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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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#文藝春秋

幕府軍艦「回天」始末 (吉村 昭)

幕府軍艦「回天」始末 (吉村 昭)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 吉村昭さんは私の好きな作家のひとりで、かなり以前には集中して何冊か読んでいました。
 今回、まだ読んでいない作品が、いつもの図書館の新着本リストの中に並んでいたので手に取ってみました。

 吉村さんの作品の中では、比較的軽めですね。幕末から明治維新期が舞台。函館に渡った旧幕府軍と新政府軍との一連の戦い(戊辰戦争)におけるエピソードのひとつ

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菊池寛が落語になる日 (春風亭 小朝)

菊池寛が落語になる日 (春風亭 小朝)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着本リストの中で見つけた本です。

 最近はYoutubeやPodcastが中心ですが、落語は好きで結構聞いています。
 好みは、桂米朝師匠や古今亭志ん朝師匠といった超オーソドックスなタイプの噺家さんですが、そういった面々のなかでも春風亭小朝師匠はかなり上位に食い込みます。

 この著作は、その小朝さんが、菊池寛の小説を

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昭和史をどう生きたか 半藤一利対談 (半藤 一利)

昭和史をどう生きたか 半藤一利対談 (半藤 一利)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 著者の半藤一利さんの著作は、今までも何冊も読んでいますし、先日も「墨子よみがえる」や「戦争というもの」を読んだところです。
 やはり、半藤さんの戦争反対・平和希求への想いや言葉は強く心に沁み入ります。

 本書もそういった流れの中で手にした本です。

 澤地久枝さん、保阪正康さん、戸髙一成さん、加藤陽子さん、梯久美子さん、野中郁次郎さん、

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嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか (鈴木 忠平)

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか (鈴木 忠平)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 気になっていた本ですが、いつもの図書館の新着書リストで見つけたので早速予約して読んでみました。

 主人公落合博満さん、現役時代も監督時代もリアルタイムで知っていますが、当時からそのユニークなキャラクタには大きな興味と少しの共感を抱いていました。

 本書は、担当記者だった鈴木忠平さんが、8年間にわたり中日ドラゴンズ監督を務めた落合さんの

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ひとりじめ(浅田 美代子)

ひとりじめ(浅田 美代子)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 笑福亭鶴瓶さんのラジオ番組に浅田美代子さんが出演されていて、この本が話題になっていました。

 樹木希林さんとの思い出を中心に、浅田さんの若い頃からのエピソードもふんだんに盛り込まれた内容ですが、ともかく浅田さんのとても素直で純朴な人柄そのままに “爽やかテイスト” のエッセイです。

 早速、本書で私の関心を惹いたところをいくつか書き

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三国志入門 (宮城谷 昌光)

三国志入門 (宮城谷 昌光)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも行っている図書館の新着書の棚を眺めていて「三国志」というタイトルが目に止まりました。

 本書の著者は宮城谷昌光さん。彼の小説は、かなり昔少し読んだことがありますが、やはり古代中国を舞台にした物語だったように記憶しています。
 本書は、その小説家の宮城谷さんによる「三国志」の入門書です。

 「三国志」の時代は、多くの歴史小説のモチ

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小沢一郎 淋しき家族の肖像 (松田 賢弥)

小沢一郎 淋しき家族の肖像 (松田 賢弥)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 ちょっと前に「永久保存版「知の巨人」立花隆のすべて」というMOOKに採録されていた立花さんの代表作「田中角栄研究―その金脈と人脈」を読みました。
 まさにこのころ、小沢一郎氏は、若手議員の中で「田中の秘蔵っ子」として力を振るい始めていました。

 本書は、その小沢一郎氏の “家庭” にまつわるノンフィクション作品です。

 内容についてい

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十万分の一の偶然 (松本 清張)

十万分の一の偶然 (松本 清張)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 また図書館で予約している本の受取タイミングがうまく合わなくて、年末年始の休みに読む本が切れてしまいました。
 とりあえずの繋ぎとして、納戸の本棚から引っ張り出してきたのが本書です。

 選んだのは、今から30数年前に買った松本清張さんのミステリー小説。
 ちょっと前にも同じような動機で「点と線」や「ガラスの城」を読み返したのですが、この本

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永久保存版「知の巨人」立花隆のすべて (文春MOOK)

永久保存版「知の巨人」立花隆のすべて (文春MOOK)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着書リストで見つけた本です。

 立花隆さんの著作は今までも何冊か読んでいるのですが、こういった体裁のムックでその偉大な足跡を辿っておくのも大いに意味があるだろうと思った次第です。

 まず、恥ずかしながら、本書で初めて読んだのが、「文藝春秋(1974年11月号)」に掲載された立花氏の代表作「田中角栄研究―その

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堤清二 罪と業 最後の「告白」 (児玉 博)

堤清二 罪と業 最後の「告白」 (児玉 博)

(注:本稿は、2021年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着書のリストの中で目についたので手に取ってみました。

 堤清二さんは、言わずもがなですが、セゾングループの総帥、「辻井喬」というペンネームで小説家としても有名でした。(2024年注:最近の方は「セゾングループ」といっても、あまりピンとこないかもしれませんね)

 本書は、トータル10時間以上にもわたるインタビューで堤清

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サル化する世界 (内田 樹)

サル化する世界 (内田 樹)

 (注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 内田樹氏の著作は何冊か読んでいますが、このところ少々ご無沙汰していました。ということで久しぶりに最近の著作を手に取ってみました。

 さまざまな媒体やブログに発表した内田氏の小文を取りまとめた「時事エッセイ集」という体裁なので、取り上げているテーマはそれこそ多種多様です。

 その中から、私の興味を惹いたくだりを覚えとして書き留めておき

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一切なりゆき 樹木希林のことば (樹木 希林)

一切なりゆき 樹木希林のことば (樹木 希林)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 樹木希林さんに纏わる著作は、以前も、「この世を生き切る醍醐味」「樹木希林 120の遺言 ~死ぬときぐらい好きにさせてよ」を読んでいるので、これが3冊目になります。
 なのでいくつかの有名なエピソードはダブりますが、この本が一番 “樹木さんの自然の姿が浮かんでくる” ような気がします。

 まずは「第1章 生きること」から、樹木さんらしい台

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贄門島 上/下 (内田 康夫)

贄門島 上/下 (内田 康夫)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 かなり以前、内田康夫さんの作品は集中して読んだことがあります。
 一番最初は「シーラカンス殺人事件」だったように記憶しています。そのあとは、定番となった「浅見光彦シリーズ」に入っていくのですが・・・。

 今回は、図書館の新着書のコーナーで、久しぶりに「内田康夫」さんの名前をみたので、半ば衝動的に借りてきました。

 この作品は浅見光彦シ

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マンモスを再生せよ ハーバード大学遺伝子研究チームの挑戦 (ベン・メズリック)

マンモスを再生せよ ハーバード大学遺伝子研究チームの挑戦 (ベン・メズリック)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。)

 以前、「合成生物学の衝撃」という本を読んだのですが、その流れで手に取ってみました。

 ケナガマンモスを再生しようという俄かには信じ難いプロジェクトの話です。

 最先端の遺伝子学がテーマですが、専門的な解説書ではなくノンフィクション物語の体裁です。なので、学術的な内容を期待していた読者の方は少々拍子抜けするかもしれません。私も「遺伝子編

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