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アトリエ卵籠の画家は夢想する

アトリエの内部は作家の内蔵である。
不随意筋の収縮によって机やイーゼルが空中に放り投げられ椅子と一緒に賑やかに捏ねられ、トルソや絵具や貝殻や腕枕や木片や鉛筆や筆の柄や彫刻刀が、紙や乾燥した花束やキャンバスやガラスの器や版木や羽根が舞い上がり、すり潰され混ざり合っていく。観念に固定された思念が流失し消化されていく。消化物は徐々に気化し、徐々に拡散し、アトリエの内部は満たされていく。
麗しい液状似の空気に。

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