

ネットで検索すると、ポストイットやコカコーラの例が出てくる。強力な接着剤を開発するな

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取材は特別なことじゃない

取材は特別なことじゃない

下取材で大切なこと、聞きたいことを聞き出す、インタビューのダイナミズムと取材力について書いてきた。取材というと、編集者やライターじゃないから関係ないと思われがちだが、実は、すべての人が普段やっていることで、すべての人に必要な技術でもある。

2か月前、ものすごい勢いで拡散された島田彩さんの記事「今週末の日曜日、ユニクロで白T買って泣く」が、とても面白かった。

この記事で、島田彩さんがR君にしたこ

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インタビューのダイナミズム

インタビューのダイナミズム

複数の専門家に話を聞き構成するページに対し、ひとりにじっくり話を聞くインタビューがある。芸能人、文化人、アスリート、一般人…、もちろんテーマは存在するが、「聞きたいことを聞き出す」というより、「人となり」が魅力的に伝わることがインタビューの目的だ。

私が思う“いいインタビュー記事”には3つ要素がある。

まず、新情報や近況がいくつか入っていること(1000字程度の記事ならひとつでもいい)。些細な

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聞きたいことを聞き出す

聞きたいことを聞き出す

下取材はとても大切だが本番の取材・撮影はもっと大切だ。すべての編集作業の中で、原則やり直しのきかない一発勝負。徹頭徹尾、集中して臨みたい時間である。二日酔いで行くとか時間にギリギリに着くなど、もってのほかだ。

webでは特に“取材しない記事”も多く、テレビ番組でのタレントの発言だけで記事ができてしまうわけで、「取材が大切だ」と言っても説得力がないかもしれない。ただ突出して面白い記事は必ずきちんと

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