本内さよ子

絵を描いていく中で、言葉も少しずつ溜まっていきます。 エッセイや詩や物語の断片など、何…

本内さよ子

絵を描いていく中で、言葉も少しずつ溜まっていきます。 エッセイや詩や物語の断片など、何かの形で少し表せたらと思います。 https://motouchisayoko.jimdofree.com/

記事一覧

金色の雨

月のない夜に空から青いかいじゅうがやってきてわたしくしたちに金色の雨をふらす。金色の雨は地面に落ちるとすぐに赤い鯉になり湖に続く川へと泳ぎだす。わたくしたちは、…

本内さよ子
1か月前

日記的(20151019)

20151019 ぺしゃんこのままで 落伍者のままで 敗北したままで 物語を探さない 湧き出ては収まる それを見ている

本内さよ子
1か月前

アトリエ卵籠の画家は夢想する

アトリエの内部は作家の内蔵である。 不随意筋の収縮によって机やイーゼルが空中に放り投げられ椅子と一緒に賑やかに捏ねられ、トルソや絵具や貝殻や腕枕や木片や鉛筆や筆…

本内さよ子
2か月前
2

水たまり

地面に残された水は 水たまりと呼ばれる 天に帰り損ねた水 水たまりは雨あがりを記憶している 水たまりは地面を記憶しはじめる 水たまりは天を映している 天が水たま…

本内さよ子
2か月前
1

エアータロット占い〜4

心理学を学んでいて、タロット占いに興味を持ちました。そもそも心理学を学ぼうと思ったきっかけには、仕事の内容が年々変化し、他者の話を聞く機会が増えたことがあります…

本内さよ子
2か月前

ノートと鉛筆を持とうと思った。

2020年6月8日 ノートと鉛筆を持とうと思った。 朝の天気は明るい曇り空。 駅へ向かうスロープを上りながら広場に出るとき、 ノートに鉛筆で詩を書こうと思った。 ジム …

本内さよ子
2か月前
3

エアータロット占い〜3

占いは何の役に立つのかという問題があります。占いは当たるのか当たらないのか、それを問題にする人もいると思います。 私は大方気楽に考えていいと思っています。役に立…

本内さよ子
2か月前

エアータロット占い〜2

タロット占いに興味を持ち始めたのは、通信制の大学で心理学を学んでいたときです。分析心理学のカール・グスタフ・ユング関連の著作を読んでいて、心や魂の問題を扱ってい…

本内さよ子
2か月前

エアータロット占い〜1

エアーでタロット占いをすることがあります。 最初はタロット占いの練習のために、自分で自分を占っていたのですが、なんとなく状況的に気になる人を思い浮かべて、対面で…

本内さよ子
3か月前

記憶とか映画とか 昔の日記のとりとめのなさ

以前「日の名残り」という映画を観たことがある。1994年ごろだったと思う。 まず題名に惹かれた。どこか日本的だなと感じた。でも、ポスターを見ると名優アンソニー・ホプ…

本内さよ子
3か月前

風が吹かないので

風が吹かないので ごわついて 顔が ひっきりなしに たたいていた 雨が 闇の中に隠れてしまった 音も熄んで 水が引いて のばした梯子を 上っていいのか 降りたらいい…

本内さよ子
3か月前

閾値について

閾値という言葉にひどく反応する。 いきち と読ませたり、しきいち と読ませたりする言葉だ。 動物的な知覚のようなものが、閾値という言葉に反応する。ひどく。 普段の…

本内さよ子
3か月前
1

今日は曇りだ 曇りの日は さみしい気分になる どこか あたたかい気分でもある 車窓が青い帯になる 下りの電車が通り過ぎた 車窓にはいろいろな灰色が横切っていく …

本内さよ子
4か月前
1

はじめに

絵を描く人になりたくて描き始めて、このまま描き続けていたいと思っています。作品を作って展覧会をしたり、日々、研鑽したり。 創作全体に興味があって、いろいろ作って…

本内さよ子
4か月前
3
金色の雨

金色の雨

月のない夜に空から青いかいじゅうがやってきてわたしくしたちに金色の雨をふらす。金色の雨は地面に落ちるとすぐに赤い鯉になり湖に続く川へと泳ぎだす。わたくしたちは、着ていた服を脱ぎだす。服が金色になりすぎてもう着ていられないから。わたくしたちはとうとう帽子も脱いでしまって、残りは左手の手袋だけになってしまった。わたくしたちは顔を見合わす。わたくしたちがこの手袋を脱いでしまったら、わたくしたちではなくな

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日記的(20151019)

日記的(20151019)

20151019

ぺしゃんこのままで

落伍者のままで

敗北したままで

物語を探さない

湧き出ては収まる

それを見ている

アトリエ卵籠の画家は夢想する

アトリエ卵籠の画家は夢想する

アトリエの内部は作家の内蔵である。
不随意筋の収縮によって机やイーゼルが空中に放り投げられ椅子と一緒に賑やかに捏ねられ、トルソや絵具や貝殻や腕枕や木片や鉛筆や筆の柄や彫刻刀が、紙や乾燥した花束やキャンバスやガラスの器や版木や羽根が舞い上がり、すり潰され混ざり合っていく。観念に固定された思念が流失し消化されていく。消化物は徐々に気化し、徐々に拡散し、アトリエの内部は満たされていく。
麗しい液状似の空

