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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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2022年3月の記事一覧

柳井正 わがドラッカー流経営論 (NHK「仕事学のすすめ」制作班)

柳井正 わがドラッカー流経営論 (NHK「仕事学のすすめ」制作班)

 ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏が、ドラッカーの教えを経営に生かしているという話は有名ですね。
 本書は、NHKの「仕事学のすすめ」というテレビ番組で取り上げられた柳井氏の経営をテーマにした語りを活字に起こしたものです。

 柳井氏のお話の中から、ドラッカーに敷衍しているくだりをいくつかご紹介します。
 まずは、ドラッカーの思想の根本にある「企業(事業)の目的」についてです。ここで登場

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「超」勉強法 (野口 悠紀雄)

「超」勉強法 (野口 悠紀雄)

 会社の方からお借りして読んでみた本です。

 私自身は、野口悠紀雄氏の著作はそれほど読んでいません。ただ、かなり以前、ベストセラーになった「「超」整理法」には目を通した覚えがあります。分類せずに、封筒に入れた資料を「時間順」に並べるという方法は、当時としてはかなり斬新なアイデアで結構印象に残っています。

 今回手に取った「「超」勉強法」は、その「「超」整理法」を皮切りにしたいわゆる一連の「超」

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ドラッカー 時代を超える言葉 洞察力を鍛える160の英知 (上田 惇生)

ドラッカー 時代を超える言葉 洞察力を鍛える160の英知 (上田 惇生)

基本的な姿勢 「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読んで、久しぶりにドラッカー関係の本を手に取りました。

 ドラッカー氏の著作の翻訳で有名な上田惇生氏が、「週刊ダイヤモンド」に「経営学の巨人の名言・至言-3分間ドラッカー」とのタイトルで連載しているものの編纂・再録です。
 構成は、「Ⅰ 成果をあげる」「Ⅱ 強みを引き出す」「Ⅲ 組織を動かす」「Ⅳ 人を動か

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親鸞 (五木 寛之)

親鸞 (五木 寛之)

 五木寛之氏の著作は、直近では岩波新書の「蓮如」を読んでいますが、そのほかはエッセイが中心で小説は久しぶりです。ひょっとすると初めてかもしれません。

 小説なので「あらすじ」には触れず、断片的に気になった描写をひとつふたつ覚えに書き留めておきます。

 親鸞が8歳、まだ日野忠範だったころ、乞食の聖、遊芸人、童、車借・馬借、その他諸々の雑民たちといった人々と出会いました。それは、それまでの自分の垣

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たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する (レナード・ムロディナウ)

たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する (レナード・ムロディナウ)

ランダムネスの必然 確率理論・統計理論の歴史と初歩的なコンセプトを解説した興味深い本です。

 「偶然」起こったことを、人は結構、「必然」と考えたりその前の行動との「因果関係」でとらえたりしています。「偶然」を、理論以上に「滅多に起こらないこと」と考えているのです。

 プロ野球の季節になったので、野球を例にしてみましょう。
 ここに、何打席もヒットが出なくて悩んでいる選手がいるとします。コーチが

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大前の頭脳 「産業突然死」時代を生き抜く知恵 (大前 研一)

大前の頭脳 「産業突然死」時代を生き抜く知恵 (大前 研一)

 「ビジネス力の磨き方」以来、久しぶりに読んだ大前研一氏の著作です。
 私は「大前信者」ではありませんが、初期の「企業参謀」の印象が強かったせいか、時折「大前本」に手を伸ばしています。

 本書ですが、「産業突然死をまねく日本の病因」「『産業突然死』時代を生き抜く14の提言」「揺れる世界経済と日本」という三章から構成されています。
 「ボーダレス」「サイバー」「マルチプル」という3つのキーワードが

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加藤周一のこころを継ぐために (井上 ひさし 他)

加藤周一のこころを継ぐために (井上 ひさし 他)

 本書は、2008年12月に亡くなった加藤周一氏を悼んで開催された講演会「加藤周一の志をうけついで」での各氏のお話を中心に追加加筆したものです。

 登場するのは「九条の会」の面々です。
 その中から加藤氏の「人となり」を思い起こさせるくだりをいくつかご紹介します。

 加藤氏は病身であったこともあり徴兵を受けませんでした。しかし、周りの多くの友人たちは戦地に赴き帰らぬ人となりました。ここに、加藤

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情報の「目利き」になる! メディア・リテラシーを高めるQ&A (日垣 隆)

