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テッド・チャン「理解」: 考察という名の誤読
テッド・チャンの短編集『あなたの人生の物語』に収録されている「理解」という短編を読んだ。
私はこの話を陰謀論者の話として読んだ。おそらく誤読なのだが、結構面白い解釈なのではないかと思われたので、noteに書いて供養したい。
あらすじ(途中までのネタバレを含みます)事故により植物状態のような状態に陥ったと思われる主人公が、投薬により回復した。薬の影響で知能が著しく向上し、身の回りにあるあらゆるも
言語化の訓練を毎日やる
これからの人生でこれをやろうと決めていることがあり、それをやるにあたって自分の思考を整理して言語化する必要があることがわかってきた。今の私にはその技能がないので、それなら言語化の訓練をやろうと思い、毎日文章を書こうと決めた。今日はその初日である。今回は今後の進め方と、最終的には何がしたいのかについて書く。
進め方文章を書くことは記事を投稿することとイコールではない。また何文字数制限も課さないでお
2023年読んで面白かった本(人文社会科学多め)
年末に書くやつを書きました。今年出版された本は少なめ。
社会科学現代経済学 ゲーム理論・行動経済学・制度論
経済学と一口にいってもいろいろあって、どこから手をつけていいか分からなくなるが、本書を読めば、これまで経済学が辿ってきた流れと、各分野の特徴が分かる。おすすめ。
プロパガンダ[新版]
古いけど現代にも通じる示唆があり、面白かった。
この本自体が著者の職業のプロパガンダとなっている点も
詩との付き合い方について: 『今を生きるための現代詩』
導入 自分のこと私は趣味で音楽制作をすることがあるのだが、いつも作詞に困る。
伝えたいことが特にないのだ。
そもそも詩を読むということがあまりなかった。
お気に入りの曲の歌詞はたまに詩単体で読んだりもするが、それもまず入口に音楽があったからであって、最初から詩単体として読むことはない。
私の好きなミュージシャンにサカナクションがいる。サカナクションの楽曲の作詞をつとめるのは、フロントマンの山
頭で理解するだけでは足りない【『唯識の思想』読書感想文】
読書感想文本記事は横山紘一の『唯識の思想』(Kindle版)の読書感想文である。
唯識思想は大乗仏教の思想である。
西洋哲学でいうところの唯心論の考え方に近く、我々が普段「ある」と考えているすべてのものは実際には存在せず、識(感覚器官など)を通じて「ある」ように認識しているにすぎない、という考え方である。
唯識思想では心(識)は「あるようでなく、ないようである」(位置No.785 など)ものと
現代人は他人に興味を持てるのか【『LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる』読書感想文】
本記事はケイト・マーフィ著「LISTEN――知性豊かで創造力がある人になれる」の読書感想文である。
本書は「話を聞くこと」の大切さを説く本である。
話を聞くことは、本質的に相手のことを理解することであり、重要な行為であるはずだが、現代では話すことが重視され、聞くことは軽視されている、と著者は主張する。
他者とのつながりが希薄である現代社会において、人を理解し自分を理解してもらうために、聞く力をつ
世界をシンプルに捉えることの危険性。様々な尺度から考えることの大切さ【『戦争の地政学』読書感想文 】
本の概要本書はまず地政学がおこった歴史的経緯の説明から始まるが、ここでは割愛する。
そもそも「『地政学(Geopolitics)』とは、地理的(Geographical)事情を重視して政治(Politics)情勢を分析する視点」(p.8)であり、特定の学問分野ではない。地政学の理論的な枠組みとして、英米系地政学と大陸系地政学の2つがある。
英米系地政学は、「ランド・パワー(大陸国家)」と「シー