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水たまり

水たまり

地面に残された水は

水たまりと呼ばれる

天に帰り損ねた水

水たまりは雨あがりを記憶している

水たまりは地面を記憶しはじめる

水たまりは天を映している

天が水たまりを覗き込んでいる

天を映している水たまりをわたしが覗いている

天を映している水たまりをわたしが覗いている水たまりを

天も覗いている

映していると覗いているは一本の線の中に同時に逆回転が起こっているのだと知らされ高速の明

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エアータロット占い〜4

エアータロット占い〜4

心理学を学んでいて、タロット占いに興味を持ちました。そもそも心理学を学ぼうと思ったきっかけには、仕事の内容が年々変化し、他者の話を聞く機会が増えたことがあります。これまでも自分なりにカウンセリングの知識を少し齧ったりして対応していました。でも、多様な立場への対応や複雑で変化している物事に当たりながらだと、傾聴していても話を構造化していくことがむずかしく、現場で数を重ねてもよくわからなくなって、他者

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ノートと鉛筆を持とうと思った。

ノートと鉛筆を持とうと思った。

2020年6月8日

ノートと鉛筆を持とうと思った。
朝の天気は明るい曇り空。

駅へ向かうスロープを上りながら広場に出るとき、
ノートに鉛筆で詩を書こうと思った。

ジム ジャームッシュの映画「パターソン」を観てから
何度か過ぎった。
ノートと鉛筆を持ち歩く。

かつて、ビートニクス時代の残り香を嗅いで、
映画「シングルス」のウィノナ ライダーの喫煙シーンに
ニコチン欠乏症を患った世代の一葉とし

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エアータロット占い〜3

エアータロット占い〜3

占いは何の役に立つのかという問題があります。占いは当たるのか当たらないのか、それを問題にする人もいると思います。

私は大方気楽に考えていいと思っています。役に立ったり、当たったりというのは、捉え方にもよりますし、誰もが納得するような条件をきっちりしていこうとすると、どんどん余白や余地が無くなっていくのかなと思います。「占いがあってもいい世界」の方が、暮らしやすいかなと思います。今の私は、誰かの応

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エアータロット占い〜2

エアータロット占い〜2

タロット占いに興味を持ち始めたのは、通信制の大学で心理学を学んでいたときです。分析心理学のカール・グスタフ・ユング関連の著作を読んでいて、心や魂の問題を扱っていくと人類の古層の知に触れることがあるという深層心理の解説があり、神話や古宗教や占星術など、現在はオカルトと言われているようなことも研究の題材としていたらしい、ということに興味を持ちました。

当時私の認識は、タロットカードはいろいろな種類や

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エアータロット占い〜1

エアータロット占い〜1

エアーでタロット占いをすることがあります。

最初はタロット占いの練習のために、自分で自分を占っていたのですが、なんとなく状況的に気になる人を思い浮かべて、対面でなく、勝手に占って、占いの結果を文章にまとめていました。

占いというのは、困っている誰かにエールを送るようなものだと思っていて、勝手に占ったものでも、その人がもしこの文章を読んだら少し気が楽になって、余裕が出てくれたらと、タロットのキー

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記憶とか映画とか 昔の日記のとりとめのなさ

記憶とか映画とか 昔の日記のとりとめのなさ

以前「日の名残り」という映画を観たことがある。1994年ごろだったと思う。
まず題名に惹かれた。どこか日本的だなと感じた。でも、ポスターを見ると名優アンソニー・ホプキンスが主演で、イギリス映画だった。

アンソニー・ホプキンスは映画「羊たちの沈黙」で大好きになった俳優だったし、
(原作のトマス・ハリスの作品は小説「ハンニバル」が好きだ。リナルド・パッツィ刑事の破滅に向かう熱っぽい様もいいし、資産家

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風が吹かないので

風が吹かないので

風が吹かないので ごわついて 顔が
ひっきりなしに たたいていた 雨が
闇の中に隠れてしまった

音も熄んで
水が引いて
のばした梯子を 上っていいのか
降りたらいいのかも
わからなくなってしまった

ここが暗ければ もっといいのに
周りの闇と 同じくらい
暗かったらいいのに

遠くにある息づかいを
耳をそば立てて きこうとしている

そうやって手に入れようとして
疲労こんぱいだ

内なる潮騒に 

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閾値について

閾値について

閾値という言葉にひどく反応する。
いきち と読ませたり、しきいち と読ませたりする言葉だ。
動物的な知覚のようなものが、閾値という言葉に反応する。ひどく。

普段の会話ではほぼ使ったことがないと思う。常用外漢字だし、何処かの文章の中で見かけても、読み方も意味もうろ覚えで、その都度辞書で調べていたりする。ああ、いきち かと思い、読んでいた文章をすこし放っておいて、考えだしてしまう。

いきち しきい

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朝

今日は曇りだ

曇りの日は さみしい気分になる

どこか あたたかい気分でもある

車窓が青い帯になる

下りの電車が通り過ぎた

車窓にはいろいろな灰色が横切っていく

ブルーグレイ イエローグレイ

ホワイトグレイ ベージュ

イエローオーカー ダークグレイ

ホワイトベージュ

シャドウ

影は 影の色だ

橋の下は影 陰の色

小雨の降った 河原を横切る

この冬 一番寒い朝に

何故 春

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はじめに

はじめに

絵を描く人になりたくて描き始めて、このまま描き続けていたいと思っています。作品を作って展覧会をしたり、日々、研鑽したり。

創作全体に興味があって、いろいろ作っていく内に、言葉として出てくるモノがあります。ノートやペラ紙やメモ用紙なんかに書かれてあって、昔のものは、ダンボールに入れて、押し入れにしまってあります。たまに、これらをどうしたらいいのかなと考えては、よくわからずに、ただ置いておきます。

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