マガジンのカバー画像

OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

1,457
私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
運営しているクリエイター

#文藝春秋

〔再読〕ひとり旅 (吉村 昭)

〔再読〕ひとり旅 (吉村 昭)

(注:本稿は、2024年に初投稿したものの再録です。)

 吉村昭さんの小説やドキュメンタリー等は今までも何冊も読んでいて、私の好きな作家のひとりです。

 本書は、いつも利用している図書館の書架で目についたものですが、その帯には「最後の随筆集」と記されていました。ちょっと気になりますね。
 目次を覗くと、吉村作品の舞台裏を垣間見ることができる数々のエッセイに加え、巻末には、小沢昭一さんとの対談も

もっとみる
廃墟に乞う (佐々木 譲)

廃墟に乞う (佐々木 譲)

(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)

 このところ気分転換に読んでいるミステリー小説は、読破にチャレンジしている内田康夫さんの “浅見光彦シリーズ” に偏っているので、ちょっと息抜きとして、今まであまり読んだことのない作家の方々の作品にトライしてみようと思っています。

 手始めに、これまた今まで意識的に避けていた「有名な文学賞」を受賞した作品からあたろうと考えて本作品を選んで

もっとみる
ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか? (堤 未果)

ルポ 食が壊れる 私たちは何を食べさせられるのか? (堤 未果)

(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着本リストで目に付いた本です。

 堤未果さんの著作は、かなり以前に「ルポ 貧困大国アメリカ」を読んだことがあります。

 本書は、通勤途上の書店でも平積みされていて、テーマも今日的で身近なものだったので気になっていました。
 予想どおり興味を惹いたところは数多くありましたが、その中から特にこれはといった部分を

もっとみる
昭和史の人間学 (半藤 一利)

昭和史の人間学 (半藤 一利)

(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)

 会社の近くにある図書館の新着書の棚で目についた本です。

 著者の半藤一利さんは私の好きな作家のひとりで、今までも「戦争というもの」「日本のいちばん長い夏」 「昭和史をどう生きたか」等をはじめとして何冊か読んでいます。

 本書は、半藤さんの共著も含めれば100冊近い著作の中から “昭和史を彩る人物” を評したくだりを採録したもので、登場

もっとみる
磯崎新の「都庁」― 戦後日本最大のコンペ (平松 剛)

磯崎新の「都庁」― 戦後日本最大のコンペ (平松 剛)

(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)

 知人のSNSで紹介されていたので気になった本です。

 磯崎新さんについては著名な建築家という程度しか知りませんが、昨年(2022年)暮に訃報が流れ、改めてその人となりの一端なりともたどってみようと思いました。

 本書は、現都庁建築時のコンペの場を舞台に、磯崎さんの魅力的な人物像と彼を取り巻く様々な人たちとの営みの様を描き出しています。

もっとみる
誰が国家を殺すのか 日本人へV (塩野 七生)

誰が国家を殺すのか 日本人へV (塩野 七生)

(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着本リストで目に付いた本です。

 塩野七生さんの著作は、代表作「ローマ人の物語」をはじめ、この「日本人へ」と副題がつけられているシリーズも「リーダー篇」「国家と歴史篇」「危機からの脱出篇」「逆襲される文明」と読み続けています。

 ということで当然のごとく本書も手に取ったというわけです。
 タイトルは編集者の

もっとみる
ルポ 誰が国語力を殺すのか (石井 光太)

ルポ 誰が国語力を殺すのか (石井 光太)

(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)

 いつも聴いている大竹まことさんのpodcastの番組に著者の石井光太さんがゲスト出演していて、本書の紹介をしていました。

 石井さんの著作は、以前にも「ルポ 自助2020- ― 頼りにならないこの国で」という本を読んだことがあります。本書も前作と同様に、石井さんの現場に入り込んだ渾身の取材からの多面的な考察は刺激に富んでいて、なかなかに

もっとみる
世界珍食紀行 (山田 七絵)

世界珍食紀行 (山田 七絵)

(注:本稿は、2023年に初投稿したものの再録です。)

 たまたま、となりの自治体の図書館に寄った際、新着図書の棚で目についた本です。

 この手の内容の本はいくつもありそうですが、編者の山田七絵さんが開発途上国の専門家(アジア経済研究所新領域研究センター環境・資源研究グループ研究員)だということで、よくある奇を衒ったものとはちょっと違った感じではないかと興味をもって読んでみました。

 そうい

もっとみる
日本のいちばん長い夏 (半藤 一利)

日本のいちばん長い夏 (半藤 一利)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 この時期(8月)には、できるだけ「戦争」を扱った本を読んでみようと思っています。

 少し前になりますが、半藤一利さんの「日本人の宿題: 歴史探偵、平和を謳う」を読んでいて、“太平洋戦争” をテーマにした大座談会の話が登場していました。

 本書は、その座談会の様子を記した著作です。

 8月15日を挟んだ終戦前後、様々な立場、様々な場所

もっとみる
幕府軍艦「回天」始末 (吉村 昭)

幕府軍艦「回天」始末 (吉村 昭)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 吉村昭さんは私の好きな作家のひとりで、かなり以前には集中して何冊か読んでいました。
 今回、まだ読んでいない作品が、いつもの図書館の新着本リストの中に並んでいたので手に取ってみました。

 吉村さんの作品の中では、比較的軽めですね。幕末から明治維新期が舞台。函館に渡った旧幕府軍と新政府軍との一連の戦い(戊辰戦争)におけるエピソードのひとつ

もっとみる
菊池寛が落語になる日 (春風亭 小朝)

菊池寛が落語になる日 (春風亭 小朝)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。

 最近はYoutubeやPodcastが中心ですが、落語は好きで結構聞いています。
 好みは、桂米朝師匠や古今亭志ん朝師匠といった超オーソドックスなタイプの噺家さんですが、そういった面々のなかでも春風亭小朝師匠はかなり上位に食い込みます。

 この著作は、その小朝さんが、菊池寛の小説を

もっとみる
昭和史をどう生きたか 半藤一利対談 (半藤 一利)

昭和史をどう生きたか 半藤一利対談 (半藤 一利)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 著者の半藤一利さんの著作は、今までも何冊も読んでいますし、先日も「墨子よみがえる」や「戦争というもの」を読んだところです。
 やはり、半藤さんの戦争反対・平和希求への想いや言葉は強く心に沁み入ります。

 本書もそういった流れの中で手にした本です。

 澤地久枝さん、保阪正康さん、戸髙一成さん、加藤陽子さん、梯久美子さん、野中郁次郎さん、

もっとみる
嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか (鈴木 忠平)

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか (鈴木 忠平)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 気になっていた本ですが、いつもの図書館の新着書リストで見つけたので早速予約して読んでみました。

 主人公落合博満さん、現役時代も監督時代もリアルタイムで知っていますが、当時からそのユニークなキャラクタには大きな興味と少しの共感を抱いていました。

 本書は、担当記者だった鈴木忠平さんが、8年間にわたり中日ドラゴンズ監督を務めた落合さんの

もっとみる
ひとりじめ(浅田 美代子)

ひとりじめ(浅田 美代子)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 笑福亭鶴瓶さんのラジオ番組に浅田美代子さんが出演されていて、この本が話題になっていました。

 樹木希林さんとの思い出を中心に、浅田さんの若い頃からのエピソードもふんだんに盛り込まれた内容ですが、ともかく浅田さんのとても素直で純朴な人柄そのままに “爽やかテイスト” のエッセイです。

 早速、本書で私の関心を惹いたところをいくつか書き

もっとみる