情報の「目利き」になる! メディア・リテラシーを高めるQ&A (日垣 隆)

 会社の方からお借りした本です。
 日垣隆氏の著作は何冊か読んでいますが、本書は2002年の発行なのでちょっと前の本です。

 内容は、日垣氏が「メディア・リテラシー」をテーマに、読者からの様々な質問に対して一問一答形式で答えていくという体裁をとっています。

 まずは全部で20ある質問の中で、「公式サイトを開設した理由を教えてください」という学生からの問いに対する日垣氏の答えの一節をご紹介します

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フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略 (クリス・アンダーソン)

フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略 (クリス・アンダーソン)

ペニー・ギャップ

 以前から、「無料」で利便を享受できるサービスをフックに消費者を取り込み、別の仕掛けで利益を得るというモデルは存在していました。多くの場合は、サービスを継続利用する過程で、無料化のコストは結果的には回収されるような仕組みでした。

 近年、インターネットの世界になって、さらに新たな「無料モデル」が登場してきています。これら新たに登場したモデルは、そもそもの提供コスト自体が限り

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型破りのコーチング (平尾 誠二・金井 壽宏)

型破りのコーチング (平尾 誠二・金井 壽宏)

グループ体験 (注:本稿は2010年に初投稿されたものです)

 著者のひとり平尾誠二氏は私より少し下の世代ですが、現役時代の彼のプレーには非常に強いインパクトを感じたものでした。神戸製鋼・日本代表のころはもちろんですが、FWに林・大八木、バックスに平尾が並び立った同志社大学のバランスのとれた強さは破格でしたね。

 その後も平尾氏は、監督として日本代表を率いる等ラグビー界で活躍していますが、その

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ルポ 貧困大国アメリカ (堤 未果)

ルポ 貧困大国アメリカ (堤 未果)

 同じようなテーマの本としては、先に小林由美氏の「超・格差社会アメリカの真実」という著作を読んでいます。

 その本と比べると、本書はよりジャーナリスティックです。著者は、数々の取材を通して、今日のアメリカの「貧困」の実態を明らかにしていきます。そして、その悲惨な状況は、極端な市場原理主義が引き起こした悪弊だと断じています。
 アメリカでは、「貧困」がビジネスの種にすらなっているのです。

 この

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もういちど読む山川日本史 (五味文彦・鳥海靖)

もういちど読む山川日本史 (五味文彦・鳥海靖)

 私が「山川の日本史の教科書」で勉強していたのは、今から30年以上も前(注:2010年に初投稿)のことになります。そのころに対する懐かしさもあり手にとってみました。

 正直なところ、読み通すのにはちょっと忍耐がいりましたね。当然ではありますが、記述内容は極めて表層的ですし文体もドライです。改めて、歴史を学ぶということはどういうことだろうかと考えさせられました。

 確かに、歴史を構成するパーツと

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「阿修羅像」の真実 (長部 日出雄)

「阿修羅像」の真実 (長部 日出雄)

 昨年(2009年)は、興福寺創建1300年を記念した「国宝 阿修羅展」が東京国立博物館で開催され大変な人気を博しました。ちょっとした「阿修羅像」ブームも広がったようです。

 さて、本書、折りしもそういうタイミングの出版だったこともあり、「阿修羅像」に関する歴史や薀蓄を語った概説書かと思い手にしました。

 が、内容は私が(勝手に)想像していたものとは少々異なっていました。
 「阿修羅像」に触れ

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Twitter革命 (神田 敏晶)

Twitter革命 (神田 敏晶)

 今(注:2010年当時)、話題のツイッター関係の本です。

 私も昨年(2009年)秋ごろからツイッターに登録して、ときおりTweetしてみていますが、未だに今ひとつその魅力がつかめていません。そういう事情もあって、まず「ツイッター理解の入口」として手に取ったものです。

 本書で紹介されているツイッターの機能・効用は種々ありますが、その中で特に、私の興味を惹いたものをご紹介します。

 それは

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